【今回の記事】
(漫画記事)

【記事の概要】
   30分500円で遊べるプレイルームにて。のこりあと1分という場面で、とつぜんヒルマが泣き出しました。その怒り様から、さっきまで一緒に遊んでいたお友だち(年上の小学生男子)が関係していることはピンときました。
   ヒルマがしてほしくないことを、お友だちがしたのでしょう。「やめて。ねえ、やめてってば」 と訴えるヒルマの声が、何度か聞こえていたからです。ふざけ合いと思い、様子を見に行かなかったことが悔やまれました。
   号泣するヒルマに「時間だよ、帰ろう」 と声をかけ、一刻も早くこの場から退散しようとしたそのとき、おばあさんが大声で笑いだしました。
ははははは。あらあら、泣いちゃった~。ははははは。そんなに大きい子が泣いたらおかしいよ~。ははははは
   う~ん、これね。おばあさんの気持ちもわかる。明るく笑いとばして、大したことないよ、楽しく遊ぼうよ的な声援ともとれますが、ヒルマにとっては・・・・・・。
   それでも29分間は楽しく遊べたから良しとしようと思ったところに「二度と来たくない!」と暴言を吐かれムッとしました。売り言葉に買い言葉で「わかった。もう連れて来ないよ」と言い返したあとでハッとしたのです。こんなとき反応してはいけなかったことを。
   子どもが泣いたり怒ったりしているときは落ち着くまで放置する、とペアトレで学んだばかりでした。なだめたり怒ったり、親が反応すると、子どもは構ってもらえることを学び、同じ行動を繰り返すようになるのだそうです。
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※上記漫画記事もご参照ください。

【感想】
   今回の記事では、子供の減らしたい行動がある時は、子供の行動に反応しない「消去」という技法が紹介されています。なだめたり怒ったり等親が反応すると、子どもは「構ってもらえた」と認識するのです。怒られても「構ってもらえた」と思ってしまうのは、それだけ親からの愛情を欲している証なのかも知れません。普段周囲から否定的に見られることが多い発達障害児ならではの認識と言えるかも知れません。
   この技法を最も使う事が多い場面は、スーパーではないでしょうか?。幼い子供が「これ買って〜!😭」と駄々をこねている時に「今日だけだよ」と買い与えてしまうと、次も必ずねだりますが、全く相手にしない(反応しない)でいると、次回からは“おねだり行動”は無くなります

   ある学校の子どもが先生をつねる行為をしているたということを聞きました。その先生は、子どものいたずらに対して反応しないことで子どもの行動を無くするこの「消去」という技法を使ったそうです。しかし、子どもの行為は止むどころか次第にエスカレートしていったそうです。なぜでしょうか?
   一般的に、それまで子どものある行動に対して反応を示していた人が、ある時「消去」を使うと、その子供はその行為を止める前に「消去バースト」というエスカレート行動をとるそうです。例えば、それまで普通に働いていた自動販売機が急にお金を入れても商品が出てこなくなった反応が無くなった、つまりこれが「消去」に当たる)とします。すると、その人は「この前までは動いていたのにおかしいな?」と思い、もう一度お金を入れるでしょう。それでも動かない時は、自販機を少し叩いてみるかもしれません。それでも反応が無いときは自販機そのものを揺らしてみるかもしれません。これらのエスカレート行動が「消去バースト」です。しかし、どんなに手荒い行為をしても反応が無いとあきらめて働きかけを止めてしまうのです。
   先のスーパーでの例でも、いつも反応してしまっているお母さんが、急に「消去」を用いると、子供のおねだりはエスカレートしていきますが、最後まで無反応を貫き通せば子供の“おねだり行動”は無くなります。しかし、お母さんが周りの視線に負けて「困った子ね」等と相手をしてしまうと、子供は「これはいけるかも?」と思い、ますます“おねだり行動”を加速させてきます。注意が必要です。

   さて、話は変わりますが、大泣きしていた子供を笑い飛ばしたそのおばあさん。学校教育になぞらえるなら、特殊学級にしか障害者がいないとされていた「特殊教育」の時代であれば、健常の子供に対してそのように接するのは分かります。しかし今は、通常学級にも発達障害児がいるとされる「特別支援教育」の時代です。特に感覚過敏の自閉症スペクトラム(ASD)の子供は周囲からバカにされるのを特に嫌いますから一考が望まれます。
   世の中には相手をからかったりいじったり、更には相手を不快にさせるような冗談を言ったりして、場を和ませようとする人がいます。しかし本来、そのような行為は望ましいものとは言えませんし、からかわれて嬉しい人などいないはずです。仮に「人をからかって楽しむ」となれば、それは既に「いじめ」の第一歩です。子供なら普段の家庭での“ノリ”で、学校でもやりかねません
   場を和ませる方法はそのようなネガティブな方法ではなく、ポジティブな方法(今日学校であった事を話す。親子でゲームをする。等)も沢山あります。世の中には感覚過敏のASDの傾向が強い人もいるという事を考えれば、出来るだけネガティブな話題は避けるようにしたいものです。それこそが、ASDの傾向が強い人でも気持ちよく生活できるユニバーサルデザインによる社会づくりへの第一歩ではないでしょうか?