目次にある以下の3項目は、以前にブログに投稿した記事で同様の内容を投稿していましたので、そちらを参照下さい。
・「まるで魔法、認知症ケア『ユマニチュード』
⇨テーマ別「認知症」参照
・「ネットゲームの指導」
・「スマートフォンをいつ持たせるか」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

   時々スーパーやデパートで「○○買って〜」と大泣きしてお母さんにおねだりをしている子供がいます。
   そういう時によく見かける親御さんの対応は、その多くは、①大きな声で叱っているか、②子どもに負けて「しかたがないわね。今日だけよ。」と買い与えてしまうかのどちらかです。

{F25C2AEE-2BDE-479D-968D-FB2B0E46AA6A}

   まず、お店には入る時は、事前に何か買ってあげるのか、買わないのかを“約束しておきましょう。その上で、冷静に且つ毅然「(それは)買わない“約束”だったね。」とだけ言って、すぐその場を立ち去ってしまうことが一番です。叱る必要はありません
   これは、心理学の考え方ですが、子どもがとった問題行動に対して、親が子供にとって有益な対応をすると、子どもの問題行動は益々増えます。この場合の「子供にとって有益な対応」とは、子供のおねだりに根負けして買い与えてしまう事です。子供は「わがままを言えば買ってもらえる」と誤った学習をしてしまい、その後はもっとおねだりが激しくなるのです。
   逆に、子供にとって有益ではない、または「不利益になる対応」をすると、子どもの問題行動は減ります。つまり、たった一言買いません」と言って買い与えないだけでも、十分子どもにとって有益ならぬ結果をもたらすことができるのです。その結果、わがままを言っても、買ってもらえないんだな。」と子供が正しい学習をするのです。この時の約束は守るもの」という“社会の枠組み”を絶対に崩さない親の姿勢が、真の「厳しさだと思います。

   私事で恐縮ですが、私が在職中は特別支援学級を担任していて、普段から“穏やか共感的な支援”を心掛けていました。しかし、「今はこれをしなければならない」という場面では、言い方や表情は優しいけれど、子供が何度わがままを言おうとも、できるまでやり直しをさせていました(モットーは「優しくしつこく」でした)。また、「仏の顔も三度まで」の事前の約束通り、3回やっても直さない時は、何があろうとも必ず毅然とした態度で叱っていました。すると、子供は「遠藤先生にはわがままは通じない」と思うのか、次回からは素直に私の言うことを聞くようになりました。中には、「特別支援学級の子供だから仕方がない…」という先生もいらっしゃいましたが…。そういう意味で私は、「校内で一番優しいけれど一番厳しい先生」だったかも知れません。

   さて、スーパーでわがままを言う子供に対して、大きな声で「何わがまま言ってるの!」と叱るという方法もあるかもしれませんが、これまでに述べてきたとおり、「大きな声での叱責」は、子供の親に対する「安全基地」としての信頼感低下させるものです。また、普段あまり構ってもらっていない子供の場合、叱られることによって「構ってもらっている」と誤認識してしまい、益々おねだりが激しくなってしまう場合もあります。その為にも、シンプル買わない“約束”だったね。」とだけ言って、すぐその場を立ち去ってしまうことが一番なのです。
   仮に、それでもその場を離れず、大騒ぎしているようなら、他のお客さんに迷惑をかけることになるので、力づくででも引っ張って店外に出し、約束を守れなかった事を毅然とした態度で叱りましょう。「いざという時には、普段はやさしいお母さんも怖い」と思わせることが必要です。それが大人の“威厳”です。

   また、スーパー等の公共施設に来た時には、子供に公衆道徳を教える絶好のチャンスです。「走らない」「さわがない」「一人でどこかに行かない」等の立ち振る舞いを教えましょう。
   もしもそれらの約束を守れないときは、「次回は連れてこない」「すぐに買い物をやめて家に返す」等、その子にとっての何らかの“不利益”を与える事を事前に予告しておいた上で、何度言っても直らない時は迷わず“実行”に移しましょう。
   もちろん、約束が守れた時に必ず褒めるのは言うまでもありません(先の「買う」「買わない」の約束を含めて)。