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 マレーシア、フィリピンでMERSによる死者2人―東南アジアで初


 世界保健機関(WHO)は17日、サウジアラビアへの巡礼から帰国したマレーシア人男性がこのほど、中東呼吸器症候群(MERS)のコロナウイルスに感染して死亡したと発表した。MERSによる死亡は、東南アジアでは初めて。

 WHOはまた、湾岸諸国から帰国したフィリピン人看護師がMERSに罹り、死亡したことも確認した。

 感染症の専門家らは、毎年サウジの聖地メッカを訪れる何百万人もの巡礼者を通してMERSが遠隔地に拡散するのではないかと恐れていたが、それがまさに起きつつある。今後懸念されるのは、MERSの感染を抑えるのが難しい人口の多いアジアやアフリカに広がること。

 感染症の専門家である米バンダービルト大学のウィリアム・シャフナー氏は、「サウジの医療当局はMERSを抑え込めていないようだ」と指摘、サウジはMERSの感染防止策を見直す必要があるかもしれないと述べた。

 MERS患者は過去1カ月間サウジで急増しており、17日には同国で1人が死亡、6人が新たに感染したことが確認された。2012年9月にMERS感染が発見されて以降、WHOが確認した世界の患者総数はこれまでに243人に達している。この約4分の1に当たる60人超が過去1カ月間に確認さており、その半分が医療関係者で占められている。

 MERSが発見されて以来の死亡者は93人に上る。感染例の大半はサウジアラビアで報告されているが、その他の湾岸諸国でも増えている。欧州での報告は少数で、いずれのケースも中東に関係している。米国での報告はない。


There's heightened concern after the confirmation of more cases of the deadly Middle East Respiratory Syndrome, or MERS, in Saudi Arabia and Jordan over the weekend. But what, exactly, is MERS? Photo: Getty Images.

 フィリピン政府は17日、死亡した看護師と同じ航空便でアブダビから入国した乗客を追跡するとともに、看護師と接触した人々の一部を隔離したことを明らかにした。マレーシア政府は、死亡したマレーシア人男性と接触した可能性のある64人を隔離した。

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 MERSでは、感染者の3分の1以上が死亡している。ラクダが感染源の1つで、当局によれば、死亡したマレーシア人はサウジでラクダの飼育場を訪れていたという。

 2002年11月から03年7月にかけて775人が死亡した新型肺炎(SARS)と違い、MERSはヒトの間の感染は比較的限られている。しかし、サウジのジェッダの病院に収容されたMERS患者はこれまでに比べ入院が長期化し数も増えているようだ。サウジ厚生省によれば、3月15日以降少なくとも50人が感染し、9人が死亡している。

 これとは別にアラブ首長国連邦(UAE)は、10日に同国でMERSにより死亡したフィリピン人とともに働いていた医療関係者10人が感染していると明らかにした。WHOによれば、フィリピンで死亡した看護師は、検査でMERSに感染していることが判明する前に帰国していた。