【今回の記事】

【記事の概要】
   河北新報社とインターネット調査会社マクロミル(東京)は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に関するネットアンケートを東北6県と首都圏1都3県で実施した東京電力福島第1原発事故の避難者へのいじめや差別を身近に感じたことがある割合が、福島県では64.3%に達した。原発事故への偏見の社会的な広がりは深刻で、福島の被災者の苦しみは大きい。
   身の回りで大人を含めた原発事故避難者に対するいじめや差別、偏見、悪口を感じたことがあるかを聞いたところ、
福島では「実際に見た」が19.0%、「話に聞いた(報道を除く)」が45.3%、合計  64.3%
福島県沿岸部の被災者に絞るとさらに高く、「見た」が27.6%、「聞いた」が45.7%、合計73.3%
福島県以外で集計すると原発差別を「見た」と「聞いた」の合計は合計20.5%
となり、福島県内外で、いじめ、差別に対する認識が対照的な結果となった。

   また、原発事故で避難した子どもに対するいじめが各地で問題化していることについて、原因を複数回答で聞くと、
①「いじめる側の家庭の問題」が56.4%と最も高く、
②「事故避難に対する子どもの理解不足」が46.5%、
③「社会全体の偏見」が43.5%
(「学校の努力不足」は23.5%、「国、自治体の啓発不足」は13.3%と比較的に低く、「報道の影響」は22.8%だった。)

【感想】
   ここでは特に「原発いじめ」が起きる原因について注目したい。
   回答の多かったものから順に挙げると、次のようになった。
①「いじめる側の家庭の問題
②「事故避難に対する子どもの理解不足
③「社会全体の偏見

   まず、①「いじめる側の家庭の問題」については、なぜ事故避難しなければならない人がいるのかということについての親による子供への指導が不十分であるという指摘であろう。
   次に、②「事故避難に対する子どもの理解不足」については、確かにその通りだとは思うのだが、子供の普段の生活の中では、事故避難の理解の元となるニュース報道を見ている子供はおそらく少数派であろうと思われる。学校ではこのような時事問題について子供たちに教えるという時間は設けられていない。ということは、結局は親が子供にどれだけ事故避難の意味を教えたかということが大きく影響すると思われる。
   また、③「社会全体の偏見」については、実際のいじめの加害者となる子供は、「社会全体がどんな偏見を抱いているか」ということについてはほとんど理解していないのではないかと思われる。つまりこのことは、いじめの加害者となる子供にはほとんど影響を与えるものでは無いということが考えられる。

   これらのことをまとめると、子供のいじめ行為の最も大きな原因となっているのは、“親による指導不足”であると考えている人間が多いという事が分かる。
   しかし、世間のいじめ報道を見ていると、実際にいじめが起きたときに謝罪をしているのは市町村教育委員会の並びに学校側である。確かに小中学校の学習指導要領の中には、子供たちの集団生活の指導という項目が入ってはいるが、本来の目的は学業指導である。
   今一度、いじめ防止は基本的に親の役割であるという事を認識し直す必要があるのではないだろうか。

   なお、このことに関わって、以下のブログ記事も参照していただければ幸いである。