真面目なテーマとして、やはり出版業界に身を置く者としてこれについて書かせて下さい。
正直、巷で言われている数字「初版45万部」
信じられません!
ネットなどでの予約や書店からの予約で「40万部」と言われていますが
この数字、出版に携わったことのある人間なら恐ろしさがわかると思います。
読者(一般ユーザー)の方は、「へえ」という感じだと思います。
ハリーポッターなどの実績のある書籍なら、数字がある程度読めるのは
理解できると思いますが、失礼ながらこの著者の場合「読めない」と思います。
まず、第1点め
本は売れないと判断されると書店から出版社に”返品”されます。
「1週間前にはあったのに・・・」という経験、ありませんか?
そうです、売れた可能性より返品された可能性の方が断然高いのです。
そして、出版社は返って来た本を再びキレイに化粧直しして、再出荷します。
つまり、刷り部数と出荷部数は同じではないのです。
ですから、どこの数字を公称部数にしているかは普通の方は判断できません。
また、1万部刷るだけで約200万~250万円(印刷会社によりますが)ほどかかります。
他にも直接・間接コストはかかります。
それが「45万部・・・?」と考えると・・・。相当のコストになります。
また全国の新刊書店は2万軒あるかないか、1日に新刊書籍だけで350点~400点出るという事実。
いくらネット市場が拡大していると言っても、基本は書店です。
果たして「45万部」の供給が需要として生きるのか、大いに疑問です。
出版社は売れるか売れないかわからない状況で、著者の知名度・販売データ&経験値を元に
リスクを負うのです。
売れなければ”返品”。そして在庫として抱えることになります。
よく「返品倒産」と呼ばれる悲劇もあります。
仮に売れてても、作りすぎると会社全体がおかしくなるのです。
ですから、どんな大手の出版社でも初版部数は慎重になります。
しかし、話題が先行してしまうと店頭に商品がないのも問題になります。
(コミックのように人気・実績がわかればワン〇ースのように多く刷れるのですが)
ここが難しいところでもあります。
また予約が入っていても確実に”売れる”保証もありません。
キャンセルされれば終わりです。
予約が入ったからと言って正直に刷ると、半年後には恐らく在庫の山になることも考えられます。
ですから、今回の初版部数の実数はわかりません。
予測はつきますが、あえて書きません。
皆さんのご想像にお任せします。
第2点め
確かに出版が冬の時代に話題があるのは良いことだと思います。
しかし、今回のケースはやり方に問題があったのでは?と思えてしょうがありません。
まずP社の「大賞」。賞金2、000万円。普通ありえません、出版では。
出版全体の売り上げがトヨタ1社の経常利益より低いことを考えても、異常です。
そもそもこれまであまり話題にもならなかった”賞”で、もしこれだけ高額なら
もっと注目されてもおかしくないと思うのですが。
そして、著者が辞退したこと。これも・・・。
うがった見方をしてしまうと、出版社と著者の間の「出来レース」。
発表の段階から、事前にマスコミに情報(本名と芸名について)をリークして話題を作る。
出版社は宣伝になるし、著者も「賞金辞退」でいろいろダークな話題を払拭できる。
賞金辞退なら出版社も賞金を払わずにすむし、著者は処女作として話題を作れる。
これをきっかけに次の著書もいろいろな出版社から出しやすくなる・・・etc。
両者には様々なメリットが生まれている状況だと言えます。
勿論、作品自体が良くて売れればよいのですが・・・、噂では相当手直しが行われたとも。
あまりにも「ご都合主義」のストーリーが見えてしまったので、書かせてもらいました。
果たしてこの作品、化けるのかそれとも・・・。結果を楽しみにしたいと思います。
皆さんが本を選ぶ時、著者なのか作品なのか話題性なのか基準は判りませんが
決して踊らされないように、自分自身でじっくり選んでじっくり読んでほしいと思います。
長々と取り留めのない文章ですみません。
今度、「こういう本もあるよ」というのも書きたいと思います。
では、では。