【今回の記事】

【記事の概要】
Q.夫の子育てに対する意識に不満はありますか?
1.とても不満  37.7%
2.やや不満  44.3%
3.不満はない 18.0%


夫の子育てに対する意識に不満があるママの合計はなんと82%。ほとんどのママが不満を持っていることがわかります。
ママが正社員だとしたら、パパはバイト感覚!?
   ママたちの不満の中で最も多かった意見は、育児をやらないわけじゃないけどメイン母親だと思っている点。ママたちはその主体性のなさや、積極性のなさにイライラしているようです。
お母さんが“子育て会社”の社員だとしたら、(の認識)はパートさんな感じいつでも自分時間優先に感じる」
「たまに休日に子どもを任せるときがある。『今日はありがとう!おかげで楽しかったよ!』と大げさに言ったりするけど、冷静に考えて平日は「ワンオペ」なのにこんなに感謝する必要あるかなと思ってしまう。夫もそれに気付くべき
は自分のことを監督だと言っている。なので、子育てには基本参加せずだけ挟んで批判だけする。しかも、知識をつけようとしないので、都市伝説的なことばっかり言う」
「母親は子ども中心の生活になるのに対して、夫はいつまでも、自分中心の生活を続けようとしている」
   育児をやらなくはない、多少はやる。でも、その「手伝う」という意識がそもそもおかしいということに気づいて欲しいです!
■「働き方改革」だけじゃ解決しない! 男性の意識改革が最も大事
   もちろん男性の育児休暇の取得や、労働時間を短くする「働き方改革」も大切ですが、男性の意識改革のほうが大事だと思っている人もたくさんいました。
独身気分が抜けない。全部わたし任せ。遊ぶ=子どもにテレビ観させて、自分はゴロゴロしながら携帯を触ってもいい時間と思ってる」
「なぜ働く男性は帰宅後や休日は好きなことのみやって良い風潮なのか、なぜ働く女性は帰宅後や休日でも食事の用意に家事に育児をしなければいけない風潮なのか。家族のために働いてるのは、男性女性どちらも同じ。小学生でさえ家での(毎日の)役割があるのに、なぜ男性は帰宅さえすれば何をしてもいいだろうと開き直るのか。この風潮が変わりますように……」

(その一方で)父親としての役割は、"仕事をしてお金を稼ぐことだけ"から変わってきているとも感じる意見もあります。
「私は専業主婦ですが、夫が外で働いている時間は妻である私が育児、夫は仕事が終われば2人で家事育児をする時間(になっている)、そのため不満はありません。家事育児は「手伝う」ものではなく、2人の仕事なので。専業主婦も日中は子どもの相手でほぼ終わり(乳幼児2人で、上の子はもうお昼寝しません)、夫が帰宅するまでに家事育児全て終わるわけではないし、終わらさなければならないわけでもないので、家事の大部分は夫が帰宅後にやってもらっています
こちらの意見のように、「共働きかどうかは関係なく家事育児は2人でするものという意識を持たないと状況は変わらなさそうです。

{CE663BC4-7C57-46F6-89CE-437694FA3D57}

【感想】
   記事の中には、「育児」と「子育て」の二つの言葉が登場しています。“言わずもがな”という感はありますが、整理してみましょう。
   辞書にはこのように載っています。
「育児」とは「乳幼児(小学校入学前の子供)を育てること。」
「子育て」とは「子を育てること。育児。」
つまり、
育児」とは、生後から小学校入学前までの子供だけを養育の対象とした考え方
子育て」とは、「育児」を含み子供(大人になる前の人間)全体が養育の対象という考え方
のようです。

   また、「ワンオペ育児」とは「配偶者の単身赴任など、何らかの理由で1人で仕事、家事、育児の全てをこなさなければならない状態を指す言葉(「ワンオペ」とは「ワンオペレーション」の略)」です。


   では、生物学的には、本来父親は何をするために生まれてきたのでしょうか?母親は何をするために生まれてきたのでしょうか?
   私は以前次のような記事を投稿しています。「“母親の役割”と“父親の役割”の違いは何か?
その中ではおおよそ次のような内容をお話ししています。
「人類は男と女が子どもを産んで2人で育てて今の文化を創ってきた。つまり、人類の繁栄のためには、男と女の存在が当然のように不可欠である。さらに人類は、男と女のそれぞれの役割にも区別をつけてきた。それが「母性」と「父性」である。
「『母性』の役割は、子どもにとっての「安全基地」である。子どもが世の中の荒波に揉まれる中で抱いたストレスを癒す場所である。つまり、子どもの“受容”である。
父性の役割は、母親に守られている子どもを母親から離し、実社会へと送り出すことである(「母子分離」への導き)。その次は“遊び”である。遊びは実社会への入り口である。楽しい時間を過ごし、実社会デビューをはたすのである。次は、いよいよ父親の真骨頂の仕事が待っている。それは「しつけ」である。
   つまり整理すると、母性」の働きは、子供の「安全基地」としての“受容”です。父性の働きは、「母子分離の手助け、その後の「遊び」、そして子供の「しつけです。

   これらのことから、記事に深く関係する次の疑問を考えてみましょう。
Q.1「育児」は誰の仕事でしょうか?
Q.2「子育て」は誰の仕事でしょうか?

