服部有菜の卒業発表に思う〜しかし、しょせんこの世は男と女? | 不条理に抗う:女性アイドル最高評議会

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不条理な経験について記します。その逆も書こうかな。
「アイドル最高評議会」とは「ジェダイ最高評議会」のパロディ。
記事を投稿するにあたっては時間をかけて推敲しています。しかし、まちがったこと、書き忘れたことをあとから思い出して加筆修正しています。

AKB48の服部有菜が自らキス動画の責任を取るかたちで卒業を発表しましたね。


・服部有菜の卒業発表について


卒業発表が遅いという声もありますが、しかし、舞台出演の仕事の最中であったことを思うと、発表の時期はまちがっていないです。

芸能人であろうとなかろうと、キャメラの外で「キスしてみて」などと煽られたり、囃し立てられたりした恐れがあろうとなかろうと、服部さんの今回の件は一人の人間として軽率な行動であることは変わりはありません。どうしてこういう動画を残してしまうのでしょうか。

それでも、岡田奈々と違って、長谷川百々果のときと同じく、確実に、信頼していた仲間に"刺された"こと、映像を流出されたことに関しては、気の毒に思いますね。

裏切りに対して言いたいことは山ほどあるかもしれませんが、服部さんが舞台関係者に迷惑をかけないようにして、時期を選んで卒業を決断したことは潔かったです。


・恋愛沙汰を起こすアイドルを非難することに正当性はない〜キモヲタのひがみ


ガチ恋勢なんて、すなわちキモヲタなんて、アイドルの恋愛を裏切りとして非難しておいて、でも、アイドルが恋愛禁止を守ろうと破ろうと、いずれ自分勝手に推し変という裏切りをして去っていく人たちですよね。 

モテない男女にとって性交渉をしていないアイドルと性交渉できる夢を見続けることは生きる希望なのでしょう。でも、考えてみてください。そういうかたがたのために恋愛を禁止にして、事務所や裁判所がアイドルを処罰できるわけがありません。理知的に法規を考えて、良識の在り処を考えましょう。


・しょせん、この世は色と恋〜別の恋を探しましょう


しかし、キモヲタならずとも、アイドルの恋愛を見て落胆する気持ちは理解できます。

たとえば、新任でかわいい女性教師が自分の高校にやってきた。先生に淡い恋心を抱く。きっかけをみつけて、質問に行く。でも、先生にはもう恋人、夫がいることがわかった。がっかりしてもう質問にまで行くのはやめてしまう。

しょせん、この世は男と女、色と恋。あらゆる動機に色と恋が絡んでいることは否定できないと思います。

ですから、相手を責めてはいけませんが、自分の思いどおりにならない相手からは去ればいいのです。岡田さん、村山さん、服部さんに落胆したのなら、要するに推し変をすればいいのです。それだけです。


・アイドル時代のキス写真流失であろうが、卒業後の(交際、結婚の)「ご報告」であろうが、恋愛が公になれば、アイドルにとっては、ファンが減ること、ガチ恋勢が去っていくことには変わりがない


それでも、納得できない人たちにはこう問いたい。もしあなたが推しているアイドルが恋愛禁止を守り通したら、DDも二推しも三推しもやめて、あなたはその娘だけの単推しになるのか。もしアイドルが恋愛禁止を守り通して卒業したら、そのアイドルが卒業しても、結婚しても出産しても、死ぬまで単推しし続けるのか。…しょせん、恋愛するアイドルにキレて道徳的批判を浴びせるのは、自分に甘く他人に厳しいキモヲタのエゴイズムですよね。キレる場合でも、せめてそのアイドルに一千万円ぐらいは貢いでからにしてください。

しょせん、この世は色と恋、男と女。たとえアイドルをやめようが、人気商売を続けるかぎり、あるいは人気商売ではなく一般の職業であっても、交際が発覚すれば、結婚すれば、もう異性の顧客に今ほどには商品を買ってもらえないかもしれない、異性の得意先から仕事を回してもらえないかもしれない、もう異性の上司、同僚にやさしくしてもらえないかもしれないというリスクはあります。

恋人がいると思われたら、売り上げに響く。そのことがわかっているから、AKBメンバーのなかにはモバメと言われるメールサーヴィスで購読者に一日何通も送ったり、Showroomで毎日配信したりする人もいます。ハロー!プロジェクトのメンバーは毎日アメブロを更新している、もしくは事務所に更新するように命じられています。SNS更新やメール送付の(半)義務化はプロモやビジネスとしての意味だけではなく、「アイドルの彼氏いないアピール」もしくは「事務所によるアイドルの恋愛防止策」としての意味ももっているわけです。

