蔵書(という程でもないが)の整理に勤しんでおります。
読まなくなった本を捨てりゃいいだけのことですが、
そうはいっても未練があったりもするので、
再読した上で、処分するかを決めています。
時間がかかって仕方ないですが、
でも10年前・20年前に読んだきりの本に
もう一度触れるって、結構楽しいもんですよ。
本日再読を終えたのが、
村上春樹の『意味がなければスイングはない』。
確認したら、2005年発行。
割と発行から程ないタイミングで
古本屋で見つけて購入した記憶があります。
ちなみに小説ではなく、
村上春樹が自身の好きな音楽家について語ります。
非常に恣意的なラインナップというか、
節操なく色んなジャンルから選出されています。
私なんかはクラシックの演奏家のことはかなり疎く、
その辺の章は結構読んでて辛いです。
半面、スタン・ゲッツやブルース・スプリングスティーンは
なかなか興味深く読めました。
いわゆる「評論」というほど堅苦しいものではなく、
「音楽コラム」という表現が一番合ってる気がします。
なによりも、
著者の“批評は嗜好を超えていかない”
というスタンスがにじみ出ているのが好きです。
“どんなに歴史的意義があろうと、
革新性に富んでいようと、
どうしても好きになれない音楽はある。
別にそれでいいじゃないか”
そんな思いを感じました。
少なくとも一部の音楽スノッブによくある
「〇〇を知らない奴はモグリだ」とか
「××が理解できないなんて残念過ぎる」
みたいな、カチンとくることは
村上は(少なくともこの本では)決して言いません。
おかげで、読後感は思いのほかスッキリです。
村上春樹読んでスッキリするとか初の経験かも。
というわけで、
とりあえずこの本は残しておこうと思います。
後々私もクラシックに興味が出るかもしれないし、
そうなったときに、
いいガイド本になる可能性がなきにしもあらず
…いや、どうかな?