【今回の記事】
<いじめ>「被害者も悪い」小中3割 金沢市教委アンケート

【記事の概要】
   金沢市教委が今年度、市立小・中・高校の全児童・生徒約3万5000人を対象に実施した、いじめに関するアンケートで、「いじめられる人にも悪いところがあるとは思わない(悪いのはいじめる側の人間)」と答えた割合は、中学生が小学生より半分近く少ない全体の2割弱で、学年が上がるにつれ、いじめの原因が被害者にもあると考える傾向が強まる実態が浮かんだ。
   市教委の西川茂治・学校指導課長は「どんな理由でもいじめは悪く、『思わない』が望ましい選択だ」と強調。結果について「学年が上がるにつれ、いじめられる側の言動など、きっかけを見聞きし、悪いと思うのではないか」と分析した。

   いじめを受けた時の相談先としては、「誰にも相談しない」が小学生22.2%、中学生28.7%。その理由を尋ねたところ(複数回答可)、小学生では最多が「迷惑をかけたくない」で43%、中学生は「どうせ解決しない」47.9%で、中学生になると諦める生徒の割合が増えていた。

【感想】
   記事中の市教委西川課長の「学年が上がるにつれ、いじめられる側の言動など、きっかけを見聞きし、悪いと思うのではないか」という分析は、中学生になると、友達の言動の良くない面が気になるようになる、ということを意味しています。小学生に比べ中学生のいじめが多発しているのは、その為ではないかと考えられます。

   では、なぜ中学生になると、友達の良くない面が気になるようになるのでしょうか?
  以前から紹介していますが、「いじめは、加害者の環境から抱くストレスの発散によって起きる」(滝1996)という指摘があります。この指摘をもとに考えると、中学生になるといじめが増加するという事は、中学生になると、それだけ環境から受けるストレスが増加しているということになります。確かに、人間は大人でもストレスが増えるとそれだけ人を否定的に見てしまう傾向が強まります。

   ではなぜ中学生になると、環境から受けるストレスが増えてくるのでしょうか?実はこの“環境面”については、過去のブログの中で私の考えを述べています。それは以下のブログです。

   更に、中学生にとっては、ストレスが起きやすい要因がもう一つあります。それは、「第二反抗期」の存在です。この時期になると子供との衝突が増える家庭が多いのではないでしょうか?このことについても、過去に投稿した以下のブログでこの時期の子供への対処法を紹介しています。

   私達教師や親が、子供が学校や家庭でどんなことでストレスを受けているのかを認識していないという事は、知らないうちに私達自身が子供のストレスを増加させ、気がついたら子どもがいじめの加害者になっていた等ということに繋がります。
   ぜひ、上記記事を参照して子供がどんな環境の中でストレスを感じているか考えて頂ければと思います。

   なお、「いじめを受けた時の相談先」についての回答結果も由々しき問題です。なぜ親や教師に相談してくれない子供が多いのか?私たち教師や親は真摯にこの結果を受け止め、子供への対応をどのように変えればいいのかを考える必要があると思います。