24日まで公演されていたミュージカル『眠れる森の美女』を観て来ました。
保田圭ちゃんの今年3本目の舞台。
けいちゃんが立つ24作品目の舞台作品です。


会場は三越劇場。
劇団東少と三越劇場の主催公演。
「2011年 三越夏休みファミリー劇場」と銘打ってあります。

ファミリー劇場ですが、内容や演技や歌。
台本や役者の技術的なものが子どもの鑑賞用な作品ではありません。

子どもでも観やすく作られていますが、大人の鑑賞にも耐えられる作品。
むしろ、作品の深い部分まで楽しめる分、大人の方がより感じることが多いかと。
子ども向けと油断して行くと、結構やられます。


通常、舞台は未就学児入場不可が当たり前。
でも今回は年齢制限はありません。

客席はいつもとまったく異なり子どもだらけ。
幼児から小学生くらいのちびっ子が半分以上です。
赤ちゃんまで居たのには驚きました。


自分が客席で浮くだろうことも。
客席がうるさいであろうことも予測して行きましたが。
みんなちゃんと観ているものですね。

もちろん、静かなシーンで飽きてしまいキョロキョロしたり、イスをバタバタさせてしまう子もいます。
おしゃべりや叫んじゃう子だって中にはいます。
でも、しっかり観ている子の方が多いです。


むしろ、役者の芝居について、いちいち解説するお母さんが近くに居た時の方がうるさかったですね。
そこは自分で感じさせなきゃ意味ないなぁって。
まるで、与えられるものは何でも押し付けようとする王妃みたいで(苦笑)




さて、いつもの駄文に入りたいと思います。
一応ストーリーを追ってはいますが、けいちゃん中心に自分の感想を書き残すだけなので。
人の感想に興味のない方、地方公演を楽しみにされている方はこのままお引き取り頂ければと思います。





けいちゃん演じる白の妖精は天真爛漫、純真無垢。
とても幼い雰囲気の妖精です。


今回、役柄としてはやり切りました。
大人としては観ていて少し恥ずかしいのですが、思いっきり振り切ったなぁと。
白の妖精のキャラクター、確立していました。

こういうキャラクター要素の強い役ばかりを、今後もたくさん観たいとはあまり思わないのですが。
新境地、開きました。
役者をする上での糧になるでしょうね。


セリフの声も話し方も、ちっちゃい女の子を見ている気分です。
擬態語があったり。
半濁音の音を発していたり。
笑い方も、ケラケラって感じです。

動きもぴょんぴょん跳ねたりふわふわしていて。
アニメキャラクターのように愛らしい。


寝起きが悪く、眠い目を擦りながら駄々っ子のようだったり。
大きな口をあけてあくびしていたり。
顔の筋肉を目一杯使っているんだろうなというくらい表情はハッキリです。


客席の子どもたちは、自分たちより幼い子を見ている感覚になっていたんじゃないかな?
ストーリーが舞台中央で進んでいる時も。
端で眠っている白の妖精を見つけては「また寝てるー」ってツッコミが。
ちびっ子たちは、お兄ちゃんお姉ちゃん気分で見守っていたのかもしれませんね。

白の妖精の一挙手一投足に笑ってくれて。
我々ファン以上に、喜んでくれていました。

子どもたちの目線と心、しっかり掴んでいました。
キャラクターとしては大成功だったと思います。



あくまでも主役は王女。
お姫様のお話しを観てきたと子どもたちが感じるようにできていますが。

でも白の妖精が主人公のような感じで。
物語を進めていたのは白の妖精です。
あんなに子どもっぽい妖精ですけどね(笑)





物語は、赤と緑の妖精が出てきて、王女さまと料理番頭の娘が同じ日に生まれた報せが来たところから。
ここでナレーションが入ります。

神野美奈実さんがブログに書いていた、けいちゃんも一緒だったという録音。
このナレーション部分でした。

赤と緑の妖精が話していたことをナレーションで。
王家に生まれた待望の姫君。
そして料理番頭の夫婦のところにも待ちわびていた赤ちゃんが。


ナレーションの声もまた可愛らしい声です。
でも、妖精の声とちょっと違う可愛らしさを持っています。
妖精の子どもっぽい可愛らしさではなくて。
いつものけいちゃんらしさのある、柔らかさのある可愛らしい声。

もうこの声聴けるだけで幸せを感じてしまう自分は。
やっぱりけいちゃんの声が大好きなようで。
ニヤケてしまう(笑)

