【今回の記事】
金魚食べさせられる虐待の日々 被害少女が当時の心境

【記事の概要】
   福岡県久留米市で、母親の交際相手の男から金魚の死骸を食べさせられる虐待を受けていたとされる少女(18)が1月31日、代理人弁護士を通じてコメントを公表した。「もっとひどい暴力を振るわれると思うと、耐えるしかなかった」と当時の心境を明かした。
   福岡地裁久留米支部の判決によると、少女と同居していた江上孝被告(47)は2015年、火のついたたばこを数回押しつけたり、金魚の死骸約60匹を食べさせたりした。逮捕監禁致傷、暴行などの罪で懲役10年を言い渡され、無罪を主張して控訴中だ。母親(47)もペンチで少女の舌を引っ張ったなどとして懲役3年執行猶予5年の判決が確定している。

【感想】
   この同居男性や母親は、なぜこのような残虐な虐待をするに至ったのでしょうか?
   精神科医の岡田氏は、一般的に親の養育態度には、親が子供の頃に自身の親から受けた養育が影響していると指摘しています。自分たちが幼少期に受けたひどい虐待によって学んだ本能的な怒りの感情は、大人になってからも失われることはないのです。そしてその感情が、最も無力であり怒りをぶつけ易い存在である我が子に向けられるのです。このような世代から世代に受け継がれる「負の連鎖」は、数多く見られるケースです。この残虐な虐待を受けた18歳の少女も、今は虐待を憎んでいても、自分の子供を儲けた時には同様な養育の仕方をするに違いありません。

   この負の連鎖を断ち切るためには、虐待を受けたこの18歳の少女に対する愛着(愛の絆)の形成を今からやり直して、将来この少女がもうける子どもには正常な愛着形成がなされるようにする必要があります。つまり、この少女が母親になる前に愛着形成をやり直し、適切な「安全基地」としての機能を持った人間になってから出産を迎えるというパターンが必要なのです。
   その愛着形成をやり直すための方法については、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
愛着形成(愛着形成のやり直し)の仕方 『愛着7

   今回のこの事例はあまりにも残虐な虐待が行われているので、執行猶予受けた母親が自分の娘に愛着形成のやり直しをできるかどうかはかなり難しいことだと思います。
   しかし、世の中には、本当は自分でもしたくはない虐待をつい我が子にしてしまっているという親御さんは他にもいらっしゃるはずです。今のままでは、今虐待を受けている子供さんが大人になり子供をもうけた時に、やはりその子供に対して同じように虐待をする可能性が強いのです。
   愛着の特質は、その時々の環境によって変化するということです。親御さんの接し方が変われば、子供との愛着(愛の絆)は修復できます。「愛着7」のうち、出来ることから始めてみることをお勧めします。