(前回の続きです)
   また、子どもの中には、通常子どもの目が見えるようになる生後六か月から九か月の間に起こる「人見知り」をしなかったり、誰に対しても抵抗感がなかったりする子どもがいることがあります。そういう子どものことを親が「独立心がある」「社交的だ」「この子は手のかからない子だ」と油断してしまうことも危険です。
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これは、親の養育が不足し、子どもが母親を慕っていないために起きている状態(母親を慕っていれば他の人に抵抗感を示すもの)なので、すぐに養育の仕方を見直し、もっとあやしたり抱っこしたりする必要があります。もしも親がそれに気が付かずに、この子は放っておいても大丈夫」と思い込み、その後も子どもとの交流をなまけてしまうようなことがあると、その結果、他人との交流を避ける「回避型」の愛着不全に陥ってしまう危険性があります。事実、自閉症と似たような症状(他との交流を好まず自分だけの世界に閉じこもりがち)を持つ幼児の母親たちが、「赤ちゃんの頃は手のかからない子でした」というケースの場合、このような「あつかいやすさ」から生じる交流の少なさがその原因となっていることが少なくありません。
   また、複数の子どもを出産した母親の場合、第一子については、初めての子どもということもあり、きちんと手をかけるのですが、二人目三人目と出産を重ねていくと、だんだん子育ての要領が分かってきて、「このくらいは手をかけなくても大丈夫」という油断が生まれることはないでしょうか。先に述べたように、子どもの様子が安定しているからといって、子どもの愛着が安定しているとは限りません。やはり結果的に、「回避型」の愛着不全の子どもになり、大人になっても人との交流に抵抗感を覚えるタイプになる危険があります。