ナレーション最後のひとことが「赤ちゃん」なんですが。
これは可愛すぎたなぁ。
声の後ろにハートマーク、見えました。



お城では王女さまの誕生を祝う準備が進んでいます。
料理を用意する料理人たち。
同じ日に生まれながらも、王女は盛大な宴で祝われ。
料理番頭の娘は一皿の料理だけ。

この差を不憫に思う料理番頭の夫婦ですが。
彼らには娘に残してあげられる大切な宝物があります。
それは、母から娘に代々引き継がれてきた糸車。


料理番頭の女房、神野美奈実さんが歌う「糸車の唄」。
温かい歌声でした。
この歌は子守歌。
母から娘への愛がいっぱいの優しい歌声でした。


城で開かれている王女誕生の祝い。
この国では、王女誕生の際には妖精たちが贈り物をする決まりがあります。

赤の妖精は豊かな知性と自由な心。
そして、美しい声で歌うことができる力を。


赤の妖精を演じるのは、愛那結梨さん。
元宝塚の方です。

もうさすがとしか言えない歌。
特に声量がものすごい。
どんな高音も劇場中に響かせています。


緑の妖精からはすこやかな成長と健康な体。
そして、誰よりも美しく踊ることができる力を。


緑の妖精は岡部麻美さん。
6歳からバレエを続けてこられ、10年も前から東少作品に出演されている方です。

もうさすがとしか言えない身のこなし。
蝶が舞うようにという表現が劇中にもありますが。
まさしくその通りの軽やかなステップ。
観ていて心浮き立つ感じです。



さて、白の妖精はまだ来ない。
大臣や女官長(料理番頭夫婦の小川潤さん、神野美奈実さんが一人二役です)がイライラ。
そこに登場した黒の妖精。
見た目は妖精って言うより悪魔です。

自分だけ、このお祝いに呼ばれなかったことを恨む黒の妖精。
「王女は18歳の年に糸車の針が刺さって死ぬ」と呪いをかけてしまいます。


黒の妖精役は米山武彦さん。
元は劇団四季の方で、バレエやダンスもされています。
立ち姿がピシッとしているんですよ。


悪役、めちゃくちゃ楽しそうだったなぁ。
もちろん、子どもたちは怖かったでしょうけど。
自分はわくわくしました。

千穐楽の握手で米山さんにそう伝えたら驚いていましたが。
悪役はやり切ってもらえないと見ているこっちが楽しめませんからね。



人々が悲しむ中、ようやく到着した白の妖精。
窓枠に腰掛けたまま寝ています。
「ガーゴ ガーゴ ピー」と大いびき(笑)

赤と緑の妖精に起こされた白の妖精は、事態を把握。
黒の妖精の呪いを打ち消してくれるのではないかと期待されますが・・・。

王女の呪いを消すことは出来ないけれど。
王女は死なずに眠るだけで、黒の妖精の呪いを解く素晴らしい夢を見ると。
白の妖精は眠りを贈ります。


ここで白の妖精の歌になるのですが。
今回、観劇されたファンの方で、けいちゃんへの評価が分かれているのはこの部分が大きく関わっていると思います。
演技に対する評価はいつも通り高いのですが。
歌は・・・って意見、ありましたね。
自分もその一人です。


「夢の世界~」って歌い出すこの曲。
歌い出しのフレーズで一音、最高音。
この音がとれていませんでした。
けいちゃんが音程ハズすなんて自分にはかなりの驚きでした。

全体的に高音ばかりの曲で、けいちゃんが歌い慣れない音域であったことは事実です。
けいちゃんが作る曲でもあまり使わない音。
でも、それは言い訳でしかありません。


声量も弱かった。
赤の妖精と比べてしまうのは酷なことだというのはわかっています。
あちらは宝塚でしっかり学び、鍛錬されている方。
基礎が違うのは如実に表れました。
珍しく、声の伸びも悪かったですしね。


ヘタでは無いけれど満足はできない。
これが保田圭の歌だとは納得できない。
初めて聴いた日は、歌に対してはこんな感想でした。



そして、千穐楽。
歌の部分になると緊張。
こんなこと初めてかもしれません。


楽日の歌、かなり良くなっていました。
仕事に対しては盲目的にはなれませんので。
誰よりも上手いなんてことは言いません。
完璧だとも言えません。
でも、けいちゃんなりの答え、みせてもらえました。

不安定になりやすかった音も大丈夫。
声量もアップ。
けいちゃんらしい伸びやかな声も健在。

心底、ホッとしました。
自分の中で、納得できました。


歌の安定感が増したからか。
白の妖精が呼びかけるように話す(客席を向いて叫ぶように鳥や星に話しかける)セリフ。
優しい声質を保ったまま綺麗にしっかり響いていました。




