■本は最高の娯楽
■今ちょうど、読書週間である。
私は少女の頃から読書が大好きだった。
娯楽の少なかった時代、読書ほど楽しいものが他にあろうか、と思っていた。
同じく読書好きだった3才上の兄の本箱には、本がいっぱい並んでいた。
「お前には、まだ早すぎるから絶対読むな」とクギを刺されていたが、兄の留守を狙って、こっそりと泉鏡花の全集などを読んだ。
当時、女学校1年生だった私に男女の機微などわかるはずもなかったが、とにかく読むことで満足した。
父には、
「子どものくせに本ばかり読んで」と叱られたが、寝床で布団をかぶり、夜明け近くまで読みふけったこともあった。
わずかなお小遣いを握って古本屋へ行き、目指す本を見つけた時のうれしさが今も忘れられない。
今、若者達の読書離れが言われるが、たぶん、他の楽しみがいっぱいあるからだろう。
孫達にも、事あるごとに読書をすすめるのだがテレビやゲームに夢中である。
京都市76 才女性
(11月9日付読売新聞投書欄「気流」より)