【今回の記事】

【記事の概要】
   平成28年度の問題行動・不登校調査で、教職員との関係を苦に中高生3人が自殺していたことが明らかになった。
   18~27年度では同様のケースで計13人が自殺していたことも判明。今年3月には福井県池田町立池田中2年の男子生徒=当時(14)=が、担任らの厳しい指導や叱責(しっせき)が原因で自殺した問題があり、文部科学省が学校現場に再発防止を呼びかけている。
   学校から報告のあった児童生徒の自殺者数は前年度比29人増の244人に上り、調査対象に高校通信制課程を含めるようになった25年度以降では最も多い

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   具体的な自殺理由では「家庭不和」と「進路問題」がそれぞれ27人で最も多く、「いじめ以外の友人関係」(17人)、「異性問題」(16人)、「父母などの叱責」(15人)-などと続いた。いじめが理由で自殺したのは中学生が8人、高校生が2人だった。
   教職員との関係を苦にした自殺は高校生が1人、中学生が2人だった。この中には福井県池田町立池田中の男子生徒による自殺のケースも含まれている可能性がある。
   一方、警察庁の調査では28年度の児童生徒の自殺者数は320人だった。

【感想】
   先日、福井県池田町立池田中2年の男子生徒が、担任らの厳しい指導や叱責が原因で自殺した問題が起き、学校の指導体制が取り沙汰されました。しかし、平成28年度の調査で明らかになった教職員との関係を苦にした自殺は高校生が1人、中学生が2人の合計3人でした。また、毎年のように報道されるいじめが理由で自殺したケースは中学生が8人、高校生が2人の合計10人でした。
   その一方で、「家庭不和」と「進路問題」がそれぞれ27人で最も多く、「父母などの叱責」が原因で自殺した子供は15人に上りました。これらのうち、「家庭不和」と「父母などの叱責」は明らかに家庭内の問題ですが、「進路問題」も、子供が悩むのは、親との認識の違いから生まれる軋轢ではないでしょうか?優秀だった自分と比較して、子どもの能力不足を受け入れられず「なんだこの点数は!」「そんなことでは一流の学校には行けないじゃないか!」等と叱っている親が増えていると言われています。(「こんな親が子どもを追い詰めて不幸にする 〜親の期待に悩み苦しむ子ども達〜」参照)
   これらの家庭内の問題と思われる「家庭不和」「父母などの叱責」「進路問題」の合計は69人に上ります。つまり、ニュースで度々報道されている「教職員との関係」(3人)や「いじめ」(10人)と比べると、実は遥かに家庭内の問題の方が突出して多いのです。
   更に、これらのうち、明らかに“親からの過干渉”が要因になっていると思われるのは、「父母などの叱責」「進路問題」で合計42人に上ります。
   以前にも紹介した白梅学園大学教授の増田修治先生は、「今の親御さんは、お子さんに強くあること、なんでも自分の力でできること、自立することを求め過ぎている」と指摘し、そのプレッシャーの為に親に「ヘルプ」が言えずに苦しんでいる子供が多いことを問題視しています。そのような“親からの過度な期待”に悩み、自らの命を絶つ子供をこれ以上出さない為にも、「子供がやる事は子供に“任せ”て、親は何も言わずに“見守り”、子供がつまずいたときには優しく“諭し”、できたときには必ず“褒める”」、いわゆる「自立4支援」によるサポートが必要ではないでしょうか?
   また、27人と最も多かった「家庭不和」については、すなわち“家族間の人間関係上の問題”であると解釈できます。となれば、それは家族間の「愛着愛の絆)」が弱体化している表れであると考えられます。この事については、「家族間の『愛着(愛の絆)』が弱体化するのは何故か?」「弱体化した愛着を復活させる為にはどうすればいいか?」について考えるのが問題の解決に向けての第一歩だと考えます。

   我が子の命を守ることができるのは、親御さんだけです。間違っても、その親御さんとの問題で子供が自らの命を絶つようなことだけはあってはならないと思います。