新都知事となった小池百合子私が都庁に初登庁した。
   しかし、その時に出迎えた都議は、選挙の時に一緒に戦った3人のみ。これまでの都知事の初登場の際には、10人近くの出迎えがあったとのことだった。
   その後、小池氏は都議会の議長と副議長に挨拶に向かった。その時にある記者から、写真を取りたいという申し出があった。しかし議長は「あなたの申し出を聞かなければいけないという理由はない」ときっぱりと写真撮影を断った。もちろんこれまでの新都知事の挨拶の時には毎年恒例のように3人による写真撮影があった。だからこそ、今年も写真撮影があるのだと思った記者が、写真撮影の申し出をしたまでだった。このときの記念撮影がされなかったのは極めて異例のことだったそうである。
   さてその後小池氏はさっそく各会派へ挨拶まわりに向かった。しかしその時自民党会派では出迎えた(というか、その時たまたまいた)人間はわずか3人だった。その理由が、「挨拶まわりに来る時間を知らされていなかったから」という子供じみたものだった。事実、他の会派は全員で新都知事をお迎えしていたのである。

   確かに小池氏は、自民党都連に断りもなく立候補を表明し、最終的に自民党の推薦を受けずに選挙に臨んだという経緯があった。さらに、選挙への立候補の意向を示した時から都議会の解散を打ち出していた。そのことを都議会の人間は決して好意的には受け止めなかっただろう。
   しかし、実際に小池氏は東京都民の圧倒的な指示により新しい都知事に就任したのである。いわば民意の集約的存在なのである。その知事に対して敬意を払わず、個人的な感情によって知事を侮辱するような行動を示した人間は、“組織”という社会集団の中で働く資質に欠けていると言わざるを得ない。

   都議にあっても、都民から直接支持を終えて就任したのであるから、子供じみた感情に流されず大人らしく理性的に行動する姿勢を都民に見せてもらいたいものである。
   今日、感情的な態度を示した都議は、皮肉にも新都知事に世論の追い風を与え、結果的に小池氏にアドバンテージを握られてしまったのだ。