王女の運命を悲しむ王(おーのーおさん)と王妃(内田悠子さん)。
国中の糸車を燃やして姫の命を守ろうとします。

国王の命令により次々と燃やされる糸車。
料理番頭もその指示に従おうとしますが、女房は頑なに拒否。
母やその母、代々の想いを守りたい。
自分たちが娘に残してあげられるものはこれしかない。

夫婦は命令に背き、糸車を隠す決心をします。
その様子を、嬉しそうに見ている黒の妖精。


ここで一幕が終了です。

王の命令に背いた恐怖に震える料理番頭の夫婦を真ん中に。
笑みを浮かべる黒の妖精。
その対角線上で何も知らず眠る白の妖精。
この構図が、二幕の波乱を感じさせます。




二幕。

あれから18年が経ったと。
赤と緑の妖精の歌から始まります。


健やかに育った王女、相沢まきちゃんがようやく登場です。
まきちゃんお綺麗です。
背も高く、スタイルが良いのでドレス姿が栄えますね。

王女は、欲しいと願う前に何でも揃ってしまう自分の境遇が不満。
みんなにガミガミ言われながら、王女チャレンジでしまじろうと一緒にお勉強(笑)


一方、料理番頭の娘も健やかに成長。
裕福ではありませんが、仲間たちと楽しく過ごしています。

他界した両親が残してくれた糸車。
それを大事に、世間にバレないように使っています。


この娘役は前田美沙さん。
劇団東少の役者さんです。

美沙さんも母親役の美奈実さん同様、「糸車の唄」を歌います。
とてもまっすぐな歌い方で、ひたむきに生きているこの役にはまっていました。
美沙さんの歌声、かなり好きです。


城を抜け出した王女は、楽しそうな声が聞こえてきた料理番頭の娘の家へ。
糸車が見つかっては大変と慌てふためく料理番たち。

糸車を隠してあることを知らない王女は、みんなが必死に隠そうとする扉の中身を見たいと言い出します。
扉を開けなさいと命令しますが、彼らも必死。
歌や踊りで王女の気を引きごまかそうとします。

みんなと楽しく歌い踊る王女。
そこにやって来た黒の妖精。
魔術でみんなを操り、とうとう王女は糸車の針に刺されてしまいます。


王女を探しに来た王様たちは変わり果てた姿に愕然。
糸車を隠し持っていたことに驚き、怒ります。

料理番頭の娘をかばって、自分が隠し持っていたと言い出す料理番の若い男。
自分が隠し持っていたことを正直に打ち明ける娘。
自分が自分がと相手をかばい合う思いやりに溢れる場面です。


この料理番の若い男役の堀籠成隆さん。
彼もいい声しています。
機敏な動きもいいですね。
お見送り握手の時、化粧に驚きますが、とても丁寧な姿に好感度アップでした。



この一大事にまた遅刻の白の妖精。
また「ガーゴ ガーゴ ピー」と大いびきが。
今度は糸車を隠していた扉の中から登場です(笑)

「フニャ フニャ ピー」とか。
「クルルン クルルン プァ」とか。
そんなセリフと可愛らしい動きなので。
客席の子どもたちは喜んでいます。
子どもの笑い声がいっぱい。


赤と緑の妖精から状況を知らされた白の妖精。
自分の18年前の贈り物の通り、王女は眠っているだけ。
これから素晴らしい夢をみて、黒の妖精の呪いを解く力を見つけるハズと悲しむ人々を勇気付けます。

ここで大臣や女官長に怒られたりするのですが。
「大臣のおじちゃん」
「女官長のおばちゃん」
と言う声がヤバかったです。

擬態語以上に子どもっぽい声で。
イタズラっぽい笑顔が完全に子どもでした。


王女は100年の眠りへ。
目を覚ました時に寂しくないようにと、国中の人々が赤、緑、白の妖精の魔法で眠りにつきます。




ここから王女の夢の中。
夢の中で目を覚ました王女は、一生懸命花を育てる動物たちと出会います。
この動物たちは、動物の姿になった王様や城の者、料理番頭の娘たちです。

