今日は私が4年間かけた、というのはオーバーですが、修士課程すべての成果が実を結ばなかったご報告をします。

検証に時間がかかり、前回からの更新が大幅に遅れました。

修士に4年というのは、長期履修制度というのがあり、国立なので、2年制と同じ学費で4年間かけて履修するというものです。旧帝のデータと施設を使えるのは長いほうがいいので、こっちを選びました。入学前に届けなければいけないのです。

結果的にはとても良かったです。私は学部はタイの大学のしかも経営学部のファイナンス専攻なので、ミクロ経済や計量経済学は学部の授業から出ていました。

 

前置きが長くなりましたが、大学院に行くには皆、理由があります。

私は、前職のタイ国にある大手日系海運企業の陸運部で運行管理のようなことをしておりました。KPIで事故の死者数が単なる数字のデータとして出るのですが、現場では実際に二人乗りの女子高生の原付きバイクが弊社のトレーラーに巻き込まれたりしたりしていたわけです。その結果は悲惨なものです。それはコストカットのしわ寄せだけではないですが、それも一因です。

ところで、海運会社の業績というのは現場レベルの涙ぐましい下請け協力会社へのいじめお願いレベルではどうとなるものでなく、また社内の会議では白黒コピー、使ったインボイスの裏面も使うこと!といったスズメのナミダ的なこともしてました。

が、いったん、「マーケットに風が吹く」とそういった努力を一気に吹き飛ばすとんでもない利益がころがりこんでくる業界なのです。Vice Verca(逆も真なり).

 

そこで私は海運市場のマーケット自体をヘッジする金融商品を作って世の中を変えよう!という高い志を持ち、大学院の門を叩きましたが、教授曰く、「まずその前にヘッジが本当に機能するか調べてよ」とおっしゃいました。もっともです。

 

いろんな講義を受けながら、様々な論文を当たりましたが、近傍の研究がなかなかみつかりません、イヤーな予感がしましたね。かろうじて2001年のザ・リビュー・オブ・ファイナンシャル・スタディズにアラヤニスという学者の外貨デリバティブと企業価値の研究があったのでこれを屋台骨にしました。

左辺の企業価値はもちろんQラシオ、企業の株価純資産倍率です。ここで株価などを使っている論文はよくないです。

右辺、αは切片、DSKとDSMというのは、デリバティブ債権とデリバティブ債務から作った造語です。

Assetは総資産の自然対数で資産規模(トヨタとスバルなど)の違いを調整、ROAで利益率を、Growthは設備投資費を総資産で除し成長率を、それぞれ調整しました。ROEでないのは企業価値だからです。

データは日経ファイナンシャルクエストから1,095firm year、つまり、のべ年数を、日経225企業20年、デリバティブ債権またはデリバティブ債務を貸借対照表に載せているぶんをすべて取りました。

分析ツールはSmall Stataを使用しました。(動画中では、Mini Stataと言い間違えています)

私の仮定ではもちろんこのDSK、DSM双方がQに正の影響を与えているというもの、つまり金融派生商品を利用してリスクをヘッジしている企業の株価純資産倍率は上がるはずだというものでした。

しかし、なんど計算しなおしても、DSKは1.87E-0.5で統計的に充分有意に正の値を取るのですが、DSMが-2.46-E0.5で統計的に充分有意に負の値になってしまうのです。

つまりヘッジは企業価値を高めるどころか、毀損する場合があることが証明されました。言い訳ではありますが、これも一つの知見です。

またその後、家族や仕事の事情で中断や休学をしておりますが、今でも県立大学に籍を置き、獲得した技法でESGと企業価値の関係で博士を取ろうとはしております。

 

しかしこれで、いったん、ファイナンスや経済の記事は終わりにして、これからは、昔のバックパッカーで世界を半周くらいしたころのことを書こうかなと思い、ブログ名を変更しました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

3分49秒の動画です、是非どうぞよろしくお願いいたします!

 

 

 

 

本の宣伝です、是非どうぞよろしくお願いいたします!