約1年半ぶりの更新です。

 過去のブログをお読みいただければと思いますが、私は、札幌市が招致をめざしている2026年(または2030年)の冬季オリンピック・パラリンピックの施設計画のうち、選手村について、札幌ドーム隣接の市街化調整区域に建設するという案について、大反対である旨を表明してきました。

 札幌市に対して数度の公開質問を出し、最後に意見書(2016年8月12日)も出しました。

(同意見書は次からダウンロードできます。)

https://yahoo.jp/box/hm9Uuw

 

 

  その後、札幌市は計画内容の調整を進め、JOCなどとの協議を経て2026年大会の立候補プロセスにおけるIOCとの対話ステージに参加する段階に至ったとのことで、その状況が昨年(2017年)12月8日の札幌市議会冬季五輪招致・スポーツ振興調査特別委員会に報告されました。

 

 結論から言うと、選手村計画は真駒内地区を中心に検討を進めることとされました。札幌ドーム隣接地での計画は、事実上断念されました。

 大変、喜ばしいことだと思います。

 

 同委員会で、IOCとの対話ステージでの交渉項目についての説明の中で、札幌市は選手村計画について次のように述べています。

 

 「後利用としての需要を考慮いたしまして、選手村やメディアセンター等の規模の縮小及び分散について協議いたします。具体的には、真駒内地区の再整備と合わせた選手村の整備や、メディアセンターのうち、IBC、国際放送センターとMPC、メーンプレスセンターを分散いたしまして、札幌コンベンションセンターの活用ができないか、提案したいと考えております。」

 さらに、同じ説明の中で、次のようにも発言しました。

 

「まちづくりと連動した真駒内地区での選手村の整備と市内での分村、さらに、メディアセンターについては、札幌コンベンションセンターの活用や施設整備基準の緩和についても協議してまいりたいと考えております。」

 

 そして、質疑の中で選手村整備の検討状況を問われたのに対して、次の答弁がありました。長いですが、重要なのでそのまま引用します。

 

「開催提案書におきましては、札幌ドーム隣接地を選手村の候補地としつつ、真駒内地区等の既成市街地における整備についても検討するとしておりました。札幌ドーム隣接地での整備につきましては、開・閉会式会場との近接性やセキュリティーの確保など、アスリートファーストの視点で立地上のメリットがあります。一方で、仮設も含め、大規模な整備を必要とすることから、多額の費用負担が発生する可能性があります。
 一方、真駒内地区での整備につきましては、1972年のレガシーの継承と、まちのリニューアルと連動した既存の都市機能の活用による開催地負担の抑制など、まちづくりやコスト縮減の観点からのメリットがあることから検討を進めてきたところでございます。
 現在の真駒内地区における選手村の検討状況といたしましては、平成25年に策定した真駒内駅前地区まちづくり指針で示した区役所や学校等の公共施設が立地する駅前エリアを中心に、真駒内地区の共同住宅などの再整備と連動させて、選手村を整備できるかどうかについて検討しているところでございます。また、真駒内地区での選手村の整備は、既成市街地のリニューアルによる整備となりますことから、IOCが求める必要な規模が確保できない場合には、例えば市内の民間ホテルの活用などによる分村ということが可能かどうかについて、対話ステージにおいてIOCと協議してまいりたいと考えております。」

 

 別の議員からの、札幌ドーム隣接地での選手村計画は無くなったのか、との質問に対しては、次のように答弁しています。

 

「札幌ドームの隣接地を選手村として整備するというのは、候補としては依然としてなくなっているわけではありません。ただし、札幌ドームの隣接地を使うことになりますと、アスリートファーストの観点では非常にメリットが高いのですが、仮設も含めて大規模な開発が起き、多額の費用負担が発生いたします。そこで、真駒内地区の再整備による選手村の整備が可能かどうかということについて、今回のIOCとの協議のテーマにしていきたいと考えているところでございます。」

 

 これら一連の説明は、事実上、真駒内での選手村整備に舵を切ったことを意味していると考えて間違いないと思います。

 このことを裏付けることとして、次のようなネット情報があります。

 ドーム隣接地での選手村整備を契機として地下鉄延伸を目指している「地下鉄東豊線建設促進期成会連合会」での札幌市からの説明の記事です。

http://hiromaaru.org/archives/10886

 

 これを見れば、最早、ドーム隣接地での選手村の検討は行わないと表明しているも同然です。

 行政がここまで言っているということは、真駒内での選手村整備の可能性にある程度の目処がついたことを意味しています。そこには、札幌市都市計画部局が並々ならぬ努力とアイディア、調整により、真駒内での可能性を探ってきた経緯があったようです。

 

 これで札幌の都市計画の矜持が保たれます。

 本当によかったと思います。