Q.1「育児は誰の仕事でしょうか?
「育児」とは、小学校入学前の子供を育てることですから、まず、産後からの子供の「安全基地」を作るための「愛着」形成(およそ1歳半まで)は母親の仕事でしょう。
   では、1歳半までは父親は何もしなくてもいいかと言うとそうではありません。母親が子供にとっての「特定の人」となり赤ん坊からの信頼を得て「安全基地」となれるために、出来るだけ母親を赤ん坊の近くに居れるようにする為に、時間のかかる家事を代わりにすることが重要なサポートになります。
   この間の父親のサポートの有無で、母子間に「愛着(愛の絆)」が形成され、母親が子供にとっての「安全基地」になれるかどうかが決まります。そして、そのことは子供の人格形成に一生の影響を与える大きな意味を持ちます。特に昨今、乳幼児期に母子間の「愛着(愛の絆)」が形成されない為に、家族内殺人いじめ少子化ひきこもり薬物中毒他、多くの凄惨な社会問題が起きているのです。
   戦前多く存在した3世代家族の場合は、父親が仕事に出ても、祖父母がその仕事をしてくれていたのですが、ほとんどの家庭が核家族となった今は、父親がその役割を担わなければならなくなりました。父親がその役割をしない場合は、そのしわ寄せを母親1人が被り、それが「産後うつ」などの異常症状となって現れるのです。「ワンオペ育児』は誤り」だと言わざるを得ません。
   次に「母子分離」の課題が訪れた時、つまり1歳半から2、3歳くらいの時期です。この時期は、先に述べたように、父親が「母子分離」への導きをします。しかし、「父親は外で仕事」という昔の風潮が残っている家庭は、父親が育児に関わる事がなく、母子分離を母親が1人で行わなければならなくなります。しかし、本来「母性」の役割は子供の“受容”なので、“子供を自分から離す”という「母性」とは正反対の仕事は、母親1人ではうまくいきません。その結果、「母子融合」という母子がいつも一緒の時間を過ごし、子供は母親の意思に従って動き、自身では自己決定できない関係になってしまう危険性が生まれます。
母子分離」の時期を過ぎると、子供はいよいよ母親との関係を飛び出しての“社会デビュー”となります。その第一歩は“遊び”です。“遊び”に関しては、子供は、母親の型にはまったインドア的な遊びよりも、父親の創造的で活発な遊びを好みます。よってこの遊び父親の役割と言えるでしょう。しかし、遊びと言えど、父親のハードなペースについて行けず、つい愚図ってしまう子供も出てくるでしょう。その時に必要になるのが「安全基地」の機能を持った母親です。子供が安全基地に入りたいと思った時には子供を受容しいたわってあげます。
   しかしこの時、子供が「安全基地」を必要としていないのに、「お母さんからお父さんに言ってあげようか?」「あの遊びは止めた方がいいんじゃないかい?」等と母親の方から子供を「安全基地」の中に引き入れようとする場合があります。これがいわゆる“過干渉”と言うものであり、やってはいけない余計な“育児”です。そのような過保護”な環境で育った子供は、自立のできない人間になってしまいます。本来「安全基地」は「基地」という動くはずのない“建造物”であり、子供を世話する為に建物の方から動くという事はあり得ないのです。

Q.2「子育て」は誰の仕事でしょうか?
   家庭や保育園の中で子供を保育する時期が終わると、子供は家庭から飛び出して、幼稚園や小学校等の社会施設で生活するようになります。この時はいよいよ社会の常識やルールの中で過ごしていけるよう子供を“しつけ”なければなりませんから父親の出番です。
   但し乳児のうちから保育園に通っている場合には、通園しながら「母子分離」を経験し、更に社会施設の中でいきなり他の子供と“社会デビュー”生活を始めることになりますから、園での様子に注意しなければならないのは、母親よりもむしろ父親ということになります。もしも母親が子供を迎えに園に行った時は、引き渡しの時に園の先生から聞いた様子を父親に伝える必要があるのです(もちろんその逆も然りです)。
   仮に子供が社会のルールを破って友達に迷惑をかけた場合には父親が子供を注意・指導します。それが「父性」に備えられた働きなのです。この時母親は、仮に子供が父親からの注意のために落ち込んでいる時に、子供の心を癒すのが仕事です。但し、子供が父親から注意されている正にその時に、子供の前で父親に「もうやめてください」と反意を示すのは好ましくありません(もちろん、子供の怪我や命に関わるような場合は例外です)。父親がいないところで「お父さんはあなたの事を思って注意したのよ」等のフォローをするのが良いと思います。子供の前で、もう一方の親の悪口を言うと、子供は「百の味方を得たり」とばかりに、自分にとって都合のいい方の言うことしか聞かなくなります
   因みに、私事で恐縮ですが、私が母親の口から父親に関する愚痴を聞いたのは、私が成人してからの事でした。子供の頃には、ただの1度も聞いたことがありませんでした。きっと「この子のために良くない」と思い、我慢してくれていたのだと思います。

   このように見てくると、母親が主に養育に当たっている時は父親がフォローし、逆に父親が主に養育に当たっている時は母親がフォローするという、正に子育ては“共同作業”です。ですから、記事中にあった夫は子育てには基本参加せず口だけ挟んで批判だけする。」という母親の不満はもっともだと思います。このような父親の誤解は、戦後の高度経済成長期における核家族化がもたらした「父親は外で仕事を、母親は家で子育てを」の考え方が、女性が外で働きに出るようになった今の世の中になっても残っている為に生まれているものではないでしょうか?

(長くなってしまい、申し訳ありませんでした。)