(前回の続き)
【感想】
◯ルールを意識させながら行動させる
   前回の記事にあるように、事前にルールを決めておくことは、「これ(ルール)だけはしてはいけない」という規範意識が作られるため、とてもよいことです。規範意識を持ちながら行動することは、円滑な社会生活を営むうえで必要不可欠な態度です。
   また、ルールの内容についてですが、前回の例でいうと、「必要以上に相手を傷つけないこと」という“物理的攻撃禁止”のルールだと、相手のブロックを壊してケンカのきっかけを作った△△はルールを破っていないことになります。
   そこで、ルールは「相手が嫌な気持ちになることはしない」がよいと思います。「いじめ防止対策推進法」でも、いじめを「当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と規定しています。家庭内で常にそのことに気をつけさせることが、学校でも「いじめ」に走らない意識作りに繋がります。
   また、子どもは約束事を忘れやすいので、紙に書いて居間などに貼っておくとよいと思います(視覚的効果)。その紙は家族みんなの目に留まるため、無意識のうちに家族のみんなが意識することにもなります。

◯兄弟げんかは基本的に見守る
   記事にあるように、兄弟げんかは大切な“ガチ”コミュニケーションの練習の場です。もめ事があったからといって、すぐに親が割って入るのは、子どものコミュニケーション能力の学習の場を奪ってしまうことになります。ですから親の基本的なスタンスは「見守り」です。「ちびまる子ちゃん」では、マルコとお姉ちゃんが喧嘩になったからといって、お母さんはすぐにケンカの仲裁には来ませんよね。親はあのくらい余裕を持って構えていた方がちょうどいいと思います。もしよければ、以下の投稿をご参照ください。
テキトー母さん流☆子育てのツボ! 〜「見放し母さん」より「見守り母さん」に!〜

   しかし、親の目から見てこれ以上は子どもの力では解決できないと判断した時暴力が発生した時子どもの方からSOSを求めて来た時には、親が仲裁に入りましょう。
   ただし、その時の親の役目は、単に「きっかけを作った方が悪い」「暴力を働いた方が悪い」等の親の一方的な判断で「◯◯の方が悪い!」という解決の仕方にならないようにしましょう。では、具体的にどうすればいいか、以下の項で私の考えをお話ししたいと思います。

◯始めに両者の気持ちを聞き、それぞれの気持ちを受け止める。指導はその後で
   さて、ケンカの仲裁に入った時どのようにすればよいのでしょう?大切なことは、両者の気持ちを受け止めてやることです。「あなたの方が悪い」とどちらかだけを責めると、責められた方には不満が残ります。「喧嘩両成敗」という言葉がありますが、どちらにも悪いところがあれば、双方に指導するべきです。
   また、両者の言い分を聞くことは、確かな“事実確認”にもなります。片方の言い分を聞いた時点で指導すると、もう片方に対して間違った指導をしてしまうことがあります(いわゆる「えん罪」)。話が少し兄弟げんかからずれますが、例えば、学校から子どもが泣いて帰って来て、「◯◯ちゃんからいじわるされた〜!」と言ったからといって、すぐに◯◯さんのお宅に抗議の電話をすると、実は我が子の方が悪かった、というケースも多々あるのです。私達教師が学校でそういう誤った指導をすると、双方の家庭を巻き込んだ人権問題にまで発展することもあります。必ず双方から言い分を聞きましょう。
   では、以下に具体的な仲裁の流れを紹介します。
①それぞれの言い分を聞き、それぞれの気持ちを受け止める。
   「◯◯ちゃんはどうして………したの?」(穏やかな口調で聞く
   「そう、………したかったのね。」(共感的姿勢を示す)
②「二人の気持ちはよく分かりました。」
③「でも、△△ちゃんはどんな気持ちだったと思う?」(双方に聞く)
   ⇨「嫌な気持ちだったと思う」(ここで「相手が嫌な気持ちになることはしない」というルールに反していたことに気づかせる。おそらく双方とも同様の反応をすると予想されるため平等に成敗できる。)
④これからは、そういう時は、どうすればいいのかな?(双方に聞く)
   ⇨「怒らないで、自分の気持ちをきちんと相手に話す」(大抵はこれに落ち着きます)

   親が穏やかで冷静な態度で真剣に子どもの話を聞いてやることで、子どもの心に染み入る仲裁ができます。もし参考になるところがありましたら、ご参照ください。