教室のお姉さまに背中を押されて
 
私は「本気で彼氏を作る」と決める。
 
あの頃の私は
 
「作ろうとして作る彼氏」の作り方は
 
お見合いパーティー以外は知らなかった。
 
でも、一度参加したパーティーは
 
回転寿司形式で
 
一人の男性とお話できるのはほんの数分。
 
それでは
 
お相手の人柄までは分からない。
 
分からないまま、ビギナーズラックでカップリングに成功して
 
彼氏ができた、と喜んだ途端に
 
また地獄へ突き落とされる。
 
 
 
 
 
 
 
初めてカップリングに成功した男は
 
初デートでのお酒の後に
 
私の家に上り込むことを匂わせた。
 
 
 
「車で行くからツクネちゃんの家に車を置かして」
 
 
「我が家には他の車を置くスペースはないから電車で来て」
 
 
 
私の立場では常識的な返事。
 
 
 
「悪いけど、他の男探して」
 
 
 
そして、彼のメールでジ・エンド。
 
 
 
 
 
私は王子のことで、グダグダになっている最中で
 
お見合いパーティーでインスタントに出来上がったカップルのお相手にですら
 
縋っていた。
 
彼とはパーティー終了後に夕食をご馳走になっただけで終わってしまい
 
私の病気はますます酷くなる。
 
そこからまた立ち上がれるようになるまで
 
けっこうな時間が必要だったから
 
彼氏作りの方法がお見合いパーティしか思いつかない私でも
 
回転寿司形式のパーティーは避けたかった。
 
 
 
 
 
 
だから、婚活バスツアーに望みを賭けた。
 
 
 
 
 
婚活バスツーには2回参加した。
 
 
 
日帰りツアーの参加費はは1万4,800円。
 
 
バスの中での回転寿司。
 
休憩所から休憩所までは席のチェンジはない。
 
これが非常に苦痛。
 
さらに見学場所では3対3でチームを組まされ見学。
 
あら素敵、と思った殿方に自由に話しかけられない。
 
バスツアー終盤で気に入った男性の番号を3つ書かされる。
 
中間投票はない。
 
私が気に入った男性は、
 
ツアー開始後すぐに隣の席に座った女性と仲良くなっていて
 
私は同様に、ツアー開始後すぐに隣の席に座った男性に
 
気に入られてしまった。
 
 
ツアー開始後は渋滞で最初の休憩所に着くまで1時間も掛かった。
 
 
つまり、その間、席替えがなく
 
同じお相手と同席だったのだから
 
1時間もお喋りしていりゃ
 
仲良くなるのも不思議じゃなくて
 
これは、席の配列が運の分かれ目だなあ、と感じたから
 
バスツアーの参加は2度で止めた。
 
 
 
 
この業者はツアー終了後に
 
気に入ったお相手がいたら
 
業者を通じて仲を取り持ってくれるサービスもしていたけれど
 
私は、お断りされるのが怖くて
 
サービスの利用はしなかった。
 
 
 
 
だって
 
断られたら
 
また、地獄へ逆戻りだもの。
 
 
 
 
あの頃の私は
 
初対面の相手に断られることすら恐る
 
豆腐のようなメンタルだった。
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 
 
 
ハルオさんと出会う前の2017年の年末は
 
一人であちこちのイルミネーションを観て回った。
 
 
 
西武園ゆうえんち
 
六義園
 
後楽園ゆうえんち
 
昭和記念公園
 
足利フラワーパーク
 
 
 
 
全部、一人で行った。
 
 
 
 
寂しくなんかなかった。
 
 
若いカップルを見ても何も感じなかった。
 
 
 
 
 
けれど
 
夫婦の姿からは目を逸らした。
 
どんなに渇望しても私には手に入らなかったから。