昨夜、千穐楽を迎えた舞台『更地5』。
大好評のまま、幕を下ろしました。


下北沢のシアター711という小さな劇場ではありましたが、チケットの捌けは良く。
補助席が出るほど連日満員。
主宰者の大森ヒロシさん、出演者の山口良一さんのブログによると、埋席率100%超え!
動員数は目標を上回ったとのこと。

http://blog.oricon.co.jp/o-mori/_pages/user/iphone/article?article_id=3350828
http://plaza.rakuten.co.jp/ahondara/diary/201103060000/

たくさんの方々が楽しまれたようです。



自分も、一観客として楽しませて頂きましたし。
保田圭ファンとしても楽しませてもらいました。
けいちゃんにとってすごくいい経験が出来たのではないかと思います。


13話のオムニバス作品。
上演時間は80分程。
次々と進み、次々と笑いがおきる。

セットも、机や椅子しかないただの平面。
音と役者の雰囲気。
それだけで、壁の色や奥行きまで感じさせます。


1話5分ほどの短い中。
芝居で笑わせること。
役を切り替え、演じ分ける瞬発力。
けいちゃんは女優としてさらに磨かれたのではないでしょうか。




いつものように駄文に入りたいと思いますが。
前回書いたように、状況説明的文章になるでしょう。
笑いを文章でお伝えするのは難しいです。
これを読みながら笑えることは無いと思います。

各ストーリーがどのような設定だったのか。
なんとなくその雰囲気を知る。
それくらいの軽いお気持ちでご覧頂ければと思います。



1.「突入」
人質をとって立てこもる犯人の元へ乗り込もうとする刑事たち。
ボス(山口良一)が突入計画を立てるが、どうも中堅刑事(大森ヒロシ)に損な役回りが。


けいちゃんも女刑事として凛々しく登場。
Tシャツに迷彩柄なパンツ、スニーカーという見慣れない衣装がかなり新鮮です。

山口さんがしれっと負担を強いることに、大森さんがツッコむ。
不満だらけの大森さんに、何か問題でも?な山口さん、けいちゃん、島崎宣海さん。
そして、犯人発砲の際には盾にされる大森さん。

ラストの、大森さんが犯人側に寝返ったというけいちゃんのセリフに一番笑いました。



2.「旅の宿」
校長先生(石坂史朗)と生活指導の先生(大治幸雄)が修学旅行先の旅館で、生徒を立たせて説教中。
使い捨てカメラを万引きした代わりにデジタルカメラを置いてきたり。
花壇を踏み荒らした後、バラを植えてきたり。
校長曰わく、悪いことと良いことを同時にするから怒りづらいと。
スッキリ怒りたい校長は、宿の金庫に盗みに入ることを遠回しにけしかける。


これは???でしたね。
良いことが?なのと。
たとえ良いこともしたとして。
犯罪は犯罪なのだから、良いことと悪いことバランス良く?という理屈は成り立たないと自分は思います。

でも、石坂さん、大治さんのもどかしさを表す芝居には笑いました。



3.「宴の後」
結婚式後の3次会くらいの雰囲気。
幸せいっぱいの新婦ノゾミ(保田圭)と、それを祝う同僚(なしお成)、先輩(西田薫)、後輩(小嶋喜生)。

全身から幸せオーラを発している花嫁ですが。
仲間と、新郎ミツヒコの話をしていると、みんなの反応がなんだかおかしい。
どうもみんながミツヒコと関係があるみたい。 


ちょっとずつ不安になりはじめ、でもそんなわけないと自分に言い聞かせているノゾミ。
でもおかしい、でもおかしいって心の声が聞こえてくるようでした。

不安が確信に変わるまで。
この数分の間に、細かい表情や声色。
ちょっとずつ戸惑いや不安を感じさせて。
少しずつその度合いが強まっていくところが、すごく良かったです。


その様子含め、新婦と友人たちのやり取りがクスクス笑えて。
徐々に笑いが大きくなるのですが。

すべて悟った新婦が、「女なら誰でもいいんじゃない!最低!!」とブチギレたところにウエイター(島崎宣海)が。
「あの人のことを悪く言わないで!」
大爆笑でした。


“女なら”ではなく、“人間なら”かい
ってみんな心の中でミツヒコにツッコんだんじゃないかと。



4.「キャバクラ」
キャバクラにやってきた冴えない男(大森ヒロシ)と、目当てのキャバ嬢エミリ(安藤彩華)。
エミリ目当ての強面兄貴(江端英久)の振る舞いに怒ったエミリが兄貴を殴り、手下(島崎宣海)とバトル。

