眠れる大都会のアツシ 第十六話  | 炊き込みホビー倶楽部

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56ことイソロク、そしてポストが擬人化したおにいさんを除く多数のメンバーは依然としてサムライ号に乗って空中を旋回していた。
そう。彼らは二人を探していた。
トキオうんぬん、神無の正体、いろいろとあるけれども、とりあえずは二人を探さないと始まらないからであった。
わんわんわんわんわんわん・・・
「何だ今の音は」
サムライ号を運転する科学者ボロネーゼはみんなに聞いた。
「さあ?」
前川吟助三郎はのんきなものだ。
スーパー女子高生マカディミアなんて、携帯をいじっている!
いや、違う。彼女は携帯でふたりの居場所を探しているのだ。
彼女のアクセスしているサイトは、あらゆる「家電」の内容を検索できるのである。
そう。未来世界ではあらゆる家電は管理され、どこにどんな家電があるかがわかってしまうのだ。
サイトには地図が表示され、そこにあらゆる家電の名前が書いてある。
地図のとおりに行くと、その家電が見つかるってわけである。
56が吸い込まれていったのは、幸いにもアナログテレビではない。
デジタルテレビであるかぎり、割り出せるのであった。
「ごっ…ごっ…56」
「どうした。マカディミア!」
彼女は、サイトの地図を指さして震えていた。
そこは灰色の荒地と呼ばれている場所であった。
そこに書いてあった文字はこうである。
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* *   灰色の荒地 * *

       (56)

     (大型コンピュータ) * *  

 灰色の荒地 * *
                     
      * *   灰色の荒地 * *
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「ここ、ほら、56って書いてある。」
「56は…家電じゃ、ない、よな……」
「うん……」
とりあえず行くことにした。

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「いた!」
「おう!」
そこは砂丘であった。
人間の世界と違うのは、空も、砂さえも灰色だということだけだった。
その中に不意にぽつんと、一台の大型テレビが置いてあったのだった。
一同はそこに着陸することにした。
テレビ画面に映るのは、灰色の「草原」と……
「56……」
56が、映っていた。
灰色に広がる草原の中で、小さな四角の枠の中に入って。
その小さな四角の中には、56と、たくさんの文字があった。
「これは……」
「これ……私のホームページなんだわ…」
そうつぶやいた神無は、潤んだ瞳で、画面を眺めていたのであった。
「君の、なのかい。」
スケルツオは訊いた―
「そうよ」
神無は手で顔を覆って震えていた。
「わたしが作ったのよ」
「もしかしてこれは……」ボロネーゼは言った。
「かつてのパーソナルコンピュータだ」スケルツォは言った。
「そう」
不意に声がした。振り返るとそこには―
赤いトレンチコートと長い赤いマントをはためかせた青年。
「まさか―」
「お前、ポストか!?」ボロネーゼは叫んだ。

「すまない。少なくとももう僕は―――」
赤いトレンチコートの青年は言った、
「もう元の、僕ではないんだ」