途中までで、そこからは有料だったので、買おうか買うまいか。
そんなきっかけで買ってみた。引き込まれるような威勢のいい文章と、何か人の心を見透かしたような小気味のいい描写が印象に残っていたんだ。
しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)/佐藤 多佳子

¥620
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何か、うまく表現できないために、上手く生きられない人がいる。
主人公の落語家の卵と、その周りにあつまってきた、一癖もふた癖もある、連中。
腹の探り合い、ケンカ、そんなぎくしゃくした関係を、スッパリと見せてくれる。
なんだか、人付き合いでわだかまりの残ること、そんなことを綺麗にみせてくれる人だ。佐藤多佳子さんの筆力は。
ぎくしゃくしながら、どんなふうに変わっていくのか。
国分太一が主演でおととしあたりに映画にもなっているけど、そちらは見る気が起きないとしても、これは一見の価値がありますよ。
本の雑誌がえらぶ、年間ベストテン第1位になったそうだ。
人の心の動き、葛藤、そんなものがこれほどまで気持ちよくエンディングに燃焼できるのもめずらしい。元気が出る、読み応えがある作品でした。