【今回の記事】
いい子症候群~期待に応えすぎる子どもたち

【記事の概要】
   一口に「いい子」といっても、いろいろなタイプがあります。自分の気持ちを正直に出し、心身ともに健やかに成長している子どもを、一般的な「よい子」だとすれば、自分の気持ちを抑え込み、保護者や大人たちの期待に過剰に応える「いい子」もいます。そこで、明治大学文学部教授で教育カウンセラーでもある諸富祥彦先生に、期待に応えすぎる、いわゆる「いい子症候群」の子どもたちについて教えていただきます。
期待に応えすぎる「いい子」とは?
   多くの子どもたちは、自分をほめてもらいたくて、保護者の期待に応えようとがんばります。でも期待に応えすぎる「いい子」は、ほめられることより保護者が不機嫌になることを恐れ、どうしたら保護者が喜ぶのかを常に考えて、その期待に過剰に応えようとします。そこが、一般的な「よい子」との大きな違いです。
   彼らは、決して保護者のいいなりになっているのでも、「いい子」を演じているのでもありません。「いい子」でいることに過剰に適応してしまい、感情がマヒしてしまっているのです。自分の意思で行動しているのか気持ちを抑えて行動しているのかわからなくなってしまっているのです。「いい子」を演じているという自覚のないまま、この状況が当たり前だと思い込んでしまっている、そこがこの症状の怖いところです。
◯「いい子」は大人になっても「いい子」!?
   期待に応えすぎる「いい子」が生まれる原因は、保護者との関係にあります。「いい子」は第1子に多いのですが、初めての子育ては不安も多くまた子どもへの期待も高いため、保護者の期待に応えられる「いい子」だと、子育てが間違っていないという安心感と、期待に応えてくれる満足感が得られるからでしょう。
いい子」がそのまま大人になると、さまざまな問題を抱える可能性があります。たとえば、ある女性は友人と食事に行った時、自分の意思でメニューを選べず困ったそうです。これまで、保護者の期待に応える選択しかしてこなかったため、自分の意思で選べなくなっていたのです。
   がまんをしたり、自分の意思を抑えたりすることは、多少は必要だと思いますが、行き過ぎた抑制は子どもを生きづらくさせてしまいます。我が子を期待に応えすぎる「いい子」にしないよう、十分な配慮をしていただけたらと思います。

【感想】
   記事の中にこのような指摘があります。「保護者の期待に応えられる『いい子』だと、子育てが間違っていないという安心感と、期待に応えてくれる満足感が得られるから」。つまり、親が自分自身安心するために、子供に過剰に自分の理想を押し付けようとしているのです。そのために、親はどんな行動に出るのでしょう。
   親は、子どもが自分の思った通りの行動をとれば大いに褒め、思った姿にそぐわない行動をとった時には厳しく叱るのです。その親の言動を見た時に子どもは、親が褒めてくれる行動だけをとるようになります。なぜなら子どもは自分の親が好きだからです。大好きな親から叱られたくないために、親の望む行動をとるのです。つまり、親は自分を慕ういじらしい子どもの思いの上に、自分の理想像を作り上げようとしているのです。

   では、そうならないためにはどうすればいいのでしょうか?
   子どもが親から叱られたくないと思うのは、叱られる時に嫌なイメージしか持てないからです。子どもは、「自分を厳しく叱っているときの親は自分を嫌っている」と思っているのだと思います。
   このような思いを抱かせないために必要なことが「無条件の愛」です。「無条件の愛」とは、簡単に言うと「どんな時の子ども愛する」という気持ちです。つまり、子どもが望ましくない行動をとった時でも、その子を愛するということです。しかし、望ましくない行動をとった我が子にどうやって親の愛を伝えればいいのでしょうか?
   伝えるためのキーワードは「本当のあなた」です。このことについては以下の記事のURLタップにてご参照ください。
大切な『無条件の愛』(どんな時でもあなたを愛してる) 〜この気持ちをどのように子どもに伝えるか〜