安藤さんのアクションがすごい迫力。
背が高く、手足が長くてカッコいいです。


大森さんが安藤さんを庇おうとするのですが、頭一個分背が高い安藤さんは大森さんの後ろでは庇いきれず。
守ってやる風だったのが、任せるになってしまうヘタレ感。
横でチョコチョコ動いて参加している気分の大森さんがカワイかったり。
結局、安藤さんが島崎さんをボコボコに。



5.「三月の教師1」
今回、3本立てのシリーズ。
新任教師(保田圭)の進路指導。

最初は教室に一人のけいちゃん。
高校へ進学しないと言い出した“オザキくん”を説得する練習をしています。


元演劇部員の先生は、芝居のスイッチが入ってしまい一人芝居。
メロドラマ風の展開に。
優しく穏やかに話していたのが、怒り、焦り、最終的にはちょっと色っぽく。

この妄想一人芝居、声の変化が見事で、それが滑稽さを増して笑わせます。
観ていてちょっと恥ずかしいですしね。


学年主任(山口良一)に怒られ、演劇部顧問の同僚(なしお成・安藤彩華)が練習に付き合ってくれるのですが。
けいちゃん以上に芝居がかっている2人。
戸惑いつつも、徐々に2人のペースへ巻き込まれ。
ミュージカル風な身振り手振りの多い話し方を習得。

見本の安藤さんより動きが激しくなって。
ターンが異様にキマり。
手振りがどんどん大きくなり。
最終的にはダンスのようになってました。


自分としては、けいちゃん一人芝居部分の、“オザキくん”に優しく語りかけているところ。
そこがかなり好きです。

子供に話す母親のような穏やかさ。
柔らかい表情。
少し鼻にかかった甘めの声。

妄想に入るまでの僅かな部分なのですが。
あの声と表情がめちゃくちゃがツボで。
めっちゃ可愛いかったなぁ。



6.「SP見舞う」
風邪で休んでいるSP(大治幸雄)のところに、同僚のSP(大森ヒロシ・江端英久)が見舞いにくる。
SP的動きで部屋中を動き回り、無線風に会話する3人。

これは、母親役西田薫さんの目線になって、鬱陶しく感じたり。
事件の犯行予告状を、まるで学校のプリントのように持ってくる大森さんに笑いました。



7.「夢のカップル」
嵐の中、断崖絶壁で日本海に向かって、でっかい夢を叫ぶ男(石坂史朗)と彼女(なしお成)。
でっかい夢を叫ぶと言いつつ、
「福引きでお食事券を当てる」とか
「ヤマダ電機のポイントを貯める」とか
「村上春樹を読む」といったスケールの小さい夢ばかり。
「熱海2泊」は叫べず。

「セコい夢なら叫べるのに・・・」とうなだれた直後の絶叫プロポーズ。
なしおさんの淡々としたツッコミに爆笑。



8.「もめ喫茶」
喫茶店に入ってきた、営業で近所を回る男女(大森ヒロシ・西田薫)。
店のマスター(山口良一)は、痴話喧嘩でもするのではと気をもむ。
ところが、実はマスターはもめるのを楽しみにしている。

もうこのマスターがウザくてウザくて。
横から口を挟み、余計なことばかり言ってもめさせようとします。
勝手に心の声を代弁。
どんどんマスターのペースにのまれていく2人。


途中までの展開は自分の好みでした。
山口さんにイラっとしながら笑わせられる。

ラスト、マスターの思惑通りになるまいと2人が黙ってしまい、マスターの「倦怠期?」で終わりですが。
もっともっともめさせて、マスターが喜んでいる感じでも良かったんじゃないかと思ったりします。



9.「兄弟愛」
ふてくされている感じの弟(大森ヒロシ)に優しく話し掛ける兄姉(大治幸雄・保田圭)。
「お前にだけはラクはさせたくない。」
と必死に訴えかける兄姉は、ラクをする苦労を、苦労する弟に語る理不尽なストーリー。

高校に行かせてもらえず、昼夜働く弟。
兄姉は意地悪しているのではなく。
ラクは苦しいからと本気で思い、苦労が弟の為だと信じている。


これは最初意味が分からなかったのですが。
真剣にあたなを想っているのという顔で、苦労を強いる姉。
「分かって分かって分かって」とズンズン大森さんを追い詰めていくけいちゃんが怖い。

ラストに、ラクをし過ぎてクタクタになった叔父(石坂史朗)も登場。
お盆休みが3カ月のラクさを、苦しそうに語る。


とにかく、理不尽さに笑えるコントでした。
正論な大森さんが可哀想過ぎるし。


けいちゃんの白いワンピースの衣装。
どこかで見た気がするんだけどなぁ。
『あまから』?



