【今回の記事】

【記事の概要】
   今回は、2児の母でもあるキャリアカウンセラーの小島貴子さんが「思春期の息子」への接し方について教えてくれました。

《お悩み》
   学校ではおとなしく友達も少ない中3の息子が、最近すぐにキレて困っています。先日、息子の部屋があまりに散らかっていてほこりだらけだったので見かねて掃除すると、「なんで掃除すんだよ。ゲーム機の位置がズレただろ」と怒りだし、自分のひじで壁をたたき、壁に大きな穴があきました。「どうしてそんなことするの?」と息子を叱ったのですが、「お母さんが悪いんだよ」の一点張り。その様子を見ていた小4の妹もおびえ て、兄と一緒にいるのが怖いといっています。こんな性格の息子の将来が心配です。(新潟県 ネコ娘 45歳)
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小島さんの回答
   お母さん。誰も悪くありませんよ。中学3年生の男子。心よりも体が先に成長し、性の変化も激しく、自分がどうなっているのか、自分自身が受け止められないのです。他者との関係も難しくなり、高校受験もある。息子さんは自分の成長に戸惑っているのだと受け止めてみましょう。本音でぶつかれるのは家族だけ。外で整理できない感情や出来事すべてを粗暴に吐き出すことで何とか保とうとしているのです。家族はたまったもんじゃないですよね。
   私は息子が小さいときから、「ことばは丁寧に。あいさつはちゃんと。気持ちをモノや音で表わさない」といい続けましたが、やっぱり中学になると音やモノで自分を表現し威嚇してきました(笑)。そんなときは、絶対にひるまない落ち着いた感情で「嫌なことは、感情で表わさない」と伝えてください。大事なのは子どもと同じ感情で会話をしないこと。

【感想】
   思春期を迎えた子供に対しては、「子供の掃除をしてやる」という親からの余計な干渉はトラブルの元になりますし、何よりも自立性の発達の妨げになります。自立3支援」(「①見守る。②任せる。③命令しない。」〜国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ石川尚子監修)の考え方に従って、掃除は本人に任せましょう。部屋が汚くなって、物が見つからなくなったり、汚臭がしたりすれば、「困り感」が湧き、自分から片付けるようになります。
   以前も紹介しましたが、ベストセラー「子どもの心のコーチング」の著者である菅原裕子氏は、その著書の中で、「子供に教えたい3つの力」として「(人を)愛すること」「責任」「人の役に立つ喜び」の3つを挙げています。そして、その「責任」を教えるうえで不可欠なことは、子供に「困り感」を体験させることだと強調しています。自分で実際に困る経験をしないと、「自分のことは自分で改めよう」という“自己責任”意識は養われないのだそうです。
   更に氏によれば、「責任」感が養われないと、トラブルが起きるといつも人のせいにするようになり、自分の責任だと思わなくなる。人のせいにするという事は、自分自身を反省することが無くなるという事であり、それと共に自分の成長も無くなるのだそうです。本事例の場合も、自己責任の意識がないから、「お母さんが悪いんだよ」と人のせいにするようになったのでしょう。
   小島氏は、もしも子供がそのような理不尽な言い分を突きつけてきた時は、「絶対にひるまない落ち着いた感情で『嫌なことは、感情で表わさない』と伝えてください」と指摘しています。
   親まで感情的になると、火に油を注ぐ結果となり、子供の余計な反発を引き出してしまいます。家庭内が汚い言動で溢れ、安全な場所で無くなり、妹さんも精神的に参ってしまい登校を渋る結果になるかも知れません。あくまで理性的な態度で接する事が大切です。
   また、お母さんが悪いんだよ」というような子供の理不尽な言い分のいいなりになり、「正義を崩してしまうと、その後は子供の天下になり、遅かれ早かれ「学校に行きたくない」というわがままに走り出します。ここが大きな分かれ道なのです。

   更に小島氏は嫌なことは、感情で表わさない」と子供に伝えて欲しいと述べていますが、自分がどうなっているのか、自分自身が受け止められない状態の子供には嫌なことは、感情で表わさずに言葉で伝える」と出来るだけ具体的な行動の仕方を教えることも有効だと思います。

   なお、私は以前に次のような記事を投稿しています。合わせて参照頂ければ幸いです。