一昨日、平日の子供達が学校に通っているはずの時間帯に、ある自治体が運営する図書館に行くと、中学生くらいの2人の女の子がいて読書をしていました。しかしその表情はどこか暗く周りからの視線を気にしているような様子が見られました。おそらく、「今の時間帯にここに居るはずのない自分達は周りからどう見られているだろう?」と疑心暗鬼になっている為ではないかと思いました。何らかの事情で学校に登校できない状況に追い込まれたのではないかと思います。

   既に始まった新学期。9月1日は子どもの自殺が1年で最も多い日として、ネットでも「いじめが嫌なら学校に行かなくてもいい」という意見が盛んに発信されていました。もしかしたら、その女の子たちもいじめが原因で学校を休んでいたのかもしれません。

   とにかく、今現在、全国でたくさんの子供が友達からのいじめのために不登校を余儀なくされている現実が存在しているはずです。その子供たちも周りからの視線を気にしながら暗い気持ちで生活を送っているかも知れないと思うと、私は、やり切れない気持ちでいっぱいになりました。


   いじめからの避難は当然の権利です。しかし、「いじめの被害者が学校に行けず、いじめをしている加害者が学校生活を送り続けている」という今の理不尽な状況に疑問を抱くのは私だけでしょうか?

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   以前の投稿も紹介しましたが、文科省は、各都道府県教育委員会教育長に対して「出席停止制度の運用の在り方について(通知)」という通知を出しています。この通知の中では、公立の小学校及び中学校の“出席停止”制度に関して次のように記されています。

出席停止の制度は、本人に対する懲戒という観点からではなく、学校の秩序を維持し、他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障するという観点から設けられた制度である。(中略)出席停止の適用の決定は、市町村教育委員会において、教育委員会規則の規定にのっとり、問題行動の態様及び学校の実情を踏まえ、校長の判断を尊重しつつ、保護者等からの意見聴取を行った上で行わなければならない。」

   更に、高校に関しても、文科省から各都道府県教育委員会に対して、「高等学校における生徒への懲戒の適切な運用の徹底について(通知)」という通知を出しています。ここで言う「懲戒」とは、「学校教育法及び学校教育法施行規則に基づく退学停学及び訓告の処分」等とされていますが、通知には次のように記されています。

「その適切な運用を図るようお願いしているところですが、このたび、公立高等学校を対象に運用の実態について調査したところ、別添調査結果のとおり、生徒への懲戒の基準定めていない学校の割合が11.6%基準を生徒や保護者などに対して周知していない学校が34.9%に上るなど、取組の不十分な状況が見られるところです。」


   つまり、小・中学校での「出席停止」、高校での「停学」や「退学」という懲戒について、本来の趣旨に基づき、適切に運用される事が望まれているのです。

   本来であれば、今こそ他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障するために、いじめ加害者に対して適用するべきではないでしょうか?

   もしも、すぐに適用できないのであれば、最低限、そういう“懲戒”があるという事を子供にもその保護者にもハッキリと事前に告げて欲しいと思います。上記通知によれば「(懲戒の)基準を生徒や保護者などに対して周知していない学校が34.9%に上る」という実態のようですが、仮に全ての学校で“懲戒”の基準を生徒や保護者などに対して周知すれば、子供自身自覚(「え?!そんな決まりがあるの?マズイじゃん!」)が促されることはもちろん、保護者からも子供に対して何らかの指導(「お前、このままいじめを続けていると学校にいけなくなるぞ」)が入るに違いありません。子供も保護者も、学校から出席停止させられるという“不名誉”は決して望まないでしょうから。

   本来なら、「いじめ行為が相手にどんな嫌な気持ちにさせるか」について加害側が気がつき改心してくれるのがベストです。しかしその為には、いじめをせざるを得なくなる程ストレスの多い“家庭環境”を改善しなければならないのですが、それは一朝一夕に出来ることではありません。


   いずれにせよ、真面目に生きている人間が損をする社会は正常ではありません!

   ただし、いじめをしている子供が不真面目に生きているという事では決してありません。繰り返しになりますが、その子供たちは、自身の置かれた生活環境に適応できずに苦しんでいて、そのストレスを他の子供に対していじめという形で発散しているのです。全ては、その子供たちに関わっている大人による影響なのです。