【今回の記事】

【記事の概要】
   外を歩く時も、必要以上に他人の目を気にしすぎる、他人の笑い声に敏感に反応する…その子は「アザコン」(※アザーコンプレックス=他人の目、評価を気にしすぎた行動をしてしまう)の可能性があるかもしれない。そこでここでは、息子の「アザコン」を心配する小学生ママAさんに取材し、心理カウンセラーの森公美子先生からそのママへのアドバイスをもらった。

(Aさんの話。以下同)「長男・Bは現在小学6年生。昨年くらいからでしょうか、Bは私と一緒に歩くことを極端に嫌がるようになりました。どうやら地元のお友だちに、家族と歩く姿を見られるのが嫌な様子。これくらいであれば“思春期にありがちなこと”で済まされますが、電車やバスのなかでも、常に神経を尖らせて周囲の視線を気にしているのです。」
   元々母親のAさん自身も、必要以上に身なりを気にするようなところがあり、「この服で保護者会に行ったら派手すぎないか、ママ友からどう思われるのか」などと思い悩み、学校の行事に出かける洋服選びだけで、1時間以上かかってしまうことがあるという。
「子どもが生まれてからも、他者からよく思われたいという気持ちは相変わらず。そのために、一時は持ち慣れないブランドのバッグやアクセサリーを衝動買いしてしまうこともありました。ある日仲良しの職場の先輩に『Aさんはマジメだから…。人は誰からも好かれるなんてできないのよ。ありのままのAさんを好きになってくれる人が何人かいれば、それでいいじゃない?』と言われたことがあって、気持ち的にずいぶん楽になりました」
   思い返すと、初めて生まれたBくんの育児の時も、”他人から、ステキないいママだと思われたい…”という願望が強く働いたという。
子どもに似合わない高い服を着せたり自分が正しい育児を行っているという姿勢を(周囲の人に)アピールしたくて、必要以上にBをきつく叱ってみたり…。時には、“ほら、ダメな子だと思われちゃうわよ”なんて、親としては絶対にいけない言葉を使ったりしたこともありました。私の育て方のせいで、Bはどこか『アザコン』気味なのかもしれません」
   明るく優秀なBくんは、学校では先生に頼りにされる存在なのだそう。だがその一方で、外出先では、他人のヒソヒソ話や笑い声にもとても敏感な一面も見受けられるという。
大人たちの反応におどおどしたかと思えば、小さい子の前では、わざとゲーム機やスマホを取り出してアピールして、気を引くような一面も。“誰もBのことをそんなにジロジロ見ていないから、あまり気にしない方がいいよ”と何度か注意してしまったこともありますが、はたしてこれは逆効果だったのでしょうか。育てた私の責任でもありますが、このままでいいのか…親としては今後どんな育児を心がければいいのか、不安になります」
   この実録を踏まえた上で、森久美子先生からアドバイスをもらった。
(森氏)「他者を必要以上に気にしない子どもに育てるためには、親がどれぐらい子どもの個性を認め、受け容れることを大切にしてきたか、つまりどれだけ子どもの「(自己)肯定感」を養ってきたかが大きく関係すると思います。このケースのように、親が世間体を気にする傾向が強い、あるいは子どもの存在そのものを否定するような態度や言動(例えば、子どもの話をきちんと聞かない、子どもの主体性を大切にしない)も、自己肯定感を養うことの大きな妨げになるので、もしもママ自身に当てはまるところがあれば、今後は改めていかれることをおすすめします」

【感想】
「家族と一緒にいるところを誰かに見られていないか不安」「外出先では、他人のヒソヒソ話や笑い声にもとても敏感」。そんな他人からの評価に対して過剰にこだわっている「アザコン(other complex)」のB君。精神科医の岡田氏が言うところの「不安型」愛着スタイルの子どもです。養育の仕方から症状まで同じです。
   そのお母さんのAさんは、職場の先輩から「Aさんはマジメだから…。人は誰からも好かれるなんてできないのよ」とアドバイスを受けています。つまり、Aさんは「完璧主義者」だったのです。それ故、いつもみんなから良く思われたいという行動が多かったのです。
「完璧主義者」の親は、子どもにも完璧を求めます子どもに完璧を求めると、子どもを自分の思い通りに育てたくなる、子どもへの注意が多くなります。その結果、子どもは自分に自信が持てない、つまり自己肯定感が下がり、「こんなダメな自分をバカにしている人はいないか?」といつも周囲の目を気にする子供になってしまうのです。

   さて、そのような「アザコン」にならず自分に自信が持てる(自己肯定感が高い)人間に育てるためには、次の3つの支援が必要になります。
①子どもに自由に活動できる雰囲気を提供する
②子どもの主体性に任せる
③良いところを褒める

   子どもに「親からまたいつ注意されるだろう」という“不安感”があると、自由に活動できません。そうならないためには、親が「(きちんと)させようオーラ」を発してはいけません。逆に、子どもに「自由に活動して良いんだ」と思わせる「安心オーラ」を発する必要があります。その「安心オーラ」を発するための方法が「セロトニン6」です。この「セロトニン6」には、「小さなことから褒める」という支援が含まれているので、この支援によって上記の「①子どもに自由に活動できる雰囲気を提供する」と「③良いところを褒める」をカバーすることができます。
   また、「②子どもの主体性に任せる」ために有効な支援方法は「自立3支援」です。なお、この支援方法は、以前「『企業が学生たちに求める能力』を育てるための家庭内支援方法として紹介したものでもあります。

   上記の①〜③の支援によって子供に自信を持たせる(自己肯定感を育てる)ことが、周囲の目を気にしない子供を育て、さらに将来、企業が求める“主体的に活動できる自立した大人”に育てることに繋がるのです。