昨日チラッとマーケットポートフォリオと書きましたがその説明をします。

 

ずいぶん前に最適ポートフォリオの話をしましたが、資産にはリスクフリーアセットとリスクアセットがあります。リスクフリーというのは国債ですが日本国になにかとても大きなインシデントがあったら、紙きれになるかもしれません。それでは昨日の完全市場と同じ論理になってしまうので、国債を無リスクとします。

同じようにマーケットポートフォリオというのは「完全にリスクが分散されたリスク資産」です。完全にリスクが分散されたというのは、この世のすべてのリスク資産を加重平均したものであり、イデアですね。イデアというのはプラトンかだれかが言った「この世のありうべき姿の理想」であり、実際には存在しないものだそうです。日曜夜の「サザエさん」が長年高視聴率を保っているのも、あの世界観が「日本の昭和のありうべき理想の家庭」で実際には存在しえないからこその人気ではないでしょうか。

閑話休題。そこでマーケットポートフォリオはS&P500や日本だったらTOPIXを代理変数として使います。

 

上のグラフのように、どこまでリスク資産の銘柄数を増やして(分散して)も、どうじても残るもの、それをシステマティックリスクと呼びます。投資家としては分散で回避できないこのリスクを計りたいです。その感度こそが前回のβです。例えば原油価格が船会社の収益率に与える影響などが挙げられます。原油価格の1%の上下にどれだけその船会社の収益率が反応するかといった意味です。

「ある證券のベータとは、市場ポートフォリオの超過収益率の1パーセント変化に対する、その證券の超過収益率の期待率変化である」(コーポレートファイナンス、バークより)

つまり投資家は分散しても回避できないシステマティックリスクを甘受する代わりに、超過収益率を精確に計りたいというお話しでした。