【今回の記事】

【記事の概要】
   政府は、現在は最長1年半にわたって給付金を受けられる育児休業期間を、最長2年程度まで延長する方針を固めた。厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会で延長幅などを決め、来年の通常国会に関係する改正法案を提出する予定。政府は保育所に子どもを預けられない親が育児休業を長く取得できるようにすることで、待機児童の解消を目指す。今月中にもまとめる政府の経済対策に盛り込む。
   育児休業は、原則として子どもが1歳になるまで取得できる。子どもが保育所に入所できない場合は半年間の延長が可能だ。しかし、最近は保育所に入れない待機児童問題が深刻化し、親が子育てのために仕事を辞める例が出ている。現在の育児休業給付金は、最初の半年間は休業前賃金の67%、その後は1年半まで50%が支給される。昨年度は約30万人が利用し、受給総額は約4100億円だった。

【感想】
   早ければ2018年度中にも導入されるというこの育児休業延長制度。
   現行の「育児介護休業法」によれば、育児休業は基本1年間は認められており、1年経っても保育所が空いていない、または育休後面倒を見るはずだった人間がやむを得ない事情で養育できなくなった、などの特別な事情がある場合に限って更に半年延長できる、とされている。

   現在の考え方は、本当は出産後も働きたい(理由は①育児休業中は給与が下がるため?〜最初の半年間は休業前賃金の67%、その後は1年半まで50%しか支給されない。②キャリアアップのため?)ために0歳から保育所に預けたいのだが、保育所の数が不足しているために預けられない。そこで止むを得ず、働かないで育児休業を取るしか方法がない。基本的に認められている1年も経てば保育所も空きが出るのではないか。という考え方である。 
   今回の育児休業期間の延長案も、現在の1年間の育児休業期間では保育所の空きは生まれない。そこで、最長2年間まで育児休業期間を延ばそうという考え方である。
   つまり、いずれも「女性が働けるようにするため」という目的が前提となっている。

   しかし、本当はそうではない。子育てというのは、親のためにするものではなく、子どものためにするものである。特に、精神科医の岡田氏が指摘するように、「臨界期」と呼ばれる愛着形成に最も大切な0歳から1歳半の間は、母親が子どものそばにいて世話をしなければ、子どもが大人になった時に、社会の中でトラブルを起こしやすい人間になる可能性が高いのである。この事については、本ブログの以下の投稿を参照してほしい。「たかが乳児期の養育がなぜ一生の人格形成に影響を及ぼすか?」
   だからもしも、改正法によって育児休業の基本期間が1年半になれば、世の中の全ての母親が、「臨界期」に子どものそばに居ることができることになるので、子供たちが大人になった時の社会は変わる。毎日ニュースで報道される凄惨な事件は激減するだろう。この事については、本ブログの以下の投稿を参照してほしい。
「人の一生を左右する乳幼児期の愛着形成の大切さ(修正最新版)