文春砲を浴びた岡田奈々と村山彩希について | 不条理に抗う:女性アイドル最高評議会

不条理に抗う:女性アイドル最高評議会

不条理な経験について記します。その逆も書こうかな。
「アイドル最高評議会」とは「ジェダイ最高評議会」のパロディ。
記事を投稿するにあたっては時間をかけて推敲しています。しかし、まちがったこと、書き忘れたことをあとから思い出して加筆修正しています。

岡田奈々と村山彩希に文春砲が炸裂しましたね。現在、ネットはその話題でもちきりです。

 

 

・コンプライアンス上、恋愛禁止をアイドルにさえ課することはできない

 

恋愛禁止契約を破ったアイドルに所属事務所が民事訴訟を起こしたさいの今までの判決から言うと、以下のように言えるでしょう。恋愛は基本的人権のひとつです。しかし、アイドルの世界では、恋愛の露呈はファン離れなどを生み、その結果、多大な経済的損害を事務所に与える。だから、悪意や大きな過失をもって恋愛を世間に知らしめる行為、恋愛禁止の契約に反する行為をした場合にかぎり、アイドルは損害賠償の責任を負うが、隠そうとしていたかぎりでは責任は問えない、と。

つまり、今回の場合でも、岡田奈々、村山彩希が事務所の反対を押し切って駆け落ちするような意図をもってモバメ、Showroomなどでいきなり自分の恋愛について語り出したり、自ら文春に垂れ込んだりしたとは考えられない以上、法律的な常識は破っていないと言えます。つまり、須藤凜々花は自分は大きな場所で公表するのが誠実だと思ったのでしょうが、あの結婚宣言は法律上は悪意のある行為、つまりもう大人なら多大な損害を与える行為とわかっていながらやってしまった行為とみなされるのでしょう。

そして、裁判所もアイドルに恋愛する権利そのものは認めている以上、強引に恋愛禁止を契約に取り込もうとすると、逆に事務所のほうが訴えられて負ける恐れもあります。

そうすると、AKB48ほどのグループであるからこそ、コンプライアンスを考えて、恋愛を禁止させられないでしょう。いくらドルをヲタの要望に応えてビジネスとして成功しても、MVに高校生、中学生のメンバーのビキニ水着姿を入れられないのと同じコンプライアンスという理屈ですね。

 

・恋愛禁止契約だけではなく、通学禁止勧告が解除されたように、AKB48のなかから初期の野蛮が消えて倫理観も変わってしまっている

 

非難する人のなかには、過去の処分を見ると、今回、岡田さん、村山さんを処分しなければ、不公平、片落ちであるという指摘をする人がいます。

しかし、恋愛禁止契約だけではなく、ほかの初期の野蛮も姿を消しています。

たとえば、昔のAKB48では、入ってからすぐに「学校と仕事どっちを取るのか」「まだ学校を辞めないのか」「通信制に変えろよ」とマネージャーにも言われて、学校に通うことは芸能人でも必要な基礎学力を身につけることではなく、仕事に身が入っていないことだとみなされ、一刻も早く退学するように恫喝されたそうです。学校を辞められないなら、AKB48の活動を辞退しろ、と。

しかし、現在では、一転して、「仕事と学業との両立が難しいので、仕事を辞めて学業に専念したい」と事務所に言うと、「ちょっと待って。なんとか両立できるように仕事のスケジュールを調整するから」と言って、慰留、引き留めてくれるそうです。これも一種のコンプライアンスでしょう。

もう大手芸能事務所が恋愛も学業も禁止できる時代ではないのです。 

とにかく今はやさしいです。厳罰を課したり、芸能生命を断つようなことをしたりしません。

恋愛事件で卒業後の鈴木優香や未成年飲酒疑惑で活動辞退後の長谷川百々花を芸能界にいられなくしてやるどころかほとぼりが冷めてからの事務所移籍を裏で手助けした可能性すらある。それは結局不祥事メンバーに冷たくして厳しくしたあと、そのメンバーに腹いせに暴露やAV出演をされたりしないようにするという、組織を守るための打算、計算もあるでしょう。

今回の文春砲も岡田奈々が芸能界から消えなければいけないほどでの問題ではない。そして、活動辞退を強いるのにも無理があります。やりすぎてそうして遺恨を残すと、腹いせに何かをしでかす、やらかすリスクが高まります。

ファンはSNSなどで活動辞退に追い込もうとして岡田さんや村山さんを直截的にしばきにいくようなことはやめて、せいぜい事務所など周辺に、AKB48にいたければいればいいけれど、もうグループの顔からは外れてもらう必要はあるのではないかということを冷静な論理で説いてお願いするにとどめるのが賢明でしょう。

厳罰を与えず、恫喝せず、温情をもってやさしく今後のことまでを考えてやるけれども、"卒業したあとの活動で売れるかどうかはわからない。でも、少なくともAKB48内ではおまえの時代はもう終わった"という一線だけは絶対に譲らないことが肝要です。

 

 

・しかし、まず、岡田奈々がもしヘテロセクシュアルなのにレズビアン、バイセクシュアルを装っていたのなら、もう潔く卒業すべきでは?

