その辛い経験を乗り越えて棋士になったわけだけど、今だから思う囲碁の魅力はどんなところ?

王「囲碁を通じて色々な人たちと出会えたことは本当に財産だね」

竹「具体的にどんな人と知り合ったの?」

王「そうだね、年の差や国籍関係なく大勢の人と知り合う事ができたけど、なかでも大企業の経営者や小さな子供達とは囲碁をやっていなかったら今みたいに親しくなる事はなかったと思うよ。」

竹「確かに一般社会ではなかなかない事ですね!」

では王さんにとっての囲碁はどんなものなのか教えてください

王「囲碁がなかったら今の自分はなかったと思うよ。碁を通じてたくさんの事を学んだからね。」

竹「具体的にはどんな経験から学ぶ事ができたの?」

王「色々とあるけど、あえてあげるなら何かの問題にぶつかったとしてもそれを解決する力が身についた、という事かな。」

竹「どうしてそういう力が身につけられたの?」

王「負けても全部自分の責任だよね。だから碁をやる事で、例えばうまくいかない事があっても、次にどうしたらうまくいくのか考えるようになったんだ。何か壁にぶつかったとしてもそうやって1つ1つ解決できるようになった気がするよ。」

竹「挫折を乗り越え、それををバネにして頑張る力が身についたんだね。」

王「そうだね。他にもたくさんの事を学んだけどね。」


では囲碁をこれから普及させるための作戦があれば教えてください

王「まず、囲碁人口を増やす事が大切だと思うよ。囲碁をやる人が増えれば全体のレベルアップにつながし、その中から新しいヒーローが生まれるかもしれないからね。」

竹「王さんの思うヒーローとはどんな人ですか?」

王「日本にも山下敬吾棋聖や張栩名人、高尾紳路本因坊など、ヒーローはたくさんいるけど、まだまだ一般の人にはあまり知られてないよね。ヒーローと言うのはやっぱり、囲碁界だけでなく、あらゆる世界で認められる人だと思うんだ。韓国では囲碁棋士というのは憧れの職業の1つだし、イーチャンホ先生の活躍で実際に囲碁人口がものすごく増えたからね。今は残念ながら日本が世界戦で押されてしまっているけど、囲碁人口を増やすことで新しいヒーローを発掘したいよね。」

竹「確かにそうだね。世界戦で押されてしまっているのは、勉強方法ではなく底辺の差に原因があると考えますか?」

王「そうだね。一概にはいえないけど考え方の違いもあると思うよ。日本は囲碁を棋道と言って芸術としてとらえて、自分そのものを磨いているというような・・・。」

竹「礼儀を重んじているよね。韓国は対局中のマナーなどは日本と比べていくらかラフに見えるかな?」

王「そうだね。日本のマナーは世界で一番だと思うよ。」

竹「勝負の事だけを考えた方がいいと思う?」

王「イーチャンホ先生をヒーローと言ったのは人柄も素晴らしいからだよ。日本は日本の良さを大切にしてほしいな。」

竹「なるほど、確かにそうですね。僕としては笑いがとれるタイトルホルダーが出てきてほしいな。」

王「あはは、でもやっぱりどんなに碁が強いだけで、人に尊敬されないのは悲しいことだと思うな。」

王 聞く

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