みんなに相手にされなかった王女は、怒って勝手に花を摘み。
さらに、白うさぎが大切に育てていたスミレをわざと踏み倒してしまいます。

王女を突き飛ばして花を心配する白うさぎ。
王女は、なぜ白うさぎがそんなに怒り、悲しむのかがわかりません。


「この国のお花は全部私のもの。だって私はこの国の王女なのですから。」
と言い放つ王女。
心無い言動に、さらに動物たちの心が離れ孤立。

それを見ていた通りすがりの王子に、
「花は育てた人のものだ。この国にあなたの花は一本もない」
と言われ激怒。

王女は怒鳴るシーンが多いのでまきちゃんの高い声はちょっと耳に刺さります。
歌声は柔らかくて聴きやすいんですけどね。


王子も動物たちも去り、一人ぼっちになってしまった王女。
遠くから自分で水をくみ、踏み倒してしまった花に水をかけてやります。
復活する花(笑)

王女の行動を見ていた王子と動物たち。
王子は、自分もかつては花を育てるような人間ではなかったと。 


ここで王子の歌なのですが、この歌詞がかなりきます。
「何も知らない自分を恥じた」
そんなにお上手ではないのですが、溝呂木賢さんの声と一緒にスーッと入ってきました。

セリフにもある
本当に大切なものは目には見えない
本当に美しいものも目には見えない
心の目で見なければ見えない

王子と王女が手を取り合って歌う、絵本のようなシーンでした。




国中の人々が眠っている中。
王女のところに表れた黒の妖精。
王女を守る為、戦う赤と緑の妖精。
寝ている白の妖精。
子どもたちにツッコまれてます(笑)


赤と緑の妖精が「王子様ー」と叫ぶと。
颯爽と王子登場。
ここは自分的にはかなりツボで。
なんか笑ってしまうんですよ。

溝呂木王子はかっこいいのですが。
登場があまりにヒーローショーっぽくて。
毎回笑ってしまいました。


王子も一緒に、王女を守る為に必死に戦います。
ピンチになって起こされた白の妖精も。
4人で力を合わせて黒の妖精を撃退。
そしてみんなで決めポーズ(笑)



100年の眠りから目覚めた国の人々。
ですが王女だけは(居眠り中の白の妖精も)目覚めません。

王妃に怒鳴り起こされた白の妖精。
「王子様ー出番ですよー」とピョンピョン跳ねながら呼び寄せます。

王子のキスによって目覚める王女。
キスするよ~と盛り上がっている(笑)客席の子どもたちには物足りない?
手の甲へのキスです。


目覚めた王女は、花を台無しにしてしまったことを料理番頭の娘(夢の中では白うさぎ)に詫びますが。
娘は、何のことかわかりません。
変わりに、その花が咲いていたハズのところには糸車が。
燃やしてしまおうとする王様たちに、これはこの娘のものだと怒る王女。
自分が絶対に守ると優しく娘に伝えます。

そして、たとえ貧しくても、人に譲れない大切なものを持っている彼女は。
大切なものがなく、心が満たされない自分よりも幸せだと両親に訴える。
自分たちの行動を悔いる王様。
初めて本音で語り合う親子。
ここは、ご家族連れのパパママへの強いメッセージを感じます。


素晴らしい夢をみて開いた心の目。
そして巡りあった王子。
今はもう王女さまも大切なものを持っていますよと。
料理番頭の娘。たちに教えられた王女。
幸せいっぱいのハッピーエンドです。



ここで場面は一時停止。
白の妖精の魔法です。
白の妖精以外のみんなが静止。

肩の荷がおりてやれやれの白の妖精は。
これでゆっくりと眠れると大あくび(笑)


白の妖精のセリフ。
子どもたちはちゃんと聞いていて、笑ってくれて。
けいちゃん、嬉しかったろうなぁ。


また場面は動き出して本編は終了。
温かい拍手に包まれました。




すぐに幕が上がり、「糸車の唄」を歌いながら糸車を回す王女。
赤、緑、白の妖精と王子が聴いています。

その歌を赤と緑の妖精が引き継いで歌い、メインキャストは一旦下がります。
次々とキャストが順番に出てきてご挨拶。
綺麗な流れですね。
白の妖精はご挨拶の時も飛び跳ねていて、笑い声と拍手をたくさん頂きました。




楽しい舞台でした。
子どもたちの笑い声がたくさん聞こえてきました。
こういう場があること、大事だなぁって思います。

そして、子どもたちだけでなく、大人も十分楽しめたのではないかと思います。
童心にかえったり。
人として考えさせられたり。
作品の伝えたいことを一番受け取ることができるのは、より長く生きてきた大人でしょうから。



まだ地方公演もありますが。
ひとまず無事に迎えられた千穐楽。

キャストのみなさん
スタッフのみなさん
お疲れさまでした。
素敵な作品をありがとうございました。