【今回の記事】

【記事の概要】
「あと一歩」で大台には達せず。藤井聡太四段(14)の連勝が29でストップした。もっともこれで肩の力も抜けたこと、更なる“進撃”が予想されるが、ここに来て難解な「盤外戦」の一局が――。高校進学を巡り、「天才少年」とその母が、心中相揺らしているという。

 ある藤井四段のインタビュー記事が、棋界で話題になっている。7月3日発売の「週刊ダイヤモンド」誌に掲載された、囲碁の井山裕太・六冠との対談。六冠の、囲碁界では高校に行かない人が結構いて、だから、(自分は)進学せず囲碁に専念するという選択には全く迷いがなかった〉との話を受け、四段は、学校に行くと時間的な制約がかなり増えますので、高校進学については迷う気持ちというのはありますと返したのだ。

   藤井四段は現在、名古屋大学教育学部附属中学校の3年生。来年4月には自動的に附属高校に進むことが出来る。それを断っての「中卒」宣言?と思えるから、周囲がビックリなのも当然か。公式戦、初の敗戦を喫した翌日だけに、驚きも二重だったのである。

   昭和の時代には、棋士は中卒が当たり前。将棋に学歴は不要、そんな暇があるなら、将棋を指すべし、との考えが主流だった。しかし、「今は(プロ養成機関の)奨励会員のうち9割ほどが高校進学しているのでは」と言うのは、弟子多数、「名伯楽」として知られる、所司(しょし)和晴七段だ。短期的なことを考えれば、研究専念のためには進学しない方が良い。一方、中長期的に見れば、規則的な生活が出来る、将棋以外での友人が増えるなど、進学にもメリットがあるのです」

   また、「藤井以前」の中学生プロ棋士を見ると、加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治三冠、渡辺明竜王と、いずれも高校を出ているこうした流れもあってか、将棋ライターの松本博文氏によれば、藤井四段のお母さんは、高校まで行かせたいという気持ちを持っています今の学校を選んだこと自体、中高一貫で、受験に煩わされることがないという理由だったそう。ただ、もしこのペースで対局が続けば、中学はともかく、高校ではある程度の出席日数が必要なため、両立が難しくなってくる。そこを心配していました」本誌(週刊新潮)がかつて藤井四段の母に取材した時も、はっきり「高校は出てほしい」と述べている

 【感想】                                                  私は以前次のような記事を投稿していました。尾木ママとお受験佐藤ママとのバトル〜両者の目的の違い〜」                                    この中で私は「佐藤ママの目的は、『我が子を東大に入れること』であるのに対して、尾木ママの目的は、『社会に出たときに通じる人格の確立』だと思います。」と述べています。

   これになぞらえるなら、藤井四段の目的は、「一流の将棋の棋士になること」であるのに対して、母親の目的は「社会に出たときに通じる人格の確立」ということになろうかと思います。
   義務教育の場合は「学校に行くのが当たり前」という意識しかないかもしれませんが、高校の場合は義務ではないからこそ、自分で自分の心を支えて生活する必要があります。将棋でも自分の心を支える力は身につけられると思いますが、それはあくまで将棋の世界でのこと。人間は社会的動物(“社会”という人間関係の世界でしか生きていけない、決して離れ小島で1人での生活は送れない動物)ですから、人生の中では当然24時間将棋の対局や練習だけをしているわけではなく、自分にとって不得意な生活場面も経験します。将棋に限らず、競技を引退した途端に、反社会的な行動に走り生活を乱している有名人は沢山います。特定の競技等では素晴らしい力を発揮できても、社会生活の中で安定した人格を身につけられるかどうか重要になるのです。そのことを誰よりも強く願っているのが、他でもない藤井四段の母親なのです。愛する我が子のたった一度しかない人生です。棋士としての幸せだけでなく、人間としての幸せを掴んでほしい、そう考えていらっしゃるのだと思います。

「母親VS藤井四段」、私は最終的にはお母さんの“勝ち”になるのではないかと思っています。それは、藤井四段がこれまでの安心して将棋に取り組んでこれたのは、以前の投稿でお話しした通りお母さんの温かな“見守り”のおかげだからです。
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