前回の続きです)
   紹介が遅れましたが、前回紹介した、子供に「成功体験」を与える支援方法(成功する環境を作り褒めて伸ばす方法は、基本的には、小学校中学年位までの子供が対象と考えていただくと良いかと思います。
   そして今回紹介する、子供に「失敗体験」を与える支援方法は、ある程度心が強くなってきた小学校高学年以降の子供たちを対象とするのが良いと思います。(もちろん子供の実態によって変わることもあります。)しかしこの「失敗体験」による方法で生活習慣を身に付けた子供は、習慣が元に戻ってしまう心配も少なく大人になって社会に出てからも生きて働く力となり自分自身を支えるものになります。

   では、「失敗体験」を与える支援方法とはどのようなものでしょうか?
   一言で言うと、
「実際に失敗を経験することで、その生活習慣が身についていないと自分にとってどのような不利な状況が起きるのかということを体験を通して知らせる方法
です。この方法は菅原裕子氏(NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事)も提唱している方法です。
   しかしこの支援には「子供が自分でできることには手を貸さない」という親御さんの固い決意が必要になります。我慢出来なくなって「転ばぬ先の杖」を出してしまうと、子供に「失敗体験」をさせることができないので、いつまでたっても生活習慣が身に付きません。あくまで子供に任せ見守るのです。(しかし遅刻するとみんなに迷惑がかかるという場合はその限りではありません。)
   つまり、子供が朝自分1人で起きるようにさせたいという場合には、絶対に誰かが起こしに行ってはいけません。その結果、子供が寝坊して学校に遅刻してしまうことになれば、学校で先生に叱られたり、みんなの前で恥をかいたりと子供は嫌な思いをすることでしょう。この嫌な思いを体験するというそのことが一番大切なのです。その思いこそが、「こんなことになるなら、これからは絶対に寝坊しないようにしよう」という動機付けの最も大きなエネルギーになるのです。

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「恥ずかし〜。こんな思いは二度とごめんだ!」

   ただ子供によっては、「明日から絶対誰もあなたを起こさないから、遅刻してもあなたの責任ですよ」と予告されるだけで、「これは大変だ」と用心深さが増し、次の日からは目覚まし時計をかけて1人で起きるようになる場合もあると思います。「環境が人を育てる」という言葉がありますが、それほど、人の力を借りることができないという環境は、子供の自覚を強く促すのです。

   前回紹介した「成功体験」を与える方法は、子供に与える不安感はありませんが、本当の意味で「なぜその習慣が必要なのか?」ということは分かっていません。ですから、人から褒められて身に付けるこの方法だけでは、子供が大きくなってから一人で暮らすようになった時に、また一人では起きれなくなる危険があります。

身をもって学ぶ」という体験は、それだけ子供に真の力を授けるのです。