【今回の記事】

【記事の概要】
 15歳の女子高校生に煙草(たばこ)の火を押しつけるなど執ように暴行を加えて重傷を負わせたとして少女2人が逮捕された。
 警視庁によると、逮捕された18歳と17歳の少女は今年7月、東京・小金井市で都立高校1年の女子生徒の左肘に煙草の火を押しつけたり馬乗りで首を絞めたりするなどして全治3か月の重傷を負わせた疑いがもたれている。
 2人は、女子生徒を呼び出し、「タイマンかフルボッコ、プラス土下座の写真流出、どっちにする」などと言って暴行に及んだという。
 18歳の少女は自分の元交際相手と女子生徒が交際していることを知り、「女子生徒がウソをついたことなどに腹が立った」などと容疑を認めているという。


【感想】
「タイマンかフルボッコ、プラス土下座の写真流出、どっちにする?」
これがまだ未成年の少女の口から出た言葉です。なぜ、子供からこのような言動が生まれるのでしぃうか?

   わが国の愛着研究の第一人者である精神科医の岡田氏は愛着障害(愛着不全)が引き起こす問題現象として、次のような問題を挙げています。「いじめ、不登校、ひきこもり、非行、家庭内暴力、恋愛・結婚回避、離婚、薬物依存、家族内殺人」等毎日ニュースで報道される凄惨な問題ばかりです。この中に、今回の記事のような「非行」が挙げられています。
   非行の多くは、自分よりも弱い立場の者に対して、暴言や暴行を加えるケースが殆どであると思われます。この行動は愛着障害(愛着不全)の特徴です(「愛着の話 No.38 〜「我が子は愛着障害ではない」という誤解②〜」の「行動面」参照)。すなわち、自分よりも弱い立場の者を攻撃する行動は、先の岡田氏が言うように、「愛着(愛の絆)」に問題を抱えている証です。
   一般的に、非行に走る子どもの多くは、親から愛情を注がれていない愛情不足のケースが多いと思われます。「愛情」とは、子どもに自由を与えたり子どもの物欲を満足させたりすることではありません。親との心癒される毎日の中で、親との間に「愛着(愛の絆)」を形成することなのです。

   さて、人の「愛着スタイル(人格)」には「安定型愛着スタイル」と「不安定型愛着スタイル」があり、更に後者の「不安定型愛着スタイル」は「回避型愛着スタイル」「不安型愛着スタイル」「恐れ・回避型愛着スタイル」に分かれます。「不安定型愛着スタイル」の3種類の愛着スタイルは、タイプこそ違うものの、いずれも他者に対する“怒り”や“羨望”の感情を持っています。つまり、乳幼児期に母親との間に「愛着(愛の絆)」を形成できなかった子供は、成長したときに3種類いずれかの「不安定型愛着スタイル」を持つようになり、今回の記事のように、他者に対する“怒り”や“羨望”の感情を爆発させるのでしょう。

   本来、子どもを正しく躾けるのは、「父性」を持った父親の仕事です。ある調査によると、母子家庭と父子家庭とで“子供の非行率”を比べると、母子家庭の方が父子家庭よりも約5倍高いそうです。しつけ役の父親がいない事はそれだけハンデを抱えているという事ですが、たとえ父親がいたとしても、乳幼児期に子供が母親との間に「愛着」を形成できたかどうかの方が重要度は高いのです。それだけに、仕事と育児の両方に追われ忙しい毎日の生活の中で、どれだけ質の高い養育を行い、効果的効率的に子供との間に愛着を形成できるかが重要になります。その為の具体的な方法が例えば「愛着7」なのです。
   また、これまでも再三お話ししてきましたが、「愛着(愛の絆)」は主に後天性のもので、環境によって変化するという特質を持っています。つまり、乳幼児期の愛着形成が不十分であったとしても、今から「愛着7」のような効果的な愛情行為を行うことによって、母子間の「愛着(愛の絆)」を改善することは十分可能です。

   子どもを非行の道に迷い込ませないように、今一度、「愛着7」のような「愛着」形成のための愛情行為を見直したいものです。

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