出会いは私が高校一年生の時。
田舎者の私が高校の部活の講習会で東京にいったときだった。
写真には興味なかったが担任が写真部の顧問で渋谷で講習を受けて現地解散。しかもその日は出席したことになるという誘惑に負けて1日だけ写真部に在籍した。
講習が終わり、その時付き合っていた人が市ヶ谷にいたので私は市ヶ谷に向かっていた。
渋谷から新宿へ向かう間、隣に立っていた男の人がいた。少し視線を感じた気もしたけど、人の多さが怖くて周りをみないようにしてた。
ほんと田舎者・・・ 一人で東京を移動するなんて初めてだったし、私の地元は終着点の駅だったので乗る電車は考えなくてもわかるところだった。
そんな私は新宿駅でどの電車に乗っていいかわからなくなった。彼氏はまだ仕事中で連絡も取れず人の多さに疲れ果てて私は新宿駅の通路の壁にもたれて座り込んでしまった。
駅員さんに尋ねることさえ頭に思い浮かばなかった。
「どうしたの?」
その時声をかけてきたのはさっきの電車で隣に立っていた男の人だった。
知らない人に声をかけられた恐怖もあったが、それよりどの電車に乗っていいかわからない不安の方が大きかった。
「市ヶ谷に行きたいのですが、電車がわからないんです。」
わたしはとっさにそう答えてた。
東京の人はみんな怖い人だ。そう思っていたのになぜか全く知らない彼に頼ってしまった。
彼は私をホームまで連れて行って電車に乗せてくれた。
「ありがとうございました。ほんとに助かりました。」
そう言葉を絞り出しながら安心感で半泣きになっている私に彼は電話番号を聞いてきた。
助けてもらった恩は感じてたが、知らない人に電話番号を教えるのは怖かった。
「携帯を持っていなくて家電しかないので教えれないです。」
そうとっさに嘘をついた。
彼はその言葉を受け止めて、
「じゃあ俺の電話番号を渡すから気が向いたら電話して」
と言いながら紙切れに電話番号を書いて渡してくれた。
電車が出発し彼とはそこで終わるはずだった。
私は無事に彼氏のもとにたどり着いた。
(2)へ続く