【今回の記事】

【記事の概要】
   535人が犠牲になった1945年の前橋空襲から72年となった5日、前橋市中心部で多くの慰霊行事が行われた。このうち寺や神社、教会計13カ所は午後2時20分に一斉に鐘や太鼓を鳴らして犠牲者の冥福を祈り、不戦を誓った。 
   空襲翌年から慰霊祭を続ける熊野神社(千代田町)は、当時の被害状況をパネル展示し、実話を基に作られた絵本を配布した。東野善典宮司(39)は今年初めて、空襲のあった時間帯の午後10時ごろから翌6日午前0時ごろまで、大祓おおはらえの祝詞を上げ続けた。 
(ところが)5日夕、前橋空襲の慰霊行事をしていた前橋市千代田町の熊野神社と周辺で、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」の愛好者が大挙して押し掛け、参拝者から苦情が出る場面があった。 
   神社関係者によると、100人以上の愛好者が集まり、路上駐車したり、スマホを操作しながら追悼碑や灯籠が置かれた境内に入り込んだ人がいた参拝者からは「節操がない」といった声が聞かれたという。 
   ゲーム内では現在、無作為に出没する「伝説のポケモン」などを、現地に集まった複数人で制限時間内に倒して捕まえる企画が行われている。 
   神社近くでポケモンGOをしていた市内の20代女性は「逃せば次はどこに出るか分からない時間制限もあって焦り、マナーの悪いことをしてしまう人もいるのではないか」と推測した上で、「偶然集まった人と知り合うなど楽しさもあるゲーム。一人一人がマナーを意識するべきだと思う」と話した。
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【感想】
   1945年の前橋空襲から72年となった5日に慰霊祭が行われた前橋市の熊野神社に「伝説のポケモン」が出現してしまい「ポケモンGO」の愛好家が大勢殺到したという今回の事例。戦争の犠牲となった方々を慰霊する行事が行われている神社に、100人以上の愛好者が集まり、路上駐車したり、スマホを操作しながら追悼碑や灯籠が置かれた境内に入り込んだ人がいたとのこと。日本もいよいよここまで来たかという感じがします。

   上記記事の中でインタビューを受けた20代の女性が言うように、「ポケモンGO!」は偶然集まった人と知り合うなど楽しさもあるゲームです。。一人一人がマナーを意識して、他人に迷惑をかけないという自己責任を果たさないと、自分たちがやりたい事が出来なくなるかも知れないという自由と責任」についての意識が望まれます。

   さて、戦争で亡くなられた方を敬う気持ちよりも自分が欲しいポケモンを優先するこの若者たちの行動の裏にも「自己愛自分が良ければいい)」の意識がはびこっていると思われます。この「自己愛」が深刻化すると陥る「自己愛性パーソナリティ障害」は、子供が幼い頃の大人から受けた「称揚」と「共感」の不足が原因であるとオーストリアの精神科医コフートが指摘しています(詳細は「障害者施設殺傷事件植松容疑者は「自己愛性パーソナリティ障害」!〜「明日は我が身」も!〜」参照)。
   しかし、働く母親が増え、子供と十分に触れ合う時間が少なくなっている家庭が増えている昨今、上記の「小さなことから子供を褒める」ことや「子供の話を聞き共感する」という愛情行為(いずれも「愛着7」中の行為)は、ややもすると不足しがちであると考えられます。
   また、乳幼児期に保育園に預けられる子供が増えている状況の中、一歳半までの乳幼児期における母親による養育を通した愛着形成の大切さを見直さなければ、今後もこのような不安定な愛着スタイルを持った若者達が増えていくことでしょう(「愛着の話No.7〜愛着の形成は一歳半までが大切〜」参照)。