10.「突撃レポーター」
人気俳優、岡島(江端英久)の熱愛報道。
突撃取材にやってくるレポーターたち(なしお成・西田薫・小嶋喜生)。

勢いよく突撃してきたわりに、「仲のよい友達です」のひとことで取材終了。
あっさり引き下がるレポーターに物足りなさを感じる岡島。
自分から勝手に話しはじめ、レポーターへ指示まで出す。

岡島に全く興味のない3人はどんどん面倒くさそうな態度に。
対して、自分の取材をさせようとする岡島の必死さに笑いました。



11.「三月の教師2」
5本目の続き。
ノリノリだった新任教師(保田圭)と演劇部顧問(なしお成・安藤彩華)の芝居がかったやり取り。
校内中に響いていたと学年主任(山口良一)に怒られる。

そこへやってきた“オザキくん”の母(西田薫)。
芝居がからないよう注意された新任教師だが、この母の方が輪をかけて芝居がかってしまう人。


前作では芝居にのっかってしまった教師ですが。
今度はツッコミまくりです。
演劇部顧問の2人も再登場で、西田さんの芝居がどんどん濃密に。
それに一人振り回されているけいちゃんが大変そうで笑えました。



12.「迷宮店長」
家電量販店の店長(山口良一)のもとへ、主任(大森ヒロシ)が、お客様が怒っていると飛んでくる。
クレーム対応を嫌がる店長。

主任に押し付けて逃げようとするが阻まれ。
謝る練習をしてみるものの、どうしても自分の非が認められない。


完全にドタバタ劇です。
山口さんが逃げまわり、大森さんが必死に追いかけながら諭す。

自分の非を認めず、言い訳ばかりがとび出して。
パニックなのにちょっと飄々としている山口さんと。

容赦なく、店長を叱りつけ。
ゼエゼエ言いながら追いかける大森さん。

アドリブもありつつ。
息のあったやり取りに大爆笑。
この作品をラストにした方が大盛り上がりで終わったんじゃないかと思います。



13.「三月の教師3」
11話目の続き。
進路指導当日。

かなり派手なピンクのワンピースで登場の教師(保田圭)。
みんなで劇的にするハズだったが、一晩経って頭を冷やされたというみんなはいつも通りの格好。
一人だけ張り切っちゃったイタい人に。


そこに高校生のヤンキー(島崎宣海・小嶋喜生)登場。
「ドラマだわ」ってテンション上がる教師。

校庭を歩いてくる(自分の勝手なイメージですが)“オザキくん”へ向かって叫ぶけいちゃん。
曲も含め、懐かしの青春ドラマ風で。
自分の中では、一瞬、けいちゃんが山下真司さんに見えたり。






という感じで、テンポ良く13作が上演されました。
暗転時の動きも含め、楽しみました。


どの作品も笑えて。
ものすごく笑えたものと、そんなになものとがありますが。
笑って体があったまり、気分もスッキリしました。


作品ごとに好みのは差はあるでしょう。
でも、分かる人しか笑えないとか。
取り残されてしまうなんてことはありません。

そういった点では、観る人を選ばない作品です。 
小学生くらいの子どもから、ご年配の方まで。
幅広い年齢層の客席でした。



自分の好みなら。
セリフのやり取りメインの、ちょっとずつ笑えて最後に爆笑できる感じなのが好きなので。
「宴の後」と「夢のカップル」ですかね。

「もめ喫茶」と「迷宮店長」はおもしろくて笑いっぱなし。
「三月の教師1」のけいちゃんの妄想芝居は、笑えてさらに、見所満載でした。


オムニバス形式の芝居コント。
初めてでしたが楽しませて頂きました。

大森さんの作品、裏切りませんね。
そしてけいちゃんも期待を裏切りません。
新たな挑戦でしたが、頼もしさすら感じました。



けいちゃん
キャストのみなさん
スタッフのみなさん
故林さん
そして、大森さん
お疲れさまでした。
たくさんの笑いをありがとうございました!