おはようございます。
表題の書籍、鈴木ダイスケ『歌謡曲 meets シティ・ポップの時代』(シンコーミュージック、2023年)について。
表紙のデザインは江口寿史。題に「シティ・ポップ」とありますが、楽曲ガイドなどに関してはあまり「シティ・ポップ」にこだわった選曲ではありません。70年代末から90年代初頭までの有名な歌謡曲、アイドルの歌手を著者が独断と偏見で選び出しただけです。私は選曲にセンスを感じませんでした。
しかし、アイドルという視点では、菊池桃子、斉藤由貴、南野陽子のインタヴューを読むことができます。それがこの書籍の唯一の長所です。
著者の姿勢を厳しく批評すると、著者は菊池桃子、斉藤由貴、南野陽子のどの相手にも"既存の、同時代のアイドルとは一線を画したアイドルらしからぬスタイル"で通した人物であると評価していきます。もちろん、著者は通俗的なアイドル歌手の名前をほかに具体的に列挙できるし、アイドル歌手のなかでも特異な存在として以上のお三方を選んだので、そうなってしまっただけなのかもしれません。しかし、読んでいて、じゃあ、誰が典型的なアイドルなのよ、あなた、アイドルと会うたびにいつもみんなに、あなたはいい意味でふつうのアイドルではなかった、と言っておだてているんじゃないの、と思ってしまうこともたしかです。
定価2,530円。