【今回の記事】

【記事の概要】
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①「母娘問題」に切り込んだNHKの連続ドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」(毎週金曜午後10時)。波瑠さん演じる娘と、斉藤由貴さん演じる母が火花の散るようなバトルを繰り広げる中、異例の盛り上がりを見せているのが番組掲示板です。自分の体験談を吐露したり、悩みを打ち明けたり……。出演者へのエールが多い番組掲示板とは異なる展開を見せています。
   掲示板には、母との関係に悩む娘たちからの長行の投稿があふれています

②公開掲示板の投稿例
「顕子さん(母親)のみっちゃん(娘)への愛は、彼女なりの愛の表現の仕方で、愛してることは確かなんですよね、でもその愛し方が、間違った方向に行ってる。私もそうでした。娘を守らなきゃ傷ついてほしくないと、私がいちいち口を挟んでました一番傷つけているのは、笑顔を奪っているのは、誰でもない、母親の私と気づいたとき、涙が止まりませんでした。面等向かって、こうしなさい、ああしなさいというのは簡単だけど、本当の愛は、遠くから見守る何かあったときには、いつでも助けるという気持ち本人の意思を尊重すること子供はあなた(親)のものじゃないということ。自分が変われば周りが変わるって本当ですよ。」

「私の母もとても愛情深い優しい母親です。子供の為に自分を犠牲にしている素晴らしい母親です。私は物心つく頃から母親のことを嫌いだなんて思ってはいけないと自分に言い聞かせて生きてきました。自慢の娘でいなくてはと。でも去年母親の病気をきっかけに気づいてしまいました。あの人は本当の私を好きな訳じゃなかった。言う事を聞く都合のいい娘が好きなだけだった。
お母さん
私はあなたの親友ではありません
私はあなたの夫ではありません
私はあなたの母親ではありません
私はあなたの自慢の娘にはなれません
40過ぎて気が付きました。」

「ドラマを観て、恐ろしいほど妻と義母の関係にそっくりです。交際していたときから私と妻がどこへ行って、何を食べ、何を話したか全て聞いていた母と報告していた娘結婚しても毎日のLINEは欠かさず、また何だかんだと理由をつけて仕事帰りに実家に立ち寄っていました。そして子宝にめぐまれ出産。新しい家庭が動き出した矢先。義母から『娘はもうあなたのところに帰りたくないそうよ』と言われ妻にも息子にもそれっきり会えずにもう1年現在は離婚裁判中。こんなことが、本当にあるんです。

「私の母親は顕子さんほどではありませんが似たようなところがあります。『あなたのためを思って言ってるのに』と言われ自分の価値観を私に押し付けてくることが多々あります。自分が正しいと思っていることは絶対で、私がいくら嫌だと思って反論しても話を聞いてもらえません。それでも虐待などひどいことをされているわけではないしむしろ愛を持って私を育ててくれているので母を突き放すことができません。投稿の中にもありましたが、このドラマに救われている部分があります。私も美月さんのように自分の人生を自分の力で切り開こうとする勇気をもてるようになりたいです。」

「ちょうど母との関係のことで悩んでいた時にこのドラマが始まり、毎週自分と重ね合わせて見ています。母と仲は良いし、好きですが、今まで母の言う通りに生きてきて、これからの就職も母の言う通りにしなければいけないことに息苦しさを感じています...。家を出てはいけない、終いには介護をしてと言います...。東京に本当にやりたい仕事があると言った瞬間には、表情を一瞬で変え、怒りだしました私の人生って一体誰のためにあるのでしょうか。涙が出ました。このドラマに改めて考えさせられました。

「私自身の経験と重なり、いろいろな感情が揺さぶられ、内省する貴重な機会になっています。
掲示板の皆様のお声にも励まされます。私も結婚を機に母から離れることができましたが、今でも母の陰はぬぐい去ることができず、時々母の価値観なのか自分の価値観なのかわからなくなるときがあります。母のために良い子で生きている自分がいます。幼いときは仲良し母娘で、そのことが誇りでした。それがいつしか苦しくなり、自分を見失い、苦しい時期がありました。救ってくれたのは、主人、そして自分の足で歩こうとしてきた自分自身のような気がしています。今は母親なりの寂しさや葛藤もわかりますが、どうしたらいいものやら。

【感想】
   NHKの連続ドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」(毎週金曜午後10時)。
   このドラマについては放映が始まった頃に以下のブログで取り上げていました。

「幼い頃から仲良しだった母娘」は実は、「仲良し過ぎた母娘」だったのかも知れません。その時毒母が考えていた事とは、自分のために都合の良い娘を育てる事だったのです。
   そんな毒母は「自己愛性パーソナリティー障害」である事が多いそうです。「自己愛性パーソナリティ障害」は自分だけが特別な存在と考えてしまう障害です。つまり、娘を自分の所有物と考え、自分のために役立って当然と考えます。
   ではなぜ「自己愛性パーソナリティ障害」になるか?と言うことについては、神奈川県相模原市の知的障害者施設殺傷事件の容疑者を取り上げた以前のブログで紹介しているので、ご参照下さい。改めて、乳幼児期の養育が一生の人格形成の鍵を握っているという精神科医の岡田氏の指摘の大切さを痛感します。ちなみに、毒母とその娘は、岡田氏の言うところの「不安型」の愛着スタイルの人間に当たると考えられます。
   また、公開掲示板の投稿例の最初のあるお母さんからの投稿を見ると、改めて「自立3支援」の大切さを感じます。

   今夜がいよいよ最終回です。主人公や母親がどのような姿で最終話を迎えるかという事は、現実に母と娘との関係で悩んでいる方々にとって大きな示唆を与えるのではないでしょうか?