【今回の記事】
子育てで後悔しないために、知っておくべき3つのこと

【記事の概要】
◯「20年後、子どもに感謝される育て方」とは? 
   発売後約半年で20万部を突破した『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』の著者、ミセス・パンプキン氏とムーギー・キム氏が、栃木県公立小中学校教頭会主催の講演会に招聘され、「20年後感謝される育て方」をテーマに、同県内の約500人の教頭先生を前に、本書の内容を議論した。

幸福な人生を切り拓ために最も大切な3つのこと
   そうして書かれた『一流の育て方』は、そのタイトルから、我が子を「高偏差値、高学歴で有名企業に勤める」という意味でのエリートに育てるノウハウ本と誤解されやすい。しかしキム氏は「本書の内容はその正反対。学歴・偏差値偏重の教育では、受け身の偏差値エリートに成り下がり、幸福な人生の準備としては全く不十分」と強調した。
①まず1つ目は、「主体性」だ。これが最も大事と言っても過言ではない、とキム氏は第一にこれを挙げた。
「『自分にとって何が大切で、自分は何が好きで、何をしたいのかを常に問い続ける教育』を受けてきた人には主体性とリーダーシップが備わっています。いつも上司の判断を仰ぎ、周りが同じ意見であるかが判断基準の人では、単なる組織のコマで終わってしまいます。主体性を育まれてきた人は、周りに流されず、リスクがあっても自分の確固たる基準でぶれない決断ができるし、他人と違っても不安を感じることはありません」(キム氏)
②2つ目は「視野を広げる」こと。
   若い頃から視野が広く、自分の強みと弱み、好き嫌い、価値観を理解できている人は、将来の職業選択において天職に近づきやすいとキム氏は言う。言い換えれば、いい大学、いい会社だけを目標とする偏差値エリートは視野が狭く、自分への理解も浅いので、自分の適性を全く無視した分野に進み、迷走しがちであるということだ。
「各界のビジネスリーダーが親に感謝している教育を論じるとき、特に『幼少期からの読書習慣』を身につけてくれたこと、と答える人が驚くほど多かったですね。読書はその人の知識や考え方を豊かにし、広い視野とリーダーシップを育てます。」(キム氏)
③そして、3つ目は、昨今話題の「グリット」(やり抜く力)である。
何かをやり遂げる人の共通の動機は、それを『自分が始めた』ということです。そして最後までやり遂げる人には『失敗も糧にする』という思考回路が備わっています。失敗からどう立ち直り、そこからどういう生き方をするかというポジティブな思考ができる育てられ方をしているのです」(キム氏)
   家庭教育の調査を通じ「自分で始めたことを途中で辞めさせなかった親への感謝」を挙げている人がことのほか多かったという。多くの親が「途中で投げ出すとそれが癖になり、自分で妥協点を勝手に見つけ、全て中途半端で終わらせてしまう人間になるから」といって、子どもの弱音を受けつけず、怠けた時には厳しく叱咤激励した。このように育てられた子どもたちは、初志貫徹する習慣を身につけていったのだ。
「ただし、親は子どもが失敗しても感情的には怒ってはいけません原因を考えさせ、自分で乗り越えるのを助けるのです。そうすれば、子どもは失敗を恐れず、次にチャレンジする強さをも身につけることができます」(パンプキン氏)

【感想】
①「主体性」について
   さて、記事にあるような「いつも上司の判断を仰ぐ」大人になるのは、今、いつも親の手を借りて行き過ぎた保護を受けながら生活している子どもです。
   子どもに主体性を身につけさせるためには、まず、“子どもに任せる”親の姿勢が最も重要です。それは、子どもが結果を出す前に子どもに指図したくなっても“我慢する”態度です。

