‪‬ (この「愛着の話」は精神科医の岡田尊司氏を中心に、各専門家の文献を、内容や趣旨はそのままに、私が読みやすい文章に書き換えたものです)


【注目点】

   子どもは乳幼児期の育てられ方次第で、様々な愛着パターンを示します。どんな育て方をするとどんな子供に育つのでしょう?

   今回は、「安定型」愛着パターンと、「不安定型」のうちの「回避型」愛着パターンについて紹介します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   これまでの先行研究により、子供の愛着にはいくつかのパターンがあるとして、次の4つが挙げられています。
①安定型
   安定型は、母親から離されると、泣いたり不安を示したりするが、その程度は過剰というほどではなく、母親が現れると素直に再会を喜び、母親に抱かれようとする。約6割強の子供は、この愛着パターンを示す。安定型では、子供がストレスを感じた時に、母親がすぐに世話をしているために母親が子供の安全基地としてうまく機能している。また子供を無条件に受容し安心感を与えている場合にこのスタイルになると考えられる。

②回避型
   回避型では、母親から引き離されてもほとんど無反応で、また、母親と再会しても目を合わせず、自分から抱かれようともしない
{E01DBCE6-6AAD-4314-A69A-4423EFCFB1DC}
親に対して関心を示さない「回避型」

回避型は、避難する安全基地を持たないという特徴があるため、ストレスを感じても愛着行動を起こさない(愛着対象を求めない)タイプだと言うこともできる。この愛着パターンは1割5分から2割の子供に認められる。
   小さい頃から児童養護施設などで育った子供に典型的に見られるが、母親が子供に対して感受性や応答性が乏しかったり、親の関心や世話が不足して放任になったりしている場合でも見られる。また、子供に対する要求が高く厳格な親のため、あまりほめられたことがなく、悪い点ばかりをあげつらわれ、心に安全基地を作れないために回避型のパターンになる可能性がある。
   回避型の子供は、その後、自分に対して世話をしてくれなかったり、いつも否定的な言葉をぶつけてきたりしていた大人への不満が、周囲への反抗や攻撃性という問題を起こすことが多い。さらに保育所等の施設に預けられている子供や、家庭や仕事の事情から母親がいつも子供の側にいることができず、家族の他の大人も不規則に養育に関わるような家庭条件の中で育った子供は、絶えず養育者が交代するという状況に陥り、特定の大人との愛着の形成が行われず、結果的に誰に対しても信頼や愛情を抱きにくい人間になってしまう危険がある。