下の写真の時計は仕事部屋のもの。

 

 

 

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この家に引っ越した際に、池袋の「LoFt」で買った。

 

3,000円程度の安物だったけれど

 

仕事部屋をオレンジ色で統一したかったから

 

ひと目で気に入って家に持ち帰った。

 

ところが

 

ほんのひと月ほどで時計は動かなくなった。

 

さすがに安物。

 

保証書は残してあったけれど、なんだか面倒で

 

交換のお願いもしなかった。

 

 

 

けれど、オレンジ色が気に入ってしまったから

 

壊れたままずっともう10年以上も

 

仕事部屋の壁にあって


我が家を訪れた人は必ず、

 

時計が止まっていることに気が付いて、

 

「この時計、止まっているね」

 

と言葉を残していく。

 

 

 

 

私は、この時計をこの場所から他に移す気は

 

砂粒ほどもなくて

 

きっと私がこの世界からいなくなっても

 

このままこの場所に残って

 

ただ

 

訪問客に止まっていることを伝えるためだけの

 

何の役にも立たない役目を果たしてくれることを

 

期待している。

 

 

 

 

この時計が私に教えてくれたのは

 

安物の時計は買ってはいけない

 

ということだけ。

 

 

だって、時を刻むことを止めてしまった時計だもの

 

それ以外のことは何も教えてはくれない。

 

 

 

だから私は、その教訓に従って

 

リビングの時計は、少々高いものを買った。

 

 

 

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海外製品らしいこれは

 

少々高いから、さすがに優秀で

 

購入してからもう7〜8年になるのだけれど

 

少しの狂いもなく時を刻む。

 

 

 

 

 

さて

 

問題はハルオさんだ。

 

 

 

寝室に「湿度計と一緒になった時計が欲しい」と言いだした。

 

 

 

その時計を「カインズ」で買うから

 

一緒に見に行こう、と何度も言う。

 

「カインズ」をご存知ない方のためにお断りするが

 

「カインズ」は何でも揃うホームセンターである。

 

 

 

やれやれ

 

ホームセンターに、お洒落な時計が売っているのかしら?

 

それに、安物の時計はすぐに壊れるわよ。

 

 

 

そんなことを言っても聞くようなハルオさんではないから

 

私にしても、何もかもケチは付けたくないし

 

だから、時計を一緒に見に行った。

 

 

 

 

カインズでハルオさんが「これは?」と指す時計に

 

次々にダメ出しをして

 

(田舎のおじさんが選ぶような時計ばかり選ぶんだもの)

 

でもなんとか私の許せるデザインものがあったから

 

OKを出して、それを買った。

 

 

 

税抜き価格1,980円。

 

おもちゃです。

 

 

 

 

すぐに壊れると思う

 

 

 

 

その言葉を、ごくりと飲み込んで家に持ち帰った。

 

そして私は

 

玄関先でその時計の入った包みを落としてしまった。

 

決してわざとじゃない。

 

そして

 

ハルオさんは、その現場を見ていない。

 

 

 

 

明日、ハルオさんが我が家に来た際に

 

ハルオさんは

 

時計の箱を開けて乾電池を時計にセットする。

 

 

 

二人で一緒に買った、この時計は

 

はたして動くのかしら?

 

 

この先

 

何年続くのか分からない私たちの残りの時間を、

 

最後を、見届けるまでこの時計に刻んで欲しい気もするけれど

 

無理なような気もするし

 

「記念だからいいものを」というような

 

情緒的な心情を一切持ち合わせていない

 

現実的なハルオさんをぎゃふん(←死語?)と言わせるために

 

すぐに壊れちゃえばいいのになあ、なんて

 

思ったりもする。

 

 

 

 

 

 

さて、

 

明日のために、仕事を片付けましょうか。

 

 

 

 

 

なんだかんだ言っても

 

まな板にスポンジ、そして時計。

 

二人で買ったものが

 

少しずつ我が家に増えていくのも楽しい気がする。