そもそも、いじめはなぜ起きるのでしょうでしょか?国立教育研究所の滝充氏がこのテーマについて研究を行っています。
   滝氏は、ある5つの仮説を立てました。
①いじめの加害者、被害者いずれにおいても、それぞれの立場になりやすい性格があるのではないか?
②被害者のある特徴を機会原因、つまり口実として考えいじめが行われるのではないか?
③加害者が自分の置かれた状況に適応できないことから生まれるストレスが原因になって、そのストレスを晴らすためにいじめをするのではないか?
④加害者の「道徳性の欠如」や」思いやりの欠如」といった規範意識が低いためにいじめが生まれるのではないか?
⑤いじめを目撃していながら、ただそれを傍観している立場の人間がいじめを助長しているのではないか?

   その滝氏は、様々な検証を繰り返し、ある一つの結論にたどり着つきました。
   みなさんはどの仮説が正しいと思いますか?
   
   答えは③の仮説(「不適応原因説」)でした。つまり、加害者の子どもたちは、自分が置かれている環境(家族や学級等)に適応できず不満を抱き、それによってストレスを溜め、それを被害者の子どもに向けて発散しているのです。

   さて、これでいじめが起きる原因が分かりました。理論上は、原因がわかれば、その原因となっている問題を解決できればいじめは無くなるはずです。つまり、いじめの加害者たちが、自分が置かれている環境に対して抱いている不満を解消できればいいのです。

   この加害者の彼らに不満を抱かせる環境には、大きく考えて二つあります。それは、「学級」と「家庭」です。
   次回は、それぞれの環境でなぜ、どんな不満が生まれているのかについて考えたいと思います。