②「視野を広げる」について
読書はその人の知識や考え方を豊かにし、広い視野とリーダーシップを育てる」。全くその通りだと思います。ただ、「もっと読書をしなさい」と言っても効果はありません。
   例えば、学校から借りて来た本を読んでいるところに、「あら、面白そうな本を読んでいるわね。後でお母さんにも内容を教えてくれる?」と話し、教えて来れた時には頷きながら笑顔で聞いてあげ、最後に「ありがとう。今度借りて来たら、またお母さんに聞かせてくれる?」とやりとりすると読書に対する意欲が増すと思います。子どもは“人に教える”という行為が大好きですから。
   なお、この方法は「アドラー流『自分から勉強する子』の親の言葉」の著者である、和田秀樹さんが紹介する「子どもが自分から勉強をするようになる親の5つの言葉がけ」の中の一つを参照した方法です。その言葉がけについては、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
自分から進んで勉強するようになる!子どもの意識が劇的に変わる『魔法の言葉』②

③「やり抜く力」について
「やり抜く力」を身につけさせる上で最も大切なことは、壁にぶつかっても自分の力で乗り越えようとする子どもの気持ちです。その気持ちを身につけさせるためには、子どもが活動中にやり方に困っても、すぐに助けたりせず、子どもが自力で乗り越えることを信じて“見守る”ことです。そうして、見事にできたらたくさん褒めてあげると子どもは「諦めずにがんばる」ことの気持ち良さを知ります。もしも、できなかった時は、親が代わりにやってしまわずに、そのやり方を教えてあげましょう。次回の時の“やり遂げるための武器”とすることができます。
   また、記事にあるように「失敗も糧にする」ことを学習するためには、失敗経験が必要です。例えば、学校に宿題のプリントを忘れて来た子どもを車に乗せて学校まで一緒に取りに来る親御さんがいます。もっとひどい場合になると、子どもは来ずに親だけが取りに来るという場合もあります。子どもに失敗をさせたくない気持ちからなのだと思うのですが、そのような過保護な援助を受けた子どもは失敗経験ができません。「忘れた時はまたお母さんに送ってもらって取りに来ればいいや」と、他人の力を頼りにする自立できない子供になってしまいます。社会に出た時にドロップアウトしてしまう危険があります。
   そういう時は、「忘れたあなたが悪いのだから、明日朝一番に先生に自分の方から謝りなさい」と言って、翌日子どもに苦い失敗経験(先生に叱られた、みんなと一緒に答え合わせができなかった、やって来なかった分を休み時間にさせられて遊べなかった等)をさせるのです。そうすると子どもは、二度とあんな目には会いたくないと思い、自分から注意深く忘れ物がないかをチェックするようになります。自分の失敗について自分で反省し、どうすればいいかを自分で考え、次回への対策を立てることを「失敗を糧にする」というのです。

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   なお、以上の3つの資質を身につけさせるためには、以前紹介した「自立3支援(①見守る②任せる③命令しない)」が最適です。このことについては、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
これは大ヒット! 子どもが必ず自立します! 〜『自立3支援(見守る。任せる。命令しない。)』〜

   また、これらの3つの力は、人間の一生を支える力を育む「キャリア教育」と密接に関係しています。この「キャリア教育」については、以下の記事のURLタップにてご参照ください。
社会的自立のために「学力」よりも大切な4つの能力!「キムタク母流子育て」で育む

上記記事で紹介しているキャリア教育で育みたい能力には、「人間関係能力」「情報活用能力」「将来設計能力」「意思決定能力」の4つがあります。これらキャリア教育の4つの能力と今回の3つの資質とは次のような関連があります。
①「主体性」は「将来設計能力」と「意志決定能力」に支えられる力
②「視野を広げるは「情報活用能力」に支えられる力
③「やり抜く力」「意志決定能力」に支えられる力
   なお、これらの関連は偶然によるものではなく、いずれも“人間の将来にとって必要になる能力や資質”として当然一致するものなのです。いわゆる、“勉強以上に大切な「人間力」”とでもいうものがこれらの力なのです。