先日、東京建物Brillia HALLで上演されている
ミュージカル『イザボー』を観劇してきました!
この作品は、日本発のオリジナルミュージカルを製作する
≪Musicals of Japan Origin≫プロジェクトの第一作とのこと。
主な配役は以下の通り(敬称略)。
イザボー・ド・バヴィエール:望海風斗
シャルル7世:甲斐翔真
シャルル6世:上原理生
ブルゴーニュ公ジャン:中河内雅貴
オルレアン公ルイ:上川一哉
ヨランド・ダラゴン:那須凛
ブルゴーニュ公フィリップ:石井一孝
シャルル6世を基準に相関関係を説明すると、
イザボーは妻で、シャルル7世は息子(一応)、
オルレアン公ルイは弟、
ブルゴーニュ公フィリップは父親の弟、つまり叔父、
ブルゴーニュ公ジャンはフィリップの息子、
つまり自分とオルレアン公ルイにとっては従弟、
ヨランド・ダラゴンはシャルル7世の養母かつ義母。
まあ、必要なことは劇中で説明されましたので、
歴史に詳しくないわたしでも話についていけました。
「フランスは一人の女によって滅び、一人の少女によって
救われる」。劇中で何度か語られる言葉です。
その「女」がイザボーで、「少女」がジャンヌ・ダルク。
しかし、イザボーも最初から悪女ではなかったわけで。
夫が精神疾患を発症したことにより、幸せな生活が一変し、
狂気と正気を行き来しつつ、次第に狂気にとらわれていき、
国王としての統治ができなくなった夫の姿を見て、
夫を、そしてフランスを守るため、イザボーは心を決める。
ここから怒涛の悪女化が始まります。
夫の精神疾患の原因を作ったとイザボーが疑っている相手、
言うなれば、敵である義弟のオルレアン公ルイと手を組み、
ルイが暗殺されると、反対派閥のブルゴーニュ公ジャンと手を組み、
ジャンが暗殺されると、トロワ条約でフランスをイギリスに売り渡す。
なかなか強烈なお方ですが、望海風斗さんは
その強烈なイザボーを、幸せな王妃のころから、
権謀術数を駆使した政敵との渡り合いを経て、
シャルル7世の即位後にひっそりと暮らすところまで、
聞き手を圧倒する強烈な歌声で演じ切っておられました!
印象に残っているのは、ラスト近くでイザボーが回想する場面。
息子のシャルル7世に「おまえは国王の息子ではない」と言って
息子を傷つけた自分に対して、「あの子が生まれたときは、
『夫の子どもかルイの子どもか、自分にもわからない。でも、
わたしの子どもには違いない』と思っていたのに」とつぶやくところ。
信念をもって人生を生き抜いてきたイザボーがふともらした
「こんなはずじゃなかったのに」という気持ち。ぐっときました。
あ、上記のセリフはうろ覚えです、悪しからずご了承ください。
子どもといえば、この作品では、国王の子どもではないと疑われて
養子に出したイザボーの子どもが、巡り巡ってジャンヌ・ダルクに
なっているようですね。新鮮な解釈だと思いました。
イザボー以外もみなさん、強烈なキャラクターでして、
演じる人の歌声も強烈でして、音の圧がすごかった!
上記のキャストの中では那須凛さんだけ初見でした。
青年座研究所のご出身とのことで、ミュージカル俳優では
ないのかな、と思ったのですが、力強い歌声でした。
キャスト全員の歌声に、その音圧に圧倒されて、
とても気持ちがよかった。
オリジナルミュージカルの初演ということで、
当たりはずれが大きそうで不安もありましたけれど、
これは当たりでしたね~。
歌うまさん揃いのキャストに惹かれてチケットを
取ったのですが、正解でした♪
ここで蛇足情報をひとつ★
イザボーについて調べていて気付いたのですが、
イザボーは、バイエルンのヴィッテルスバッハ家出身。
ということは、ミュージカル『イザボー』のイザボーは、
ミュージカル『エリザベート』のエリザベートの
ご先祖さま筋にあたる人だったんですよ~!
ちなみに、ヴィッテルスバッハ家は現在まで続いているようです。
ただ、現在の当主は90歳で未婚、同性のパートナーあり。
現当主の弟が次期当主となる予定だが、娘しかいないので
その次の当主は、現当主の従弟だか又従弟になるそうな。
時代の流れに沿って、女子にも当主継承を認めればいいのに、と
生まれながらの庶民のわたしは思ってしまいます。
