そんな一文から始まる、保育士から親へ向けた警告メッセージが話題になっています。
子どもたちが一生懸命作ったものを手渡そうとしても、親が携帯電話をいじるのに必死で気づかないのを私たちは目撃しています。子どもより携帯電話に夢中になっている親を、子どもたちが『ママ、ママ、ママ・・・』と呼びかけているのを聞いています。とんでもないことです。
携帯電話から離れてください!」
【感想】 この保育園の保育士たちにとっては、子供達を迎えに来たはずの母親たちの姿があまりにも冷たく感じられたのです。なぜこの母親たちが冷たく感じられたのか?どこがいけなかったのか?
それを考える規範となるのが「愛着7」の考え方です。子供たちを迎えに来ているこの母親たちには、子供と愛着(愛の絆)を結ぶための「愛着7」の支援のうち、何かが欠けていたのです。一体何が欠けていたのでしょうか?
それは、「子供を見て微笑む」「子供に穏やかな口調で話しかける」「子供の話をうなずきながら聴く」「小さなことから褒める」です。
◯「子供を見て微笑む」〜スマホでの会話に夢中になり、自分に走り寄ってくる子供を見ていない。よって、微笑んでもいない。
◯「子供に穏やかな口調で話しかける」〜スマホでの会話に夢中になり、子供に優しく「お帰りなさい」と言うのを怠っている。
◯「子供の話をうなずきながら聴く」〜スマホでの会話に夢中になり、その日保育園で作ったものについてお母さんに話そうとする子供の言葉を聞こうとしていない。
◯「小さなことから褒める」〜スマホでの会話に夢中になり、その日子供が作ったものについて「とても上手にできたわね」と言うのを怠っている。
今回の事例は、子供を迎えに行った時の話だったが、恐らくこの母親達は、子供のお迎えの時に限らず、子供との交流よりも決して緊急でもないスマホの情報の方を優先させている事が多いのでしょう。正に「一事が万事」「氷山の一角」です。そのたびに子供と親との愛着(愛の絆)は1本1本切れているのです。このような無関心な養育が繰り返されると、「回避型」の愛着不全に陥る危険があります。
親子の間に愛着(愛の絆)を形成し、子供を「安定型」の愛着スタイルを持った大人に育てるためにはどんな事に気をつけて子供と接しなければいけないかを親が分かっているかどうかは大きな分かれ目になるのです。
また、親御さんだけでなく、私たち教育者側もこの事例から学ばなければいけない点があります。それは、子供のために伝えなければいけない事ははっきりと親御さんに伝えるという態度です。本当の教育者というのは、親御さんの気持ちよりも子供の気持ちを第一に考える人間のことを言うのだと思います。