【今回の記事】

【記事の概要】
   ビジネス書のベストセラー『伝え方が9割』は、相手にイエスと言ってもらうためにはお願いをどう伝えればよいか‥‥について書かれた本。ビジネスシーンだけでなく、子育てでも応用できると話題なんです。そこで、2児のパパでもある著者の佐々木圭一さんに、子育ての「困った!」シーンでの伝え方についてお話を伺いました。
何度も言っても片付けない子が自主的にやるようになるには‥‥
   例えば、子どもがおもちゃを出しっぱなしにしています。「片付けなさい!」と言っても、子どもは動きませんつい感情的に「どうしてちゃんとできないの⁉」と叱ってしまい、子どもはしょんぼり‥‥。何回注意しても右から左に聞き流して、全然言うことを聞かないわが子に、どうすれば伝わるのでしょうか?
伝え方の技術」を用いるなら、こうです。
カズくんはお片づけ上手だから、30秒で全部しまえるかな?
   これは「伝え方のレシピ」のひとつ、「認められたい欲」を使っています。“人は期待されると、その通りの成果を出したくなる”という性質を利用しています。もともと人には認められたいという本能があります。大人も子どもも、男女関係なく認められたい欲はあるのですが、子どもたちはとくに「ママにいいところを見せたい!」「ほめてほしい!」という気持ちが強いもの。ですから、この欲求を刺激してあげると、あれだけ「やりなさい」と怒ってもやらなかったのに、自分から片付けをしたくなります。
   もちろん、「認められたい欲」は大人にも効果的。姑さんへのお願いごとをするときだって使えます。例えば、数時間子どもを預かってほしいとします。「子どもを預かってもらえませんか?」だと、ただあなたの要求を姑さんに突き付けただけになってしまいます。けれど、
お義母さんに会えると、あの子もご機嫌になるんです。なので、預かっていただけないでしょうか
と伝えれば、相手は認められたい欲が刺激されて、孫を預かってほしいというお願いに応えてあげたい、という気持ちになるのです。

【感想】
   誰もが持っている「認められたい欲」。これを刺激して相手の行動を促す。ナルホドの方法です。
   しかし、気をつけなければならない事があります。それは、普段片付けを殆どしない子供に「◯◯君は片付けが上手だから…」とか、子供がおばあちゃんに好意を示していないのに「お義母さんに会えると、あの子もご機嫌になるんです」等と見え見えのお世辞を言うと相手もこちらの作戦に気付いてしまうという事です。
   つまり、普段から「認められたい欲」を刺激するための相手の良さ(「子供が片付けを上手にしる」「子供がおばあちゃんに対して好意を持っている」)観察してキープおく必要があります。
   仮に、たった一度でも該当する一面を示していれば、「この間片付けがとても上手だったね〜。今日もできるかな?」とか「この間、うちの子が『あばあちゃん好き』と言ってたんですよ。預かって頂けませんか?」等とお願いすることができます。これは決して嘘にはなりません。

   先日私が現在アドバイザーとしてお世話になっている障害児童対象の放課後学童保育施設でのことです。あるADHDの子供がゴミを床に落としたので、私はその子に微笑みながら
😊このゴミどうしたらいいかな?
と聞きました。するとその子は直ぐにゴミを拾ってゴミ箱に捨てました。私は「よく気がついたね!」と褒めました。
   同じセリフでも
😡このゴミどうしたらいいかな?
とはニュアンスが大分異なります。おそらく「😡」の方では同じような行動には現れなかったと思います。つまり、この「😊」こそが、あなたなら気づけるよね」というその子に対する肯定的な思いの現れなのです。
   実はこの支援の中に「セロトニン6」の中の支援が使われています。それは「子供を見る」「子供に微笑む」「優しく語りかける」「小さなことから褒める」の4つです。「セロトニン支援」は、子供を“色メガネ(先入観)”で見るのではなく、子供のよさありのままに受け止める支援です。これらの行為によって、子供は「この大人の人は自分を“いい子”だと思ってくれている」という感覚を覚えます。すると子供はその期待に「認められたい欲」が刺激されて、いい行動に出るのです。そして、その行動の後に褒めてもらいたいのです。
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