芸能界では、売れないアイドル、シンガー・ソングライター、バンド、お笑い芸人ほど、異性のファンの割合が高いです。しょせん、この世は色と恋、男と女ですから、売れない芸能人の応援をするのは、恋愛感情を抱くファンだけです。ブサイクでも、他人に惚れられることがあるように、アイドルを典型とする美男美女の芸能人にだけガチ恋のファンがつくわけではありません。アイドル以外の芸能人も交際を認めれば、ファンクラブの会員数が減り、さらに結婚すれば、さらにファンクラブの会員数が減る。妻子持ちなのに下心のある男性プロデューサー、男性マネージャーにも冷たくされるかもしれない。

AKB48の現役メンバーも元メンバーも「この人目当てでチケットを買った」と購入時や劇場の入り口でファンに示してもらえば、歩合の報酬がもらえたり、自分の生写真やグッズを製作して売ってもらえたり、「5回来れば」「10回来れば」という特典つきでチケットを売ったりする(あえてはっきり言います)"底辺"の舞台演劇に出演していると思います。が、卒業後であっても、交際や結婚の事実が公になれば、一気に売れ行きは落ちるでしょう。売れていない人ほどCMや番組に出演して出演料をもらうことは難しく、ファンに直接会費や参加費やチケット料金を"課金"したり、直接商品を買ってもらったりするしかビジネスの展開はないのですがら、だからこそ、恋愛が発覚すると、すぐ行き詰まってしまいます。

なぜ柏木由紀は卒業せずにいられるのか。そう問う人はいますよね。でも、ノー・ダメージだったわけではないんですよ。総選挙で二位、17万票だった直後に写真が流出。スルーしたものの、一年後の総選挙で五位、9万票にまで急落して、以後は出馬せず。票数が半減したわけですから、それにもかかわらずAKB48にずっといることができているのではなく、KO負け必至の大打撃を受けたあと、さすがに元の数字が大きいので、選抜からは外れないぐらいのファンの数は保ててはいても、クリンチをしたり、ロープにしがみついたりして逃げるのが精一杯でAKB48から卒業したあとの希望が見えてこないわけです。

岡田奈々にしろ、服部有菜にしろ、これからはオンラインお話し会でファンの不平、苦情を聞いたり、ソロツアーの客席の不入り、お話し会参加者数の激減、オンラインショップでの生写真、グッズの売れ行き低下を予測し、それに怯えたことも理由の一つとして、卒業を決定したのでしょう。それでいいじゃないですか。「ガチ恋が離れて苦境に陥っても、逃げずにがんばれ」という人もいますが、指原莉乃とは違い、岡田さんも服部さんも元のイメージがいかにも好色そうなアイドルではない以上、無駄な抵抗かもしれません。

アイドル時代にバレて人気が急降下する(「ビッチ」と罵ってアイドルから去っていく)か、それとも四十歳を超えて結婚するまで徐々に人気が低下する(表向きは「おめでとう」と祝福するけれど、そのあとやがてアイドルから去っていく)かのどちらか、もしくはそのふたつを両極端としてどうしたっていつかはガチ恋勢と離別し、打撃を被るというだけの話です。

服部さんを批判している人々も、しょせんはかわいい娘とやりたいだけですよ。自分がかわいい娘とやれないのに、かわいい娘とやっている人がほかにいるから、怒っている。でも、キモヲタがかわいい娘さんやりたいのにやれないのは是正されるべき不公平でも不平等でも格差とは違います。


・恋愛発覚に憤るガチ恋勢、キモヲタと切れても、やっていける人だけが芸能界に残る


アイドルが恋愛をすることは不道徳でも(「自分は恋愛はしない」と断言していないかぎり)約束違反でもないです。しかし、やはり、ガチ恋勢だけにしか人気のないアイドル、芸能人、社会人はその世界において競争力が低いとは言えます。交際発覚、交際宣言、結婚報告を経て、ガチ恋勢が離れていっても、一定数のファンは残っていく人が、淘汰を免れ、勝ち残っていく。そのことは否定できない競争原理であるし、正しい競争原理でしょう。


私はこれだけ希望がない時代にアイドルが恋愛に走る気持ちもよく理解できます。ですから、幼くきれいな身でAKB48に入ることができずに、エロ・プロデューサーに食い物にされてしまったあと、19歳でしかAKB48に入れなかった鈴木優香には同情的で卒業公演に行きました。そのときの相手を務めたのが服部有菜。その度量には一目置いていたので、二の舞いになったことは、残念です。そして、いつまで東京にいられるかはわかりません。が、服部有菜にも同情的なので、行けるなら、服部有菜の卒業公演にも参りたいです。こういう状況でも、鈴木優香のときと同じように、服部有菜の卒業公演で彼女を温かく送る準備をしてくれる御行なファンが必ずAKB48界隈にはいることが救いですね。