では、ここからさらに、特に幼児期(二~六歳頃)に大切な「小さなことから褒める」ための具体的な方法について、を私の経験上効果があった褒め方をご紹介します。

○できて当たり前のことを褒める。
   以前ある食品会社のグラタンのCM(「またつくってね」のあのCMです)で、お母さんと幼い男の子でグラタンを作っている場面がありました。その中でその男の子がしたことと言えば、家族それぞれのグラタンの上にトマトやタコさんウインナーをのせることだけ、それだけでしたが、私はあの時も褒めていい場面だと思います。「上手にのせることができたね」「みんなが喜びそうなものをよく考えたね」「ありがとう」など。そして、夕食の時に家族の前で「○○が手伝ってくれたのよ」等とほめたものなら子どもは大喜びで、必ずまたお手伝いをするでしょう。
   また、私が当時勤めていた学校で子どもたちの様子を見ていると、廊下にごみが落ちていても、「誰かが拾うだろう」とでも思っているのか、誰も拾わないのです。それも、ちりやほこりではなく、紙をクチャクチャにしたような目立つゴミです(最終的に拾ってくれたのは、特別支援学級の子どもでした)。「落ちているものを拾う」という本来できて当たり前の行動ですが、この当たり前」ができない子どもが多いのです。ですから、こういうできて当たり前のことも褒めてあげる必要があります。他にも、開けたドアをきちんと閉める事が出来る使ったものを片づける事が出来る朝起きた時や夜寝る時に「おはよう」「おやすみなさい」を自分から言う事が出来る、等々、褒めるに値する「当たり前」の行為はたくさんあります(「ドアをきちんと閉めてえらいね」「使ったものをきちんと片付けてえらいね」「『おはよう』がきちんと言えてえらいね」)。実際、ドアを開けっ放しにしたり、自分から片付けをしなかったり、朝夜の挨拶が出来なかったりする子供が多いのが現実ではないでしょうか。そういう「できて当たり前」を褒める事の繰り返しによって望ましい生活習慣自己肯定感が形成されていくのだと思います。
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   また、小学生であれば、毎日教科書を声に出して読む宿題が出されるかもしれません。普段はあまり自分から進んで読まない子どもであっても、たまには家族から言われる前に読んでいる時もあります。本来なら、その姿が「当たり前」なのですが、その「当たり前」を評価しましょう。その姿を見つけたら、「がんばって読んでるわね」の一言をかけましょう。間違っても「珍しいこともあるもんだ」等と“からかう”言葉は禁句です。その瞬間にがんばっていることは事実なのですから。その意味で、このほめ方は、正当な評価と言えるでしょう。その「たまには」という“瞬間”は、どの子どもにも必ずやってきます。その時に褒めるか褒めないかが分かれ道です。そして、その「瞬間」を見逃さないためにも、先に述べた「子どもをきちんと見る」という普段の姿勢が大切になるのだと思います。