悲しみの癒し方は人それぞれ違うから

自分とは違っていても他人に何も言う権利などないよね。

批判や進言などもっての他だよね。



悲しみを過去のものにできる期間だって

人それぞれだ。

ずっと悲しみを抱えたままで生きていく人もいれば

記憶の深い部分に閉じ込めて蓋を閉めてしまう人もいる。




悲しみの表し方だってみんな違う。

泣いて泣いて泣き続けたり

逆に茶化して笑ってごまかしたり。





$星たちの詩が聴こえる。


1年前の7月の末に

真っ黒の顔をした可愛いまだ1歳に満たない

一匹の小型犬の男の子が発病した。

飼い主は女性。



私とほんの数回だが面識のあった彼女は

愛犬の病の様子や彼女自身の不安や焦燥を

毎日幾度となく私宛にメールを送ってきた。

それは日に10本を超えることもあり

私は彼女のメールを受信するための専用のフォルダを設けたほどで

私にも仕事があり愛犬の世話が有りブログの管理が有り生活が有ったが

愛犬の突然の発病で不安と恐怖と悲しみのまっただ中にいるその女性の気持ちを思うと

メールを読み、返事をし、彼女の気持ちを受け止めるしかなかった。

彼女の愛犬も数回だけれど一緒に私の愛犬たちと共に遊んでいた子だったので

メールや時には電話で彼女の懊悩を聞く私自身もとても辛くて悲しいことだった。

発作時の愛犬の写真がメール添付で送られて来たのに至って

私は私一人で彼女の気持ちを受け止めることに耐えられず

ブログを持たない彼女の愛犬のために

私のブログの記事として掲載をしてしまった。




彼女の可愛らしい愛犬のことや彼女の苦しみを他のだれかに伝えることで

私自身が受け止めきれない痛みや辛さを他のだれかに受け止めてもらいたかった。

それでも私の辛さや痛みは病気の愛犬を抱える彼女の辛さには比べ物にはならない。

だから辛くても文章にしていた。







$星たちの詩が聴こえる。

彼女の愛犬が亡くなってしまった深夜に

それからしばらくしてやはり深夜に

彼女からの電話があり

彼女が電話の向こうで大声で悲痛な叫び声をあげて泣いている声を

私はいまだに忘れることが出来ないでいる。

「なんで死んだ。どうして死ななくちゃならなかった。」

そう何度も言って大声を上げて泣いていた。

思い出しただけで心が締め付けられ苦しい

そんな泣き声だった。




彼女の家までお悔やみに出かけた時の

亡くなった愛犬の身体を、背中を丸めて

泣きながらさすっていた彼女の姿がまだ私の脳裏に焼き付いていて

私はまだ忘れられず涙がこぼれるのだ。

あの時、あの子の亡骸を抱いた、その重さが両手に残っていて

悲しいのだ。




可愛い可愛い真っ黒な顔をした小柄な男の子。

たった1歳と2日しか生きられなかった。

その子の一周忌にその子が生きていた証になればと

お悔やみの記事を書いた。




1年前の9月12日にはたくさんの人たちが追悼の記事を書いた。

その中には私と同じように彼女から

悲痛なメールや電話を受け取っていた人が何人かいた。




だから、この12日の一周忌には彼女の愛犬のことを

だれかに思い出してもらいたかった。

生きていたんだから。

確かにあの子は走って食べて眠って息をして生きていたんだから

せめて一周忌のその日に思い出して欲しかったと

私の切なる願いを青い方のブログへ書いた。





けれど、それはもう過ぎたことだと。

1年前のあの時で終わったことだと

他人に思い出せと強要するなと

だから私のその願いは不愉快だと。

飼い主の彼女が削除しろと言ってきた。





他人の私を巻き込んで大騒ぎをしたのだよ。

私はその時の悲しみを、あの子が死んでしまった悲しみから

いまだに抜け出せないでいるのに

彼女自身が過去のものにしてしまったからといって

私の気持ちまで過去のものにしろと言う。

そんな傲慢なことが許されていいのか。

私のあの子に対しての気持ちは私だけのものだ。

思い出して欲しかったという気持ちも私だけのものだ。

彼女には終わったことでも

私の中であの子のことは終わってはいないのだから。




彼女の元には新しい女の子がいて

毎日を楽しくその女の子と過ごしているのだろう。

でもその女の子はあの子じゃない。

1年前に空に消えていったあの子と同じ子は2匹といないのだから。




悲しくて悲しくて悲しくて

涙があふれて仕方がない。



私と同じように悲しんでくれとは言わない。

メソメソしていろとは言わない。

みんな違うんだから。

私にはそれを言う権利はないから。





感覚が違いすぎると感じるのは自由だよね。

感じる心は自由なはず。

一周忌のその日に何もなかったかのように

普段と同じようにブログでふざけて笑ってた。

そんな彼女のこと責める権利は私にはないから。

亡くなった子のことを偲ぶよりも

楽しいことが一番に優先されるなら

現在のお付き合いが優先というのなら

私は何も言わないで「さようなら」と立ち去るしかなかったよ。







—ここに来てくれたこころ優しい方達へ—



飼い主が過去のものとしてしまった可愛い男の子のこと

その黒い顔を見てあげてください。

1年前の9月にお空に昇って行った可愛い男の子です。