ウルトラマン・ジャックが主役の「帰ってきたウルトラマン」の中で、MAT(Monster Attack Team)と宇宙怪獣べムスターの死闘を描いた作品。
Wikipedia で調べると第18話、本放送1971/8/6だった。

べムスターが石油タンクなどに張り付いてエネルギーを吸い取り、MATが攻撃していたが、実際にやったら火災になって事態を悪化させるのでは?
おそらくはこの怪獣のせいで、郷秀樹の入ったカフェでコンロのガスが止まる場面があった。
'70年代の石油危機を想わせるが、第一次石油危機は'73年第四次中東戦争からで、この話はその2年前。

ある意味で、予言的な話だった。



MATの宇宙ステーションがべムスターに呑み込まれ、梶キャプテン以下「MATステーション」のメンバーは全員絶望的。
梶キャプテンはMAT地上部隊の加藤隊長と親友同士で、その梶は身重の妻を地上に残して逝ってしまった。のちに生まれた子供は生まれながらにして父を失ったことになる。この妻子が余りに可哀相だ。
加藤隊長は当然、敵討ちに奮闘するが、宇宙怪獣は強敵でMATの主だった隊員は次々負傷。最後は加藤隊長自ら戦闘機でべムスターに立ち向かう。
つまり、これは家族と友情を描いた物語である。
郷秀樹は己に乗り移ったウルトラマンの力を借りて自分が属するMATの別の支部の幹部の仇討ちをしたことになる。
ウルトラセブンはその手助けをしたに過ぎない。
もっと言えば、メインは加藤隊長による友人の敵討ちである。
ウルトラ兄弟初の共演というサービスがありながら、人間ドラマとしてもきちんと描かれていた。

郷秀樹がカフェからMATの車で現場に向かうとき、なぜか主題歌のメロディーがかかった。このときはまだ、セブン登場の伏線も全くなく、少しわくわくする気持ちがする場面である。
科学的に考えると、地球から太陽まで光で片道8分19秒。光より遅いマッハ5で飛ぶウルトラマンが地球から太陽附近まで行って、セブンからウルトラブレスレットを受け取って地球に戻るまで、加藤隊長がべムスター相手に孤軍奮闘していたのが凄い。怪獣の攻撃を受けて落下する隊長の戦闘機をウルトラマンが受け止めたが、受け止め方を観ると飛行機が受けた衝撃は地上に墜落するのより強烈だった可能性もある。
見事、敵を討った郷秀樹と隊長が梶の自宅へ車で向かう場面で、普通は怪獣との戦いで流れるはずの「♪ワンダバダバ」が流れていた。
少し意外な選曲。

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