【今回の記事】

【記事の概要】
   顔の変形、あざ、傷、まひ…。病気や事故によって、人とは違う外見の人々がいますそんな彼ら・彼女らが学校でいじめられたり、恋愛や就職に苦労したりすることを、「見た目問題」といいます。当事者である中島勅人(のりと)さん(42)に、これまでの人生や、本音を尋ねました。
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   ――中島さんの症状は
 生まれつきリンパ管に、良性の腫瘍(しゅよう)があり、左の顔と舌が大きく膨れあがっています。原因は不明と言われています。
――この症状で、つらい思いをしたことは
 視線です。街に出ると、好奇の目で見られます。すれ違いざまに、「何、あの顔?」と言われたり、「うわっ!」と驚かれたり。指をさされたりニヤニヤされたりしたこともあります。
 ほほを膨らませてマネをされたりたたかれたりしたこともありました。小さな子どもには、怖がられることもあります。
 特に高校生のころは、見知らぬ人から注がれる視線に、心がかき乱され、いつもイライラしていました。顔を見てくる人がいれば、にらみ返していました。家に帰ると涙が止まらず壁を蹴りました。今も視線は気にはなりますが、放っておきます。
 スマホ時代になり、みんな下ばかりを見ているため、私への視線は減ったと思います。私にとっては、いい時代だなと感じています。



【感想】
   以前何かの投稿記事で紹介しましたが、私は受け持った子供たちにいつも「人の顔や体について悪く言ってはいけません」と教えて預けてきました。
   しかし、この記事を読んで、本人を前にしてこんなにもあからさまな誹謗中傷が行われている実態愕然としました。

   実は私も同じような体験をしてきました。それは私が中学校から高校時代にかけてのことです。今でこそ普通の体型になりましたが、当時はガリガリの体型でした。ですから、半袖や短パンを着なければいけない夏が大嫌いでした。そんな時、校舎内ですれ違ったある女子生徒が私を見てこう言いました。「うわっ、気持ちわる〜い」。私はその晩、がん患者のようにやせ細った自分の腕を見ているうちに涙が溢れてきました。女子生徒から中傷された当時の情景は今でも心の傷として残っています。

   性格の悪さは自分の意識次第で直せますが、顔や体に関わる“身体的特徴”については本人の努力で治すことが非常に難しいです。そして一番苦しんでいるのはその本人なのです。 

   私は今では普通の体型になることができましたが、この男性は生まれつきの病気のため、おそらく一生そのまま生き続けることになるのだと思います。
   ご自身は自分の顔を「醜い」と感じられているかもしれませんが、この男性に対して、すれ違いざまに「何、あの顔?」と言ったり、「うわっ!」と驚いたり、指をさしたりニヤニヤしたりした人達の“心”の方が何倍も醜いと私は思います。

   子供は何も指導されなければ、思った事をそのまま言動に表します。それが普通の子供です。また、「そういう人を見てはいけないよ」と教えるだけでは、不自然に目をそらす場合も少なくなく、結果的に相手に不快な思いをさせてしまう事にもなりかねません。適度な行動を教えたいものです。

できるだけ早く「人として行ってはいけない言動」を教えてあげてほしいと思います。