【今回の記事】
子どもに「正論より共感」が響く本質的な理由

※この記事は、さすが現場経験のある教育評論家の方が書いただけあって、とても分かりやすく、さらにとても効果的であると思いました。そこで、今回は、複数回に分けて「記事の概要」をお伝えしたいと思います。

【記事の概要】
   幼児から中高生の親まで、全国の幅広い層から熱い支持を受ける元小学校教諭で教育評論家の親野智可等(おやのちから)先生のご指摘を紹介します。なお、この記事では、インタビュアーとの対話形式になっているので、ここではポイントに絞って編集をして紹介します。
   なお、(   )は内容がよく理解できるように、私が付け足したものです。

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   子どもを叱ることには、いろんな弊害が生まれます。叱る時には、「工夫」をすればいいんです。工夫には2つあって、ひとつは①「合理的な工夫」、もうひとつは「言葉の工夫」です
①「合理的(無駄がなく能率的)な工夫
   例えば、なかなか自分(から進ん)で歯を磨けない子だったら、あらかじめ食べる前に食卓に歯ブラシを出しておく。そうすると食後すぐ歯を磨きやすくなります。自分で磨けたら「この頃、自分で磨けるね!」と言ってほめてやる。それをしばらく続けて、できるようになってきたら、ある日歯ブラシを出すのをやめてみる。それで磨けたらさらにほめるし、もし磨けなくなったら、また歯ブラシを出してあげればいいわけです。そんなことを繰り返しているうちに、だんだんできるようになるのです。
②「言葉の工夫
   否定的に言いそうになったら、口から出る前に(肯定的な言い方に)自己翻訳する。たとえば(「早く明日の準備をしなさい!」ではなく)「いまのうちに準備しておけば、明日の朝余裕だよ」とか、(「解き終わったら見直しをしなさい!」ではなく)「見直しすると、点数が増えるよ」とか。「こうすると、こういういいことがあるよ」というふうに言えば、子どもは素直になれます。
   とがめるんじゃなくて、(「その行為をすると、どんないいことがあるか」という)プラスイメージで伝えることがポイントです。とがめられると、子どもはどうしても素直になれないですが、プラスイメージで伝えれば明るい結果が予想できるから、やる気も高まります

   もう一個おすすめのくふうが、「とりあえず(まずは)ほめる」ことです。
   たとえば、「うちの子たち、兄弟仲が悪いな~」と思ったとき、「なんであんたたち、そう仲が悪いの!もっと仲良くしなきゃ、お母さん悲しいよ」とか言っちゃうけれど、それでは逆効果です。子どもたちが「ぼくたちは、どうやら仲の悪い兄弟みたいだな~」という“まずい自己イメージ”をもってしまうから。イメージの力って大きいから、否定していてもそっちに行っちゃう可能性があるので危険です。
   だから、逆に「とりあえずほめる」んです。たとえば、出かけるときにお兄ちゃんが弟の靴を出してくれたら「優しいね~。よく気がつくわ。弟も幸せだな~」とか言ってあげると、「どうやらぼくは、いいお兄ちゃんみたいだな」っていう、いい自己イメージができる。
   もし、ほめるところがないときは、部分に注目することです。全体を漠然と見ているからほめられないのであって、部分を見れば、ほめるところって必ずあるんですよ。
   たとえば漢字練習帳を見て、「きったない字だな~!」と思っても、「ダメじゃない、こんな字じゃ!」と言うのは意味がありません。そういうときは部分に注目するのです。なかには偶然、上手に書けた字があるから「あ~、ここうまいね、花丸!このハライもうまい、このトメもうまい」と部分をたくさんほめるのです。それを毎日やっていれば、だんだん字がきれいになっていくものです。
   どうしても直させたいことがあるときは、たくさんほめてから、最後に「これとこれ、直して」って言うと、喜んで直します。それを最初から「汚い字だね、こんなの書き直し!」とか言っても無理(笑)。
   ですから、「ほめたら、できる(先の漢字練習の例で言うと、良いところを見つけてほめるから、全体が良くなる)」って思って欲しい。みんな「できたら、ほめる(全体が良くなったらほめる=全体が良くなるまで飲めない)」って思ってるから、永久にほめられないんです。そうじゃなくて、「ほめたらできる」。順番が逆なんですよね。
(続く)