 

しかし、今回はただの恋愛事件としてだけはかたづけられない要素がいくつかあります。

まず、岡田奈々、村山彩希は現在AKB48の"顔"であること。しかしながら、責任感を、やはりグループ内では好調を保ち、地位を固めた"ゆうなぁもぎおん"としての驕りのほうが上回ってしまいましたか。

次に、今回の件で大きいのは、岡田さんが恋愛をしたことよりも、指原莉乃のように露見すれば大多数が「やっぱりか」としか思わないアイドルと違って、岡田さんは反異性愛者、非異性愛者というイメージでキャラクターを売ってきた、つまり嘘つき、ペテン師だったと思われてもしかたがないことでしょう。

岡田奈々は"女性のほうが好きだ"とラジオ番組で発言してLGBTQをファンに取り込んでいたことを自分でわかっていたと思います。今回の件が露呈しても、まだバイセクシュアルである可能性はあります。そして、人のセクシュアリティも変化しえます。

しかし、何よりも、もし女性への性的嗜好がビジネス、ファッションであったとしたら、つまり岡田奈々がレズビアン、バイセクシュアルを装っていただけなら、それはマイノリティの人権に対する重大な冒涜であると思います。どの面を下げれば、アイドルにも恋愛をしていい人権はあると言えるのでしょうか。やり直す機会は与えられるべきですが、自己処罰として、とりあえず卒業はするべきです。

 

 

・この失着、言行不一致のせいで、岡田、村山が何を言っても、(グループの顔として勝ち犬に入っていたのに、グループまでを炎上させることになり、勝ち犬のまま卒業できなくなった)負け犬の遠吠え

 

加えて、アイドルの世界では、容姿、歌唱、ダンス、話術、演技、キャラクターだけではなく、自分に恋愛を許すか許さないか、恋愛を隠し切るか隠さないか隠し切れないかで、競争をしている、競争の結果が決まります。

たとえば、「私はゲーマーです」「私はアニメオタクです」「私は巨人ファンです」「妹もアイドルです」「グループ内の親友は○○ちゃんです」と言ったときに、それで寄って来る人、関係なく留まる人、去っていく人に分かれていきます。喫煙禁止ルール、ブランド品購入・所持禁止ルール、裏アカ禁止ルールは存在しなくても、喫煙者もブランド品愛好者も裏アカでつぶやいているでしょうが、キャメラに映るところなどでその姿を見せるかどうか、見られないようにするかどうかの戦術、戦略があることは当然みんな知っています。結局、恋愛のカミングアウト、パパラッチ報道もそのひとつです。

だから、恋愛は禁止できないが、文春砲の対象になりうるアイドルはそのリスクを踏まえて恋愛をするかどうかを決め、する場合でも隠そうとするか、隠し切れるかをよく考えなくてはなりません。今回、岡田奈々も村山彩希もそれは承知でしょう。そのうえで、これだけ否定的な反応を引き起こしてしまう、すなわち炎上する結果を避けられなかったわけですから、もう何を弁解、説明しても、負け犬の遠吠えです。

 

 

・"ゆうなぁもぎおん内閣"は総辞職し、ただの人気メンバーのひとりに戻るべきだが、彼女たちに取って代わる新内閣のイメージが見えてこない

 

『久しぶりのリップグロス』の選抜メンバー発表のYouTubeのときのMCが岡田奈々、村山彩希、向井地美音でした。これが初めて選抜に入った茂木忍を迎え入れるための布陣であることはたしかですが、しかし、それだけではなく、事務所とレコード会社とが相談のうえで、中心メンバーでも、小栗有以、本田仁美、柏木由紀ではなく、この三人が中心の中心メンバーであると位置づけられているからでしょう。そういう意味で私は"ゆうなぁもぎおん内閣"と呼びました。

しかし、今回の件で、それぞれについているファン以外のAKB48ファンの支持率が急落したのではないでしょうか。AKB48の顔という立場からは降りるべきでしょう。そのうえでAKB48にいたければいればいいです。後輩の模範にならない負け犬としてAKB48にとどまるか、あるいは負け犬として見られるのが嫌ならとっとと卒業するか。

これに替わるのは、小栗、本田、倉野尾成美、岡部麟、下尾みう、大西桃香、小田えりなという"チーム8オリジナルメンバー内閣"しか考えられませんが、チーム8はしょせん傍流なので、支持は集めにくいのかもしれませんね。私は小栗さん、岡部さん、大西さんあたりにキャプテンシーで奮起してほしいのですが、文春砲は続くので、上記のチーム8メンバーもすでに文春砲の照準に捕まっているかもしれませんね。

そもそも、悪いと思っていたら、しでかさない。だから、いくら非難されても、根本は反省できない。岡田、村山の二人とわれわれそのほか大勢とのあいだに存在する絶望的な距離感が立ちはだかっていますね。岡田さん、村山さんの倫理観では、オンラインお話し会でも人気、応援の声があるし、今までがんばってきたし、これくらい、たった一つの件で人生が狂うなんておかしいと思うかもしれません。ほかの科目の単位がぜんぶ取れていても、必修科目ひとつを落とすだけで留年することもあります。が、一般市民の人生でも、そしてとくに芸能人の人生は、十回ゴールを決めたのに十点しかもらえなかったのに、ひとつのゴールを許すだけで、一点ではなく、百点を失うこともあるものです。

 

ここで私が思い出すのは藤本美貴。彼女は正統派アイドルとしては失格だったかもしれないけれど、しかし、いまだにアップフロント系の事務所に所属し、庄司智春と幸福に暮らしています。恋愛事件で人生が悪い方向に変わったように見えても、もっと自分に合った人生に、つまりよい方向に修正できただけでした。岡田さんの場合も、藤本さんにとっての庄司さんのように、交際相手が発覚後も誠実に交際を続ける人間であってほしいとただ祈るばかりです。