【今回の記事】

【記事の概要】
   街の公園から箱型ブランコやジャングルジムなど、子ども向けの遊具が撤去され、その代わりに高齢者が使う「健康遊具」を設置するケースが増えている。少子高齢化に伴いかつての「児童公園」は「街区公園」に変更され、高齢者など幅広い世代に向けた憩いの場となった。しかしその一方で、最近ではボール遊び禁止などに加え、「大声を出さない」「走り回らないなどの注意事項が増え、子どもたちが公園で遊びづらくなっているという指摘もある。
   特に疑問に思うのは「大声」に関する注意だ。少子化や核家族化、単身世帯の増加で、子どもと接した経験が少ない大人が増え、子どもの歓声や泣き声が聞きなれないものだったり、不快な騒音に近いものになってしまったりしているといわれている。大正大学人間学部教授 白土健)
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【感想】
   まさか、子供が公園で「大声を出してはダメ」「走ってはダメ」という世の中がやってくるとは思ってもいませんでした。
   子どもの歓声や泣き声が不快な騒音と捉えられ、遊び場における子供の権利が損なわれているのです。記事によれば、このような事態に陥った根本的な要因は、“子供の数が減った”事による少子高齢化の加速のようです。

   この少子化の加速に関わって、精神科医の岡田氏は、およそ以下のように指摘しています。(詳細は「愛着の話No.20〜愛着は特に成人後の異性関係や子育てに影響する。〜」参照)
乳幼児期に親からあまり構ってもらえなかった人は、他人との交流を避けがちで、恋愛対象との絆を何としても守ろうとする意志が弱い傾向にある。具体的には“非婚化”や“セックスレス”といった現象となって現れる」
「『親でさえ自分を守ってくれなかった』という不安感が、成長の過程で未来に対する絶望感や環境に対する怒りに変わり、誰かと心から人生を楽しむことができなくなる。また、『誰も自分を守ってくれなかったのだから、自分のことは自分で守らなければならない』という意識が生まれるために、他者を信頼して積極的に交流しようという気持ちが薄れていく。」
つまり、母親との愛着の未形成が要因となって大人になって結婚適齢期になったときに、異性に対しても信頼感を持てず、結婚というハードルを越そうとする意欲が湧かなくなってしまうのです。
   
   今回紹介したように、子供が外で体を動かして元気に遊ぶ活動が減っていくと、子供たちはますますモバイルゲーム機遊びにふけることになるでしょう。その事が、ますます「脱愛着」化に拍車をかけることになります。その結果、他人との愛着(愛の絆)を失ったその子らが大人になった時、やはり異性との交流を避けがちになる“非婚化”に陥るという更なる悪循環に陥る事が予想されるのです。

  “愛着不全”による若者の非婚化の問題は、「50年後には働く世代の人口が4割以上減る」という国家の危機を招くとともに、「外で元気に遊ぶ」という子供の“本来の姿”までをも変えようとしているようです。
   私達が愛着の形成と維持の在り方に真剣に向き合うことは、正に喫緊の課題なのです(「続衝撃!50年後、働く世代の人口4割以上減〜子供の養育をどのように見直すか?〜」参照)。